1997年5月10日発売
初出の6,12番と、モスクワで作曲者立会いのもとで録音したかつての14番を加え、ついに完成した全集。ムラヴィンスキーがスコアを極めた演奏だとすれば、こちらは各作品や作曲者への熱い思いをストレートに表現し、土臭い匂いも強烈。だが、それは決してオーケストラの完成度がないがしろにされているという意味ではない。生き字引きとしてのインタビューも興味深く、総合点は高い。★
オリジナル楽器オケの火付け役の1人ともいえるアーノンクール。しかしこの演奏は次なる段階。つまり現代楽器による演奏。彼にとっては応用編だが、最も彼の個性(解釈)が際立ってくる。細部のこだわり以上に“流れ”重視が顕著。「運命」の流麗さに驚く。
槙原敬之はおそらく日本で最も饒舌な歌詞を書き、それを自分のスタイルにした希有なアーチストだ。彼の歌詞はいつでも自分自身を励まし、他人に中途半端な励ましの言葉をかけない。ここが凡百のシンガー・ソングライターと違う。素晴らしい。初のベスト。
どちらかというと、シンガー・ソングライターというより、ヴォーカリストのイメージの方が今までの彼女だったが、今回は全7曲中5曲が自らの作詞・作曲。その5曲はいずれも彼女自身のマインドが反映され、彼女の心の声が聴こえる作品となっている。
淡々と響くアコギやオルガンの音色にノセ、ズーズー弁で心なごむ、微笑ましい詞を朗読する伊奈かっぺい。ちょっとコミカルな詞のなかで描かれた、今の日本人が忘れた暖かい心。心をほんわか暖かくしたいとき、田舎に郷愁を馳せたくなるとき聴きたい作品だ。
青森の言葉をコミカルに宣伝し続ける伊奈かっぺいの78年の東京でのライヴを収録。しんみりとした話にしょうもない駄洒落をポツリをかましながら語り、歌っていく。歌詞カードを見ながらでないと、アレッどういう意味だとなるスリリングさが醍醐味だ。