1998年5月発売
71年のブルージーなデビュー盤から86年の『ナイン・ライヴス』までの9枚がCD化。『ギヴ・イット・アップ』(72)はウッドストック録音による初期の秀作。リトル・フィートやV.D.パークスらが参加した『テイキン・マイ・タイム』(73)は多彩な試みが光る意欲作。『ストリートライツ』(74)は凡作。『ホーム・プレイト』(75)と『スウィート・フォーギヴネス』(77)は歌手としての成熟を感じさせる佳作。『グロウ』(79)はP.アッシャーと組んだ異色作。『グリーン・ライト』(82)はバンプ・バンドと共演した話題作。
ウッドストックでの録音。エイモス・ギャレット、エリック・カズ、ジョン・ホールなどシブいメンツが集まったセッションはとてもホームメイドな感覚で彼女の歌を引き立てる。72年の名作。
リトル・フィートのビル・ペインとローウェル・ジョージらに、ジョン・ホール、タジ・マハール、ヴァン・ダイク・パークスで参加したロック色の強いサード・アルバム。73年作。
マリア・マルダーのソロ・デビュー・アルバム。ちょうど、多くのアーティストがオールド・タイム音楽に目を向け始めた73年の作品だが、そういった風潮とは切り離したところでも、彼女のうまさは光っている。バック・メンバーがこれまた味のある顔ぶれだ。
洒落たポップスのリラクゼーションをオールド・タイムなジャズ他の中に見い出そう。そんなアプローチがマジカルに華開いたソロ第2作。それにしてもレイジーにしてゴージャスなバッキングで自由に揺れる彼女のヴォーカルの魅惑的なことといったら!
こういう人の傑作を改めてCDできけるなんて至福の喜びだ。『パラダイス……』は'74年、『ジャズ』は'78年の作品。前者ではR&Bやフォークをメキシコ風味やカリビアン・タッチで、後者では古いジャズを、それぞれ独自の解釈で披露する。味わい深い。
数あるライのアルバムの中でも、ナンバー・ワンに数えられる名作。スラック・キィー・ギターの名人ギャビィ・パヒヌイらの豪華ゲストに囲まれて、ハワイアンからテックス・メックスまで、このうえなく豊潤な音世界が繰り広げられている。76年発表。
こういうのが、CDで復刻されると本当に嬉しい。最近は、映画音楽で忙しい人だが、やはり、アメリカの短編小説的な風情という点では、この人にかなう人はいない。1968年のデビュー作で、ヴァン・ダイクも手伝って、キメの細かいサウンドが泣かせる。
5年ぶりの新作も出るようだけど、16年前にこんだけすごいアメリカ人の自己批評、作品化としていたことを思うと、80年代がつけたりとしてもまーいいや。タイトル曲はずばり“奴隷船讃歌”。ドリーミーかつ悪夢のような名曲ばかり12曲。聞きなさい。
若き天才メンデルスゾーンが自らピアノを弾いたであろう、作品番号もない初期の作品のカップリング。1925年製フォルテピアノの音が美しく捉えられた録音と相まってコンチェルト・ケルンの演奏は爽快に響く。メンデルスゾーンも古楽器演奏で再評価されようとは。
「楽譜を見ただけでは興味深いものと思えない」(G.サドラー)のに音にしてみるとめっぽう面白いのがモンドンヴィル(1711〜72)の特質。存命中はラモーと双璧を成した才人の作をレオンハルトが律義に細心の気配りをもって音にしたら、めっぽう面白い。
レオンハルト40歳前後の録音。1曲を除いて、すべてフランスの作品で構成したアルバムは、のっけのクープランから明るい色彩。フランスではなくオランダのオルガンを使用しながら、フランス風。得意のラモーのクラヴサン曲も溌剌として素晴らしい。
オルガンやチェンバロなど鍵盤楽器用の傑作を残したフローベルガー。どちらの楽器にも精通したレオンハルトならではのアルバムである。J.S.バッハら後世の鍵盤音楽に多大な影響を与えた壮麗な音楽をレオンハルトが紡ぎだす。
1992年に結成された邦人女性のクァルテットは、すぐにアンサンブル能力を身につけ、数々のコンクールを総ナメにし、今や東京SQ以来のインターナショナルな団体として注目を集めている。きめの細かい、しなやかな音楽性がいい。要チェックのSQだ。