1998年8月21日発売
高橋竹山や三橋美智也以下、6名による津軽じょんがら節の聴きくらべという一枚。それぞれの解釈の違いが聴きどころなのでしょうが、キーとか抑揚の違いくらいしかわからないのが悲しい。ジャケットの紙一枚だけで解説が一切ないのもちょっと悲しい。
民謡、それは日本の心。大塚文雄の名唱で贈る民謡特選20曲。(3)とか聴いてると渓谷を渡る一般の舟のイメージが……。日本酒のCMだな、こりゃ。諧謔味と解放感のある(20)がいいですね。J-pop全盛のこのご時世、このCDの購買層に思いをはせた。
佐々木基晴による北海道民謡集だ。伝えられる今日の民謡がいかに洗練されているかを実感させる歌唱を聴かせている。あたりの柔らかい歌唱は座敷芸の流れのものか? 日露戦以後の北海道がいかに繁栄していたかを伺わせる色街での洗練過程を想像させる。
もともと踊るために作られた民謡を聴いてると、身体がムズムズしてくることがある。しかも本場徳島や高円寺で盛り上がっている(1)とかで始まるとさぁ大変! しかも、歌っている人が本格派で北から南まで網羅しているとくれば、言うことはないでしょ。
日本の民謡って、歌の存在感が強すぎて(民謡特有の歌唱が押し付けがましいってこと)、聴いてて疲れることが多いのだけど、小杉真貴子の歌唱は三味と尺八の音との溶け合い具合もよく、なかなか涼しげ。有名曲も多く、外国への土産などにも良さそう。
秋田、岩手、青森、北海道の民謡全20曲を取り上げた民謡日本一の実力派、小野花子の魅力を結集した特選集。小野の伸びやかでよく澄んだ声質と、どこか愛嬌のある歌い回しに聴き惚れてしまった。民謡と一緒に人間の生き方と心の豊かさを伝えてくれる一枚。
よく伸びて切れのよい高音でテンポよくたたみこんでいくところは、若手実力派の看板に恥じない。(3)のようなゆったりしたテンポの曲では一転、じっくりと歌いこんで、聴き手を引っ張りこむ。スケールの大きさは民謡界の招来を担っていく逸材に相応しい。