1998年8月21日発売
デジタル・ロック的なアプローチが大胆に試みられた新作。どの曲も世紀末的退廃美がプンプン。サウンドだけでなく、映像、衣装、演出などすべてをセルフ・ディレクションしている彼らの本領が発揮された内容だ。(4)はBUCK-TICKの今井寿のペンによる曲。
マリンバ奏者の草刈とも子が日本の民謡から童謡、唱歌などを取り上げている。曲ごとに編曲に工夫を凝らし、笛やアコーディオン、弦楽器、ホーンなど加えて日本の詩といった雰囲気を醸し出していく。ガムラン的な音色を感じたりと面白い発見をする演奏。
ブラジル産メタル・バンドのサード・アルバム。自らのアイデンティティであるラテン風味を出した前作から一転、伝統的メタル・サウンドにこだわったという本作は、ファースト寄りとも言えるが、凝ったアレンジはさすが。劇的路線復活を素直に喜びたい。
オランダ産5人組メタル・バンドの第5作。大名盤だった前作の延長線上である劇的で少々プログレッシヴなパワー・メタル・サウンドに変わりはないが、よりタイトかつキレよくなったことで、力強さが増した。イアン・パリーの歌唱もより攻撃的な印象だ。★
惜しまれつつ解散した英国のハード・ロック・バンド、スキンが去る4月にロンドンで行なったラスト・ライヴの模様を収録した2枚組。元々ライヴには定評のあったバンドだが、本作もひたすら生々しく強力。こういうバンドが生き残れない現実は寂しい。
フィンランド産様式美パワー・メタラーの新作『ディスティニー』からの先行EP。クラシック・テイストを感じさせるメロディックな“ストラト節”はもちろん健在で、お約束ながらクオリティはバッチリ。スコーピオンズのカヴァー(3)は線の細さが気になる。
さわやかなナンバーから、ビートの利いたロックっぽいホットなナンバーまで、様々な楽曲を歌いこなしている。自らの作詞や作曲も数曲身受けられるので、志向はシンガー・ソングライターといっていいだろうか。よく通る声は、今後魅力になっていきそう。
民謡、それは日本の心。大塚文雄の名唱で贈る民謡特選20曲。(3)とか聴いてると渓谷を渡る一般の舟のイメージが……。日本酒のCMだな、こりゃ。諧謔味と解放感のある(20)がいいですね。J-pop全盛のこのご時世、このCDの購買層に思いをはせた。
佐々木基晴による北海道民謡集だ。伝えられる今日の民謡がいかに洗練されているかを実感させる歌唱を聴かせている。あたりの柔らかい歌唱は座敷芸の流れのものか? 日露戦以後の北海道がいかに繁栄していたかを伺わせる色街での洗練過程を想像させる。
もともと踊るために作られた民謡を聴いてると、身体がムズムズしてくることがある。しかも本場徳島や高円寺で盛り上がっている(1)とかで始まるとさぁ大変! しかも、歌っている人が本格派で北から南まで網羅しているとくれば、言うことはないでしょ。
日本の民謡って、歌の存在感が強すぎて(民謡特有の歌唱が押し付けがましいってこと)、聴いてて疲れることが多いのだけど、小杉真貴子の歌唱は三味と尺八の音との溶け合い具合もよく、なかなか涼しげ。有名曲も多く、外国への土産などにも良さそう。
秋田、岩手、青森、北海道の民謡全20曲を取り上げた民謡日本一の実力派、小野花子の魅力を結集した特選集。小野の伸びやかでよく澄んだ声質と、どこか愛嬌のある歌い回しに聴き惚れてしまった。民謡と一緒に人間の生き方と心の豊かさを伝えてくれる一枚。