1999年11月発売
ポプコン出身の女性アーティストのキング時代4枚のアルバムからのベスト・セレクション。80年代のオリジナル盤はすでに廃盤、入手困難になっているものも多いため、手頃な値段で買える本作はファンには嬉しい贈り物。やっぱ80年代的ではありますが。
和製ボサ・ノヴァ・ポップスの傑作「どうぞこのまま」のヒットで知られ、70年代後半に活躍した美人SSW。アメリカ志向のサウンドと、アダルトを志向しつつも日本的な情感が盛り込まれた歌詞とが共存。この時代のポップス固有の生活感に懐かしさが。
(1)の30センチ・シングルやLPアルバムを持っている私にとっては懐かしい曲ばかり。時代を感じさせるサウンドが多いが、彼女の声は伸びやかで透明感があって癖がなく耳障りが良い。(1)(6)の作詞の井荻麟は、ガンダム・シリーズの富野由悠季監督のペンネーム。
最近ではミュージカル俳優としてよく知られる上條恒彦は、72年世界歌謡祭のグランプリ「出発の歌」のヒットによって一躍知名度を得たシンガー。TVの木枯らし紋次郎シリーズの主題歌「だれかが風の中に」も彼の歌唱だ。これは代表作が網羅されたベスト。
常に同世代のオヤジさんたちを励まし続ける男臭いヴォーカルが魅力。歌詞、メロディともに直球型なところが心に迫るのだろうか。もっと彼の歌を聴きたいところだがもはや新曲でのフル・アルバムはなかなか期待できないので、こういったベストで我慢か。
音楽評論家としても知られる近田春夫。これは彼の過去作品から選曲したベスト集。歌謡曲テイストとJポップの最先端感覚をミックスしていた作品群には、今の世代には驚きのテイクばかりでは。阿久悠や楳図かずおの作詞による曲もあり、最高にユニークです。
原信夫とシャープス・アンド・フラッツに宮沢昭、沢田駿吾、白木秀雄などをゲストに迎えたジャズ・スタンダード集。61年のステレオ録音の最高峰アルバムを、スーパー・アナログで有名な高和元彦の監修で、ピュアでダイナミックにリマスタリング。
65年に発表された、日本を代表するジャズとラテンのビッグバンドが左と右のチャンネルに分かれて競演した特別録音企画盤。音の厚みと迫力に圧倒される。ビッグバンドは冬の時代が続いているが、こういうCDを聴くと失ったものの大きさを痛感する。
サム・テイラーとは、「ハーレム・ノクターン」で知られ、ムード・サックス奏者として60年代の日本で一世を風靡した米人プレイヤー。当時流行していたサム流のサウンドを模して、左と右チャンネルにサックスの松本英彦と宮沢昭を配した軽音楽企画アルバムがこれ。
フュージョン、ロックと幅広い守備範囲で際立った技巧派のヴィタリ・クープリ(key)をゲストに迎え、プログレッシヴなフュージョン・ロックを展開している。ラッシュのカヴァーも巧みにこなす華麗なテクが聴きどころ。
胸にジーンとくるバラード・プレイの妙味。そんな本作品はレキシントン・ホールでの感動のライヴ・アルバム。(4)と(7)と(8)におけるミュート・プレイなどは哀愁たっぷりのナンバーで、もうたまらないといった感じ。“ゴイコヴィッチ節”を十分に堪能してもらいたい。
23分5秒にも及ぶ「歌謡浪曲・お吉物語」を含むデビュー10周年記念の大力作。全編に池多孝春の編曲が冴えわたり、聴く者を決してあきさせない。もちろん三笠優子は持ち前の誠実さを100%出しきり、まるで1曲終わるごとに御辞儀をしているようだ。
演歌ならではの“仁侠・股旅もの”のドラマティックな曲が並ぶ。新宿コマ劇場の舞台が目に浮かぶようだ。彼女のピーンと張った声が浪曲のように心地よく耳に響く。随所に入った台詞で、もはや歌の中だけとなった世界にさらに引き込まれてしまう。