1999年2月24日発売
歌の中の情景がメロディとサウンドによってリアリティを得ていたユーミンも、時代の気分に追いつかれ、情景の描き方が変って久しい。それでも、リアリティは回復しないままです。といっても、ユーミンのこれまでの作品の中での話でしかないが。
微妙なバランスで異邦人を装いつつ、東京レディのしたたかさを垣間見せたりするユーミンなのです。越路吹雪ラインで安定するかと見えた一時期を過ぎ、映像的なリアリティ以降に逆流パワーで作ったのが“関係のスタイル”で見せる虚実の世界です。
雑誌感覚の新作。今回のテーマは“純愛”。というわけで、タイトルは「舌を入れない接吻」。エイズ時代を象徴するようなテーマとタイトルだ。編集者としての手際は相変わらず鮮やかだけれど、妙にアナクロなレイアウト(編曲)も意図的なものなのかな。
昨年7月に一旦リリースが発表されたものの諸事情により発売延期となっていたユーミンの新装再発17作品が、めでたく正式リリース決定!! 結婚後初(つまり松任谷名義となって初)のアルバム『紅雀』から80年代の最後を飾ったアルバム『LOVE WARS』まで、どれもこれも“一家に一枚”級の強力アルバム。まだお持ちでない方は、今回の再発を機に一気に揃えちゃいましょうね。
久々のフランス語タイトルに、一連の同様のタイトルのものを出し続けていた時のように、アコースティックで静々とした作品かなと思ったらそうでもなく、(3)と(7)などは打ち込みの手法でかなり斬新なアレンジ。新風を吹き込んだ作品といえるか。★
まったくとんでもない処女作である。ストイックでいながらなお湿り気を残した歌声が、聴き手の感情の源泉に強烈な爪痕を刻みつける。全曲シングル・カットOKのポピュラリティと、詩に象徴される寒気すら覚えるアナーキズムが絶妙に絡み合った大傑作。★
六代目松鶴の十八番だった「高津の富」だが、小米朝は伸び伸びと語る。口跡とテンポのよさが若々しさを感じさせて心地よい。主人公の演じ方も品よく(?)その後の展開とのギャップをより明確にしている。「桃太郎」の枕は秀逸で、噺を活かしている。
今までに発表した7枚のアルバムのベスト。かぶさり気味の発声のため、デビュー当時は音程がフラットに聴こえたが、今はほんのりくすんだその声音が、彼女らしい個性となっている。いわゆる歌のうまい人ではないが、ふくよかな雰囲気が魅力的。
発売元
ユニバーサルミュージック佐藤しのぶのデビュー15周年記念企画として再発売される7点中の1点。90年10月、東京文化会館で行なわれた上演のライヴで、今をときめくアラーニャとの共演が聴きもの。
発売元
ユニバーサルミュージック92年11月の録音。必要以上にドラマティックにならず、ていねいに歌いこまれているので、そのあたりで好き嫌いがはっきり出てきそうだ。伴奏は無名の指揮者・オケだが、たいへん美しく気品があり、彼女をしっかりもり立てている。