1999年8月発売
コッセの解説によれば、オーボエはブリテン作品を理解するうえで最適な道案内ということになる。そして、最初期の作品「2つの昆虫」から晩年の「双子座」までの流れをシェレンベルガーたちの演奏で俯瞰することで、現代音楽が見いだした活路を聴く。
ニューヨークの先鋭ポップ・グループ、ディラン・グループのアダム・ピアースのソロ・ユニットの2作目。ドラマーらしくさまざまなリズムを肉感的/原始的に弾ませたパーカッシヴなインスト集で、使用楽器もいろいろ。ややジャズ風味なのがいい。
ニールとジェニファーからなるユニットの、通算8枚目のアルバム。曲という概念を一度ぶち壊してから、コラージュしてロイヤル・トラックス流に仕立て上げる術はお見事。(10)のインプロヴィゼーションには、時の流れを超越した永遠性がある。
60年代から活躍していた老ギタリストを音響野郎ジム・オルークが発掘し、自らプロデュース。フェイヒィの奏でる音色をノイズでできたトンネルの内壁に塗り込んでいくようなオルーク。5曲で45分だぞ。ラストは素のアコギ曲でトンネル抜けた心地よさ。
最新作にして、97年に収録されたライヴ。スタジオ・レコーディングとタイム感がまったく変わらないのに驚愕。どこで演奏しようとも、よれよれしてしまうギタリストなんですね。人力ながらむりやりループしたような演奏が生む、あやしい高揚は癖になる。
越前屋が初監督した『ザ・ハートマン』の曲を中心に、ローカルでかつ数回しか放送されてない番組の曲なども含まれているレア盤。音はといえばビッグバンドでソウル&ジャンプ。笑いのギミックもあって現代のコミック・バンドだねこりゃ。
金子由香利のCDはフィリップスから2枚、ビクターからは銀巴里ライヴの1枚が発売されているが、今月はCBS・ソニーからトリオ・レコード原盤の2枚が登場した。73年、74年の録音で、彼女の記念すべきデビュー・アルバムとセカンド・アルバムのCD盤で、ファンには待望のものだ。彼女のレパートリーは、今ではフランスでもほとんど歌われないものだが、彼女にとっては永年大切にしてきたものだけあって、すっかり彼女のためのオリジナルであるかのように自分のものとなっている。酒の楽しみや愛のよろこびよりも悲しい恋と人生のたそがれを独得のセリフと歌唱でじっくりと歌い込んで、聴かせる。若い人にも耳を傾けてもらいたいものだ。
フランスのオリジナルとはまったく別の魅力を持つにいたった日本の“シャンソン”。その最高の歌い手のひとりだったのが金子由香利だ。その歌のBGに添えられたさまざまなパリの街角の“音”は、なお一層、彼女の歌心を引き立てるエッセンスの役目を果たす。