音楽むすび | 2003年11月6日発売

エヴァ・シンドロームは、クラシックの深層にも侵食している。「劇場版シト新生」の予告編に使われたオリジナル全曲盤である。ありていに言えば演奏者はほとんど無名、しかし演奏水準はかなり高い。既存の名演によらず新しいものに目をむける姿勢に感服。

シリーズ中、この第四集のみ劇場版本編で使われたものとは別の音源がセレクトされている。聴いてなるほど、ストーリーのバックで流すには主張の強すぎる演奏ばかりであった。これは画面なしに心の中でイメージを反芻するための配慮だと解釈しておこう。

ソフトな語り口で女性のファンも多い、俳優の滝田栄による朗読CD4タイトル。旧約・新約聖書の中から各テーマに沿った物語を朗読。「心の安らぎ」が求められる今の時代に合わせた企画もの。

京都在住の5人組によるセカンド・マキシ。坂本龍一が作曲した映画『戦場のメリークリスマス』のテーマをモチーフにしたタイトル曲は、シングル・ヴァージョンでのリカット。ヘヴィ・ロックにメロディアスなフレーズとラップを巧みに絡ませた力作だ。

テレビでおなじみの時代劇の主題歌を集めたコンピレーション・アルバム。キング・レコード音源の中でも、比較的マニアックな支持の高い作品を収録しており、今までとは一味違った渋い1枚といえる。

久保田麻琴がアジアの街の人々の個性をフィーチャーしながら、“今”の音を作るプロジェクトが“ブルーアジア”。ベトナムの声や言葉、一弦の民俗楽器ダン・バウの調べが素晴らしく、そこにぶつける異種サウンドで、一気に異次元に飛ばされてしまう。

結成15年目に放ったアルバムだが、いい意味でそれを感じさせないフレッシュな音だ。吉田仁のプロデュースも堂に入って、60〜90年代を吸収して絶妙に今の日本語のギター・ロックにしたような輝きもあり、切なく甘酸っぱい起承転結の構成で一気に聴かせる。