音楽むすび | 2004年3月31日発売

SUM 41のサポートで来日したこともあるNY出身のパンク・ロック・バンドのメジャー・デビュー作。キャッチーでパンキッシュなサウンドとロックのダイナミズムが絶妙にマッチしている。

シンガーとしてのブルージィな魅力をフィーチャーした2003年録音作。夫のエルヴィス・コステロと6曲を共作しており、サビが美しいワルツの(2)、穏やかな(9)などは曲自体が秀逸。(11)は浮遊感がジョニ・ミッチェルに通じ、演奏にスリルがある(8)はジョニの好カヴァー。

メロディの強さの勝利だったか。決して簡単な曲とはいえぬものでも聴く者の歌唱欲を刺激する総合的親しみやすさが効く。切なさが幾重にもなぐさめられるメロディが自然に湧き出て来るように感じられるのだから、やはりただものではない、とあらためて思う。

ロン＝ティボー・コンクールに優勝し、エリーザベト・コンクールでは第3位入賞を拒否して話題となったイム・ドンヒョク。そのゆるがぬ自信の上に構築された音楽は、20歳の若者のそれではない。国籍不明のこの強靱なピアニズムは、この先どこへ行くのだろう。