2005年5月25日発売
戸川純バンドや大文字でも活動する音楽王、ホッピー神山のソロ・アルバム。2枚組全編75分のボリュームで、あらゆるジャンルの音楽を攪拌したようなシンフォニックなサウンドを聴かせる。彼が敬愛するフランク・ザッパの遺志を継ぐような渾身の大作。
中村達也のドラムを前面に押し出し完全に既存のポップ・ミュージックの雛形を離れた、セッション性の強いインストゥルメンタルでありながら、驚くほどポップな作品だ。TOKIEや會田茂一といった個性的なメンバーがイキイキと演奏しているのが分かる。
多芸の実力派。滑舌が良くて、人情味ある話しぶりに、師匠こん平譲りの“ケレン味”少々。古典の大ネタ二題に加え、定評のあるマクラを三本収録。落語になじみの薄い観客にも面白味を届かせようと奮闘しているし、ジングル挿入などの工夫も利いている。
こういう演奏を聴くと、来日直前での逝去がほんとうに惜しまれる。ロマンティックだが、きわめて堅固な造形を保って、明確な輪郭を持つ。硬軟、強弱の幅が広く、ニュアンスに富み、スケールの大きな演奏を聴かせる。録音は良くないけれど、彼の音楽を損なうほどではない。
最高の音で楽しむために!
「ローレライ」や「フォルラーヌ」(「クープランの墓」第3曲)での抑制を利かせた詩情、また「メフィスト」などでの強靭な打鍵から生み出される硬質で輝かしくかつ深い響きは、まさにこのピアニストの独擅場。「水の戯れ」の音のきらめきや、オルガンの魅力を混在させたフランク作品も味わい深い。
旧ソ連下で開花したロシア・ピアニズムを、人々は究極のロマンティシズムと位置づけるが、そこには甘さや感傷とは無縁の“理性の昇華”がある。最高のショパン弾きと言われたソフロニツキーのタッチの理知的で冴え冴えとして、何と純粋で美しいことだろうか。
スクリャービンの娘を妻にしたから、というわけでもないだろうが、ソフロニツキー(1901〜61)は生涯にわたって彼の作品を弾き続けたという。58年モスクワ音楽院でのこのライヴは、ソナタ4曲が聴ける貴重な一枚。集中力と求心力の高い、素晴らしい演奏だ。
あのリヒテルをして“神”と呼ばしめたソフロニツキー。彼のスクリャービン演奏はまさにその証となりうるだろう。テクニックのキレやタッチの強靭さ、アクの強い表現はどこかホロヴィッツを彷彿させる。否、それ以上に悪魔的な魅力を発散させる演奏だ。
グリンベルク(1908〜78)は政治的問題に翻弄され、国内外での演奏活動が制限されてしまった不遇の演奏家。明快さのなかにも物腰の柔らかさと気品を感じさせるこのモーツァルトは、彼女が20世紀ロシアを代表する女流奏者であったことを証明する好演盤である。