2006年9月6日発売
ベルリン響の首席指揮者時代の最後期の録音。シベリウスの“渋い”演奏として、典型的なひとつ。堅実で堂々とした中にも、洗練された響きが聴ける魅力的な演奏。シベリウスの代表的な録音として価値あるものだ。
この録音は貴重だ。マーラー的とされるボヘミア色やドロドロした感傷性などを取り払って、いわゆるドイツ的絶対音楽へのアプローチで表現されている。カチッとした構築性、曖昧さのない旋律の扱いや整頓された響きに、スウィトナーの美質を見いだせる。
“階級闘争の勝利”というこの曲の表層的な主題を、堂々たる威容で提示するザンデルリンク。作曲家が楽譜に隠した批判的メッセージに無頓着なのは、ムラヴィンスキーから薫陶を受けた東独の巨匠としては致し方ない。骨太ながら細部に目の行き届いた演奏である。
制作・出演
アルフレード・トルスクドルフ / オトマール・スウィトナー / カール・シュッテ / ギュンター・シャフラッシュ / シュターツカペレ・ドレスデン / モーツァルト / ユッタ・ツォフ / ヨハネス・ワルター発売元
キングレコード株式会社ある意味懐かしさを感じさせる演奏解釈とそのサウンドの蘇りであり、録音芸術の観点からは大歓迎の企画。当時の東独が置かれていた経済的・政治的状況までもが仔細に聴き取れる不思議さは秀逸であり、現状のCDフォーマットの懐の深さも実感される。
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キングレコード株式会社ハイパー・マスタリングによって蘇ったのは美しい音だけでなく、音楽を愛する魂でもあった。緩徐楽章でゆったりめに取られたテンポが絶妙で、モーツァルトの世界にたっぷりと浸れる。楽員によるソロは、オーケストラと自然な流れを作り出して、幸せな時間をくれる。
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キングレコード株式会社スウィトナー、久しぶりに聴きました。すっきりとして無駄がなく、なかなか優雅で品が良い。いい指揮者だったんだ。オーケストラがまたいい。旧東ドイツ時代のオーケストラは、いい音出している。旧ソ連のオーケストラもそうだったが、社会主義国の崩壊が恨めしい。
保守的なスタイルを貫きながら、音楽を雄々しく響かせてゆくレーグナー。今回のリマスタリングによって、その旧東独的な質実剛健さが一段と明確となった印象だ。特に「アテネの廃墟」などのマイナーな作品において、彼の手腕がひときわ冴えている。
ドイツの指揮者とオケがやったフランスの作品かあ。なんてバカにしちゃいけない。確かにフランス勢による演奏ほど華麗じゃないが、これはレーグナーの譜読みのシャープさと音色センスの良さが光る逸品だ。ことに木管と打楽器の生かし方が美しい。★
レーグナー&シュターツカペレ・ドレスデンの70年代の録音。この「ハンガリー舞曲集」は、速めのテンポですすめられ、ハンガリーやジプシーの民族色はほとんど感じられない。その純音楽的解釈は旧・東ドイツらしいといえるだろう。
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キングレコード株式会社旧東ドイツを代表する弦楽四重奏団による名演として、いまだに高い評価を得ている録音。全集の初期の頃の録音と後期の録音とをカップリング。彼らのベートーヴェンにかける意気込みが伝わってくる力演。
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キングレコード株式会社比較的珍しいシューマンの合唱曲集で、これはその代表的な録音。合唱団もソリストもプロフェッショナルな高度な技術を持ち、その上にアマチュア的な素直さがあるという稀有な演奏。合唱ファン必聴だ。
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キングレコード株式会社旧東ドイツ国営レーベルの意味を語ったライナーが、この録音の価値をも雄弁に語ってくれている。合唱曲では、スター・プレイヤーが不要なかわり、その説得力は自然さにあるのだ。力みもケレンもない落ち着いた合唱の良さは、有名曲(8)などで一番実感できそう。