2007年9月5日発売
映像でも残されているクライバーのブラームスの第4番だが、本作はその映像より十数年前の録音。ブラームスの内声部の充実した響きをウィーン・フィルから導き出し、細部まで磨き上げた逸品だ。
ラヴェルによるオーケストラ編曲版と、オリジナルのピアノ版とを聴き比べられるアルバム。アバドがBPOを駆使して目くるめく世界を描き出し、ウゴルスキのピアノもまたダイナミックで雄弁な演奏を繰り広げている。
すでにカラヤンとベルリン・フィルとの関係がギクシャクしていた時期の録音だが、さすがはプロフェッショナル同士、完璧な演奏を成し遂げている。カラヤンの語り口の上手さ、物語の構築の見事さに圧倒される。
17歳のキーシンが晩年のカラヤンと共演したチャイコフスキーと、新しくBPOのシェフになったアバドとのプロコフィエフという興味深い組み合わせ。2人の名伯楽のもと、キーシンが伸び伸びと実力を発揮している。
鋭利さに満ちたポリーニのピアニズムが堪能できる一枚。中期から後期にかけてのベートーヴェンの傑作群を集めたアルバムで、ベートーヴェンの革新性と保守性、精密な構築性などが唖然とする完璧さで開示されている。
イギリスの古楽界を代表するピノックと、手兵イングリッシュ・コンサートによる楽しいバロックの名曲の数々。ピリオド楽器の長所を発揮させ、活き活きとしたリズムで瑞々しく蘇らせている。
協奏曲は、ピリス2度目の録音。円熟の度合いを増したピリスが、細部にまで細かな情感を込めて知的にコントロールした名演だ。幻想曲や子守歌も、濃やかな表情が息づいた瑞々しいショパンを聴かせている。
ショパンのもっとも抒情的で甘美な作品集で、ピリスは全曲を録音しているが、その中から人気の高い作品を中心にセレクトしたアルバム。ピリスの親密な語らいが絶妙で、各曲の性格の描き分けも実に見事だ。
別々に発売されていたバラードとスケルツォを一緒にした、ファンにはありがたい組み合わせのアルバム。正確無比なポリーニのテクニックの上に、ショパンの感情のひとつひとつの襞(ひだ)を捉えた驚異的な演奏だ。
ムター、レヴァイン、ウィーン・フィルという豪華な小品集。ムターは、感情の赴くままに高度なテクニックを駆使して豊かなファンタジーを醸し出している。そうしたムターを引き立てるオーケストラも見事だ。
制作・出演
カリタ・マッティラ / クラウディオ・アバド / クリスティーネ・シェーファー / サラ・ミンガルド / スウェーデン放送合唱団 / ブリン・ターフェル / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 / ミヒャエル・シャーデ / モーツァルトカラヤン没後10周年の記念演奏会でのライヴ録音。感傷的にならず、過度なロマンティシズムを排除した、アバドらしい明晰な演奏。それでも十分にドラマティックに仕上がっているのだからさすがだ。
ベートーヴェンからラフマニノフまでのポピュラーなピアノ曲を集めたアルバム。ピアニストも、ヴラディーミル・ホロヴィッツからユンディ・リまで新旧を取り揃えている。曲と演奏の2つの楽しみが同時に味わえる一枚だ。
ヴァイオリン協奏曲は、カラヤンとの録音以来23年ぶりの再録音となったもの。貫禄をつけ、マズア、ニューヨーク・フィルを控えさせて、自己のベートーヴェン観を全面に押し出しての堂々たる演奏となっている。
制作・出演
アンジェリーナ・レオー / カート・オルマン / キリ・テ・カナワ / スティーヴン・ソンダイム / タティアーナ・トロヤノス / ホセ・カレーラス / マリリン・ホーン / ルイーズ・エデイケン / レナード・バーンスタインバーンスタインの傑作ミュージカルの自作自演盤だが、大物オペラ歌手をずらっと揃えての豪華絢爛盤としているところがすごい。しかもバーンスタインがかなりコントロールを効かせており、聴きどころ満載の録音だ。
中世の騎士の森での狩をイメージしたという、極めてロマン主義的な内容の作品で、ブルックナーの最もポピュラーな曲だ。ウィーン・フィルの豊かな響きを背景に、アバドならではの清新で抒情的な演奏が披露されている。