2008年2月20日発売
ムード歌謡隆盛の一翼を担った敏いとうとハッピー&ブルーのヒット曲の新録盤。2007年からメイン・ヴォーカルを担当している宍戸勝の甘く柔らかい唄声が、伝統をしっかり伝えている。全体にスッキリした軽い味わいの仕上がりで、平成世代にもウケそう。
台湾の歌姫、フィッシュ・リョンのアルバムは、スロー・チューン中心のラブ・バラード集。伸びやかで清涼感のある彼女の中国語によるヴォーカル・アルバムだが、J-POPとアメリカン・ポップをミックスしたような雰囲気のアレンジや音作りが新鮮に聴こえる。
「春の海」で知られる箏の宮城道雄が1935年に上梓した最初の随筆集『雨の念仏』(上下)を、河内桃子と滝田裕介が朗読。喋るように書かれた宮城の文章だが、舞台のベテラン二人だけに、滑舌も間の取り方も、もちろん言葉の解釈も安心して聴いていられる。
「春の海」で知られる箏の天才・宮城道雄が、1936(昭和11)年に発行した随筆集『騒音』を奈良岡朋子と遠藤剛の朗読で収録した2枚のアルバム。盲目の音楽家の音への独特な感性、当時の日常生活の出来事などを詩情豊かな文章でじっくりと味わうことができる。
「MONSTER TREE」(2003年)、「Ladybug」(2005年)などを収録した初のベスト盤。スカコア、エモ、ミクスチャーといった文脈から始まった“釈迦”は、卓越したテクニックと奔放なアイディアによって確かなオリジナリティを獲得。この25曲は彼らの軌跡そのものだ。
名古屋を拠点に活動するシンガーの2007年録音のデビュー作。しなやかでキュートなヴォーカルが持ち味で、スタンダードの「Lucky To Be Me」や「Night And Day」が印象的に仕上がっている点に資質の高さを感じる。清涼な空気感をつくりだすケニー・ランキン作「Peaceful」や温もりのあるシンディ・ローパー作「Hat Full Of Stars」もいい。
目下売り出し中の美人ピアニスト、安井さち子の通算3枚目となるリーダー作は、彼女にとって初のニューヨーク録音となった。デヴィッド・ウィリアムズ、ニール・スミスという一流リズム・セクションをバックに、日本でお馴染みのスタンダードを中心に軽やかに演奏。
70年代初頭からデンマークに居を構えていたデューク・ジョーダンは、この録音のためにフランスを訪れたようだ。94年パリでのピアノ・トリオによるライヴ録音で、ジョーダンの繊細なタッチによる美しい音色が良く録れている。洒脱なピアノが楽しめる。
1年ぶり通算5作目となるオリジナル・アルバム。デビューして10年が経つが、初期のひとりごとっぽい感覚から脱却して、近年は生命感にあふれた力強い世界を展開している。サウンド的にも非常に自由でアーティスティック。どの曲も心に響く。★