2008年9月17日発売
過度な表情付けなどに頼らない素直な息遣いと美音、知的な構成感によって、作品の内容を十全に描き出したアンスネス30代の名録音。必聴。ただしこのセットによって、第19番を収めたボストリッジとのデュオ盤は国内盤化がさらに遠のいた。それだけは再考を促したい。★
これは待望のアルバムである。キーシンの協奏曲ものはエキサイティングになるのは必定。結論から言えばそれ以上の出来。というかキーシンの芸域はさらに深みを増した印象がある。演奏における風格と興奮は必ずしも共存しないものだが、このベートーヴェンにはそれがある。いわば巨匠的な絶対的価値観や品格に、聴き手の誰をも引き込ませずにはおかない鮮烈な表現が加味されている。もはや現代では鬼に金棒。とりわけ第1番、そして第3番と第4番が素晴らしい。しばらくはこれを凌ぐ全集など考えられなくなる。
オリジナル・アルバムとしては13年ぶり。演奏も三人だけでまかなったというあたりに、ポール・ロジャースとの気の合いようがうかがえる。ロジャースの実直かつブルージィな歌いぶりを尊重した方向には異論もあろうが、そのぶんブライアンが折にふれ弾きまくっている。
西川史子をジャケットに起用し話題になったシングル。ほのぼの、しみじみ、ゆったり聴かせる4曲を収録。歌声やメロディが持つ魅力を最大限に引き立てる佐橋佳幸、スキマスイッチの常田真太郎(「君在是好日」は河口と常田の共作)によるアレンジはさすが。
実際に未来への自分に書いた手紙がもとになって生まれたナンバー。青春期に思い悩む自分と、大きな愛で包みながら優しくメッセージするオトナの自分。その先には誰にも伝わる前向きなメッセージが描かれている。感動的であり揺さぶられるナンバーだ。
キングギドラ時代のナンバーも網羅したラッパー、ZEEBRAのコンプリート・ベスト。これまで発表した楽曲からおよそ50曲をセレクト、ジャパニーズ・ヒップホップを牽引した歴史的なナンバーから安室奈美恵や童子ーTらとのコラボ曲までが楽しめる。
『カモミール』シリーズがヒットした、元ル・クプルの女性シンガー、4作目のソロ・アルバム。昭和歌謡からニューミュージック・スタンダードまでのカヴァー14トラックは、唄と演奏を同時録音。緊張と緩和の絶妙のバランスで深みのある作品に仕上がった。
70年代に米、カナダで長期ツアーを行なって伝説を作り上げたFLOWER TRAVELLIN' BANDの35年ぶり、記念すべき再結成第1弾。本来の東洋的エキゾティシズムを漂わせたスタイルを残しつつ、今に再生してのけたのがかえって新鮮味を感じさせる。まだまだいける!!
8ビットのチップ・チューン(つまり、ファミコンのピコピコ・サウンド)とエレクトロ・ハウスを融合させたユニット“セクシー・シンセサイザー”によるディスコ系のカヴァーアルバム。ドナ・サマーの「アイ・フィール・ラヴ」などの名曲が近未来的グルーヴで蘇る。
発売元
株式会社ポニーキャニオンアシュケナージ、チェコ・フィルの最初の録音として注目された一枚。アシュケナージらしい豊かな色彩を獲得し、新たなチェコ・フィルの歴史を感じさせている。素材にこだわったHQCD仕様での再発版。
発売元
株式会社ポニーキャニオンアルプス交響曲は、シュトラウスの精緻なオーケストレーションが活かされた傑作描写音楽。アシュケナージは、チェコ・フィルを駆使して壮大なドラマを作り上げている。HQCD仕様により、その効果がいっそう確かになった。
朝比奈隆の87歳の時の録音。武骨というか、直接的な演奏が、ドイツ的なシューベルト像を作り上げていて、深遠さをも感じさせている。高品質な音質を獲得したHQCD仕様での再発。
朝比奈隆が得意としていたドヴォルザークの「新世界」は、毎年ニューイヤー・コンサートで取り上げていた。スラヴ的な民族色は薄いものの、丁寧に音を積み上げ、豪放で堂々としたドヴォルザーク像を構築している。
発売元
株式会社ポニーキャニオン「展覧会の絵」は、フェドセーエフ3度目の録音。スラヴ的な濃厚な情感が色濃く渦巻いているフェドセーエフらしい演奏だ。ほかに、ロシアの現代作曲家、ボリス・チャイコフスキーの楽曲を収めている。
弦楽五重奏に編曲された、珍しいベートーヴェン。ベートーヴェンの5番と7番という、激しい推進力と大きなスケール感を持つ曲で、まったく新しい姿が現れてくる。弦楽四重奏版の序曲も秀逸だ。