2009年3月発売
デビュー20周年の記念日にリリースされたベスト・アルバム。2001年以降のアルバムからリクエストで選ばれた曲を収録したもので、CM曲など、おなじみの曲ばかりだ。彼らの歌って、元気にしてくれて、楽しくしてくれて、とにかく素敵だと思う。
通奏低音などの入らない、リコーダー2本だけで繰り広げられる優美なバロックの世界。名手の山岡と、その弟子で幅広く活躍する向江の息はぴったりと合い、しなやかな音楽を作る。すべてはフラウト・トラヴェルソの作品だが、リコーダーに置き換えられることで華やかになった。
堤にとって3度目の同作品の全曲録音。「以前よりもバロック的なものに近くなった」とは本人の弁だが、骨太な構成や、ゆったりとした呼吸感がもたらす懐深さといった持ち味を損なうことなく、見事に新境地を切り拓いている。第5番はA線をGに下げる変則調弦を採用。
発売元
マイスター・ミュージック独奏を含む多様な編成でリコーダーの響きの魅力を満喫すると同時に、この楽器が活躍したルネサンスからバロックの佳品を幅広く集めて、時代の音、様式の違いによる音の表情の変化も楽しめる聴きどころ満載のCD。山岡のウデのほども申し分なく、仕掛け十全。
注目は[21]収録の「火焔太鼓」で、1952年4月、61歳と油の乗り切った時期の録音。志ん生十八番中の十八番のネタだが、この音源はSPからの復刻を別にすれば最も古いもので、元気いっぱい、瑞々しい語り口だ。それ以外は66年録音の[22]収録の「佃祭」と[23]収録の「お直し」を除き、倒れる直前の61年の音源で間の取り方=押し引きの妙がたまらない。陰惨な噺を見事に笑いに転化した[21]の「黄金餅」、奇想天外な発想をそれとは感じさせない「二階ぞめき」、独特のフラが究極まで活かされた[22]の「替り目」など、全盛期の志ん生が味わえる。