2010年10月6日発売
小澤、ボストン響によるマーラー交響曲全集の1枚で、3番目に録音されたもの。こうした大部の曲を徹底的に整理し明確にまとめあげる才能に秀でた小澤の名演のひとつ。二人のソリストも素晴らしい。
ドホナーニ初のマーラー録音となったもの。細部まで明晰で、楽曲分析を音化しているかのような精密な演奏は、新たなマーラー演奏の時代の到来を告げるものだった。のちのマーラー演奏の先鞭をつけた画期的な録音だ。
ドホナーニはクリーヴランド管とマーラー交響曲全集の完成にこそ至らなかったが、残された演奏はどれも時代を先取りした鮮烈なものである。新ウィーン楽派の初期作品と並べたことで、マーラーの先進性が浮き彫りにされている。
ムーティ2度目のシューマン交響曲全集からの1枚。ムーティならではの推進力のある演奏で、シューマンのロマンティシズムがあふれかえっている。第2番ですら生命力に満ちている。
デュトワは、モントリオール響と出会って世界的に認められるようになり、モントリオール響も同時に世界的なオーケストラとなった。これは彼らの関係が成熟した時期の、繊細明晰で美しい名演のひとつである。
ゲルギエフがマリインスキー劇場管の首席指揮者に就任して2年後に録音されたアルバム。オペラ、バレエ、コンサートなど、同オーケストラと精力的な活動をしていた時期で、彼の熱気が伝わってくる演奏となっている。
ウィーン・フィルの定期演奏会のライヴ録音で、小澤にとって3度目の「シェエラザード」。豊かな色彩感とウィーン・フィルならではの豊潤な響きに彩られた、緊張感あふれる熱演が繰り広げられている。
ロマンティックでピアニスティックな美しさに満ちているピアノ協奏曲と、シューマン自らが最高傑作と言った幻想曲との組み合わせ。シューマンのピアニズムを十分に生かしきったブレンデルの演奏が楽しめる。
ピアニスティックかつロマンティックな、若きブラームスの最初の大作。スケールの大きなオーケストラと一体となった、シフの透明感のあるピアノが美しい。「変奏曲」では、ショルティとの連弾が聴ける。
制作・出演
アンネッテ・ビク / エディット・クルコン / エレーヌ・グリモー / オレグ・マイセンベルク / ギドン・クレーメル / シューマン / デジュー・ラーンキ / ハーゲン弦楽四重奏団 / ルーカス・ハーゲンクレーメルが主催するロッケンハウス音楽祭のライヴ録音。シューマンとゆかりの作曲家をまとめている。シューマンでのクレーメル、グリモーの共演が話題を呼んだ。ほかでは味わえない組み合わせの演奏が面白い。
ブレンデルの変奏曲シリーズの第2弾として発売されたもの。シューマンでは、遺作の変奏曲が挿入されている。ベートーヴェンも通常聴けない珍しい曲が選ばれていて興味深い。ブレンデル円熟期の名演である。
歌とピアノと二つの曲集をカップリングしている。「リーダークライス」は掛け値なしの傑作。「幻想小曲集」もシューマンらしいファンタジックな名作。グルダの読みの深さが実感できる逸品だ。ソプラノは当時のグルダ夫人。
若き日の恋から夫との死別までをうたった「女の愛と生涯」と、人間心理の内奥に迫った傑作「リーダークライス」を収録。深々とした声のノーマンの表現力によって、作品の本質が顕わになっている。
武満の還暦記念アルバム。これが録音された1990年までに書かれた主要なピアノ独奏曲を収めているので、武満の作風の変遷を知ることができる。小賀野の澄んだ音が、武満の音世界をよく表わしている。
武満徹の混声合唱曲集。シンプルで明快なメロディとハーモニーを持ち、いわゆる難しい“現代音楽”ではない。これは混声合唱のための“うた”なのである。演奏は世界に冠たる晋友会、文句なしのアルバムだ。
武満徹がニコレのために書いた「そして、それが風であることを知った」を中心に、近現代のフルート、ヴィオラ、ハープのための作品を集めている。いずれも美しい作品で、名手3人たちのアンサンブルも秀逸だ。
ショパン生誕200年を記念したベスト盤。フジコ・ヘミングが過去に録音してきたショパンの音源からセレクトしている。有名曲が中心でショパン入門としても最適だ。フジコ・ヘミングのショパンへの手紙も掲載。
男性アーティストによる女性アーティスト作品のカヴァー集。冒頭を飾る徳永英明の成功が印象的だが、ここでは槇原敬之が98年に取り上げた松任谷由実の「春よ,来い」が最も古い例となる。いずれもオリジナルにはないニュアンス、テイストが新鮮で、歌は生きていると思わせる編集盤である。