2010年10月発売
小澤指揮による70年代半ばと、若杉指揮の60年代の武満作品を集めたCDで、もともとは2枚のLPで発表されたもの。ともに武満作品において定評のある指揮者だけに、優れたソリストを擁し、その神髄に触れている。
制作・出演
アンドルー・クローレー / オリヴァー・ナッセン / ピーター・ゼルキン / ポール・クロスリー / マイケル・コリンズ / マイケル・トンプソン / マルク・ファン・デ・ヴィール / ロンドン・シンフォニエッタ / 武満徹イギリスの現代作曲家で武満の友人でもあったナッセンが指揮する2枚目の武満アルバム。ここでは最後の10年間の作品から選曲されている。淡い調性感と独特の透明感に彩られた晩年の武満ワールドが堪能できる。
武満が敬愛するニコレとホリガー夫妻に捧げた作品集。いずれも1970年と1971年の作品だ。まだ60年代の前衛の香りが強いころで、名手たちによる演奏が、尖鋭な美しさを湛えている。
フルートを愛した武満徹の80年代以降のフルート作品を、彼を敬愛するガロワの演奏で収録。後年の武満サウンドが確立された時期の作品で、スタティックで官能的なまでに美しい作品が並んでいる。
初期の傑作「ソン・カリグラフィ」、フィリップ・ジョーンズ・ブラスEns.のために書いた「ガーデン・レイン」ほか、50年代後半から70年代半ばの作品を集めている。武満の作風の変化が実感できる一枚だ。
武満徹の雅楽器と邦楽器のために書かれた作品を収録した一枚。邦楽器を使って最も成功した現代音楽が並んでいる。中でも「秋庭歌」は、雅楽器特有の音色を見事に生かし、至純の美しさを作り出している。
小澤、ボストン響によるマーラー交響曲全集の1枚で、3番目に録音されたもの。こうした大部の曲を徹底的に整理し明確にまとめあげる才能に秀でた小澤の名演のひとつ。二人のソリストも素晴らしい。
ドホナーニ初のマーラー録音となったもの。細部まで明晰で、楽曲分析を音化しているかのような精密な演奏は、新たなマーラー演奏の時代の到来を告げるものだった。のちのマーラー演奏の先鞭をつけた画期的な録音だ。
ドホナーニはクリーヴランド管とマーラー交響曲全集の完成にこそ至らなかったが、残された演奏はどれも時代を先取りした鮮烈なものである。新ウィーン楽派の初期作品と並べたことで、マーラーの先進性が浮き彫りにされている。
ムーティ2度目のシューマン交響曲全集からの1枚。ムーティならではの推進力のある演奏で、シューマンのロマンティシズムがあふれかえっている。第2番ですら生命力に満ちている。
デュトワは、モントリオール響と出会って世界的に認められるようになり、モントリオール響も同時に世界的なオーケストラとなった。これは彼らの関係が成熟した時期の、繊細明晰で美しい名演のひとつである。
ゲルギエフがマリインスキー劇場管の首席指揮者に就任して2年後に録音されたアルバム。オペラ、バレエ、コンサートなど、同オーケストラと精力的な活動をしていた時期で、彼の熱気が伝わってくる演奏となっている。
ウィーン・フィルの定期演奏会のライヴ録音で、小澤にとって3度目の「シェエラザード」。豊かな色彩感とウィーン・フィルならではの豊潤な響きに彩られた、緊張感あふれる熱演が繰り広げられている。
ロマンティックでピアニスティックな美しさに満ちているピアノ協奏曲と、シューマン自らが最高傑作と言った幻想曲との組み合わせ。シューマンのピアニズムを十分に生かしきったブレンデルの演奏が楽しめる。
ピアニスティックかつロマンティックな、若きブラームスの最初の大作。スケールの大きなオーケストラと一体となった、シフの透明感のあるピアノが美しい。「変奏曲」では、ショルティとの連弾が聴ける。
制作・出演
アンネッテ・ビク / エディット・クルコン / エレーヌ・グリモー / オレグ・マイセンベルク / ギドン・クレーメル / シューマン / デジュー・ラーンキ / ハーゲン弦楽四重奏団 / ルーカス・ハーゲンクレーメルが主催するロッケンハウス音楽祭のライヴ録音。シューマンとゆかりの作曲家をまとめている。シューマンでのクレーメル、グリモーの共演が話題を呼んだ。ほかでは味わえない組み合わせの演奏が面白い。
ブレンデルの変奏曲シリーズの第2弾として発売されたもの。シューマンでは、遺作の変奏曲が挿入されている。ベートーヴェンも通常聴けない珍しい曲が選ばれていて興味深い。ブレンデル円熟期の名演である。
歌とピアノと二つの曲集をカップリングしている。「リーダークライス」は掛け値なしの傑作。「幻想小曲集」もシューマンらしいファンタジックな名作。グルダの読みの深さが実感できる逸品だ。ソプラノは当時のグルダ夫人。