2010年3月発売
ピアノの鳴らしっぷりがいい。ただしそれは、剛腕・粗暴・硬直した音を出すという意味ではなく、あくまで適切にコントロールされ、楽器自体を美しく効果的に鳴らしているということ。音楽も妙な身振りがなく、率直にして毅然としたもの。★
ウラディーミル・ユロフスキー&ロンドン・フィルの快演! ブラームス:交響曲第1番、第2番(2CD) 「ポスト・ゲルギエフ」の呼び声も高いウラディーミル・ユロフスキー。首席指揮者を務めるロンドン・フィルハーモニーとの新録音はブラームスの交響曲集。すでにオペラ指揮者としてゆるぎない名声を確立しているユロフスキーの実力は、コンサート・レパートリーでもかなり高度なものがあり、ラフマニノフやチャイコフスキーでも、細部まで表現意思の徹底した演奏が、オーケストラとの良好な関係を窺わせる見事な仕上がりをみせていました。 今回のアルバムでは、交響曲第2番のサンプルを聴きましたが、楽譜通りの二管編成とヴァイオリン両翼型の楽器配置による各パートのよく聴こえるサウンドがまず快適。これに快調なテンポ設定と、思い切りの良い表現でクライバー以来とも思える爽快きわまりない演奏を実現しています。 特に第4楽章、8分25秒でビュンビュンとばす快速テンポは実に心地よいもので、終演後はロンドンの聴衆も大いに盛り上がっています。 【収録情報】 ブラームス: CD1 ・交響曲第1番ハ短調 Op.68 CD2 ・交響曲第2番ニ長調 Op.73 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 ヴラディーミル・ユロフスキー(指揮) 録音時期:2008年5月25日(第1番)、2008年9月27日(第2番) 録音場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール 録音方式:デジタル(ライヴ) 【ユロフスキー・プロフィール】 1972年4月4日、モスクワに誕生。父は指揮者のミハイル・ユロフスキ。モスクワ音楽院で基礎を学んだのち、家族と共にドイツへ移住した1990年からは、ドレスデンおよびベルリンの高等音楽学校で研鑚を積みました。 1995年、アイルランドで催されるウェックスフォード音楽祭において、リムスキ=コルサコフの歌劇『五月の夜』を指揮して正式にデビュー、この成功で、早くも同年コヴェント・ガーデン王立歌劇場に招かれて『ナブッコ』を指揮、大きな注目を集めました。 1997年には、ベルリンのコーミシェ・オーパーへの客演をきっかけに、同歌劇場初の「カペルマイスター」に就任、2001年まで続いたこのポストは、ユロフスキの名をヨーロッパ本土で大いに高めました。 その他にも、ヴェニスのフェニーチェ座、パリのバスティーユ歌劇場、ブリュッセルのモネ劇場、ドレスデン州立歌劇場、ボローニャのテアトロ・コムナーレ、そしてコヴェント・ガーデン王立歌劇場などに継続的に客演、1999年にはメトロポリタン歌劇場で『リゴレット』を指揮してアメリカにも進出。ミラノ・スカラ座へは『エフゲニー・オネーギン』でデビュー済み。特に、ウェールズ・ナショナル・オペラでの『パルジファル』と『ヴォツェック』、メトロポリタン歌劇場での『スペードの女王』、パリ・オペラ座での『戦争と平和』、グラインドボーン音楽祭での『魔笛』、『チェネレントラ』、『オテロ』は大評判を取り、オペラ指揮者として既にゆるぎない名声を確立しています。 オペラ以外にも、既にベルリン・フィル、ロッテルダム・フィル、ロンドン・フィル、フィラデルフィア管弦楽団、ピッツバーグ交響楽団、シュターツカペレ・ドレスデン、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団などに客演、コンサート指揮者としても大活躍しています。 現在、グラインドボーン音楽祭の音楽監督、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団及びロシア・ナショナル管弦楽団の首席客演指揮者を務め、精力的な活動を展開中。 Powered by HMV