2010年5月26日発売
長谷川伸による戯曲『瞼の母』を原作にした股旅演歌。岡千秋作曲による楽曲は、メジャーとマイナーを同主調で転調していく、演歌では珍しいモダンな構造。天童よしみの安定感バツグンの歌唱力もさることながら、舞台を演じているかのようなセリフも見事にさえわたった、見せる演歌。
情感をやわらかに絞り出す歌唱スタイルが魅力の永井みゆきならではの、ほんわかとした夫婦もの演歌だ。「愛縁坂」では、じんわりと幸せ感が伝わってくる。女房の母性に男は包まれている社会なんだなーと思わせる「だんじりの女房」など、岸和田出身の彼女らしい歌を聴かせる。
ラッパーのNasとボブ・マーリーの息子のユニットによるアルバム。ヒップホップとレゲエというジャンルの融合=どちらの要素もある中間色の世界を感じる。その上で彼らのルーツであるアフリカ大陸がサウンドの背景に広がりを見せている。現実の抱える諸問題を踏まえた歌詞には、深く重く哲学的な強い意思を感じる。★
発売元
ユニバーサルミュージックDJ界のプリンセスと呼ばれている彼女のアルバム。レディー・ガガ、ジャスティン・ビーバーといった旬なアーティストの楽曲はもちろん、「Ready Go Go」では傳田真央、COMA-CHI、HUNGER (GAGLE)とコラボレーションした、アゲアゲのパーティ・チューンを披露している。洋楽・邦楽問わず、踊れる30トラックの熱気を体感できる。
レーベルを移籍し、レパートリーをJ-POPやオリジナルにまで拡大しての第4作。ジャジィなハーモニーは相変わらず見事だが、ナチュラルな録音と相まって、リラックス感も強化。「カケラたち」は知る人ぞ知る松倉サオリのアルバム曲。こうした曲をカヴァーするセンスの良さが、アルバムの背骨になっている。
リリカルで繊細なピアニズムによる異色のベートーヴェン演奏として話題を呼んだ録音。ルプーの美質が前面に出ているうえ、独特の美しさを湛えていて高い評価を得た。メータの伴奏もピアノをどっしりと支えている。
ルプーの日本でのデビュー盤で、リリカルなピアニズムと堅固な構築感をもった新鮮なベートーヴェンとして好評を得た一枚だ。SHM-CD仕様によって、ルプーの紡ぎだす音が一層冴えわたる。
ルプーの繊細な感受性によって、この曲の抒情性と古典的な均整美が磨きあげられ前面に出ている演奏として話題となった一枚。デ・ワールト、ロンドン・フィルも、ルプーの資質を活かした演奏をしている。
ブラームス初期の3つのソナタのうち、規模が大きく5楽章という変則形式のソナタを、ルプーが豊かな感受性で晦渋さの残るこの大曲を見事にまとめあげている。彼の美質が活きた「主題と変奏」も聴きものだ。
ルプーのシューベルトのなかでもこの即興曲は、彼の美質である繊細で透明感あふれる演奏が最大限発揮されていて評価も高い。ルプーの代表的録音にして、いまだにこの曲の代表盤のひとつでもある。
ルプーの代名詞ともいえるシューベルト。81年にハンブルクで録音された「楽興の時」「ソナタ第19番」を収録。シューベルトの世界観をみごとにとらえた演奏が、高音質のSHM-CD化によってより深く堪能できる。
93年に録音された、シューマンのよく知られた作品3つをカップリングした一枚。性格をよくとらえ、華美にしすぎずに色鮮やかな演奏を聴かせてくれるあたりはルプーならでは。SHM-CD化により高音質で堪能できる。
ハーンのルーツ(カーティス音楽院)繋がりのカップリングは意外ながら大いに楽しめる。米加の主要オケが共同委嘱した作品がリヴァプールで録音された経緯は不明なれど、出来上がった音(演奏)は深い。DGのリリースながらアビーロードのスタッフが加わって、すっきり見通し良い録音に仕上がった。★
日本語で“変容”と名付けたアルバム。リストのソナタで高い評価を受けた彼女がどのように変容していくのか。スカルラッティ、ラヴェル、ストラヴィンスキー……そこから見える鮮烈なリズムと音色へのこだわり。彼女の方向性を見据えたプログラムでステップ・アップを図った成果と言えそうだ。