2012年10月20日発売
ANZIC の主宰者であり、クラリネット他マルチ・リード奏者として、才能を発揮するアナット・コーエンの通算6作目となる最新リーダー作。 兄のユヴァル、弟のアヴィシャイを持つコーエン兄弟の長女。言わずと知れた音楽一家に育ったことが、彼女に与えたものはもちろん大きいはずですが、それにしても、驚くべきは、彼女が吸収し、表現する音楽の幅の広さでしょう。 本作に至るまでの5作品に関しても、トラッド・ジャズからブラジル、自らのルーツであるジューイッシュ的なメロディと、様々な音楽が演奏されて来ましたが、本作では、またさらにステップ・アップがあります。バックには、ジェイソン・リンドナー、ジョー・マーティン、ダニエル・フリードマンと、N.Y. を拠点とした達人が参加。1曲目は、ポスト・バップでN.Y. らしいスタイリッシュで切れ味が鋭いカルテット・サウンドで幕を開けますが、演奏される11曲は、まさに十曲十色。有名シャンソン「ラ・ヴィ・アン・ローズ」は古くジャズ黎明期の薫りも漂うディキシー的アレンジ。ワイクリフ・ゴードンの渋いベース・トロンボーンにダミ声のヴォーカル、そこに優雅さ漂うアナットのクラリネットが合わさって、実にいい味わいに。っと思うと、ジューイッシュ旋律と東洋的なものが入り混じる哀愁のナンバー(M-3)あり、アフリカン・グルーヴ(M-9)あり、ピシンギーニャのナンバーで快活かつ、めくるめくように吹きまくるブラジリアン・ナンバーあれば(M-10)、同じブラジルの楽曲でも、シコ・ブアルキーヴィニシウス・ジ・モライスートム・ジョビンのナンバー(M-8)はサウダージたっぷりに。その演奏は、“クラリネットとは、かくも饒舌で表情豊かであったのか!”と思わせる説得力をも持っています。もちろん、それは、アナットの楽曲解釈力とセンスによるものに他なりませんが。ラストのアブドゥーラ・イブラヒムの名バラード「ウエディング」まで聴きどころ満載です。 中学校時代からクラリネットを中心にした演奏活動をするというアナット。イスラエルに生を受け、元々持っていた視野に加えて、90年代にアメリカに移住したことをきっかけとして、自らの表現を求め続けるアーティストの今後は、非常に楽しみ。イスラエルには、本当にたくさんの才能があることも感じる一枚です。(新譜案内より) Anat Cohen(cl, bcl, ss, ts) Jason Lindner(p) Joe Martin(b) Daniel Freedman(ds) With Special Guests:; Paquito D’Rivera(cl on M-5, 7, 9 & 10) Wycliffe Gordon(tb on M-2 & 7,vo on M-2) Gilmar Gomes(Per on M-6,9,10) Recorded by James Farber at Avatar Studios, NYC, December 27 & 28 2011 Produced by Anat Cohen, Daniel Disc1 1 : Anat's Dance (6:42) 2 : La Vie En Rose (6:17) 3 : All Brothers (8:49) 4 : As Rosas Nao Falam (5:58) 5 : Nightmare (4:19) 6 : Tudo Que Você Podia Ser (7:37) 7 : And The World Weeps (7:41) 8 : Olha Maria (6:05) 9 : Kick Off (2:42) 10 : Um A Zero (4:43) 11 : The Wedding (6:11) Powered by HMV