著者 : もりたなるお
新田次郎賞作家が描く書き下ろし時代小説。大相撲黎明期を綴る三つの物語。 「雷走る」 相撲に志を抱くも、八百長相撲ばかり取らされてきた雷権太夫は、幕府により禁止されていた勧進相撲を復活させようと町奉行所に掛け合うが──。 「谷風吹きまく」 最強の座を追い、圧倒的な強さで勝星を重ねる谷風、その最大の好敵手・小野川、そして伝説の力士・雷電ー。江戸相撲黄金期に繰り広げられた名勝負。 「陣幕立つ」 明治政府の欧化政策により勢いを失っていた相撲界。陣幕久五郎はその再生のために力士顕彰事業を思いつく。番付最高位“横綱”誕生の秘話。 舞の海氏推薦! 「清く争い勝を制すーー大相撲の真髄がここにある!」 雷走る 谷風吹きまく 陣幕立つ
徳川の禄をいただくものであっても、心の地にはやすのは八王子の人情と文物-。武蔵・八王子に逃れた武田家旧臣の小人衆。武田家再興を図るか、徳川体制に従うか、千人同心を組織した彼らが選んだ道は!?郷土色豊かに描く書下ろし長編歴史小説。
飢饉にあえぐ天明年間、すべての厄を払う超人の出現を願う庶民の前に、忽然と現れた力人-。史上最強の実力を誇りながら、抱え主松平不昧侯や相撲会所の思惑に絡め捕られ、辛酸をなめる雷電が、苦悩のすえに抱いた大望とは…。伝説の力士雷電の、数奇な生涯の物語。
昭和11年2月26日の未明、大雪の東京で陸軍皇道派青年将校が約1400名の兵を率いて「昭和維新」をめざすクーデターを決行。首相・陸相官邸・警視庁へ殺到した蹶起部隊と対峙する警察当局は…。国家の危機のさなか、要人警護に身命を賭し、重臣の盾となった警察官の苛烈な命運を描く。
定年まで、ずっとここの署に勤めたいと西沢は思っていた。それはかなえられそうな気もするのだ。なぜ築地署に勤めつづけたいかというのは、管内の、しかも至近距離に歌舞伎座があるからだ。歌舞伎好きの西沢にとり、これはたまらない魅力だった。歌舞伎の十八番「仮名手本忠臣蔵」の千秋楽に築地署刑事が見たものは…!?