著者 : アンドレア・ボールター
家族を失った悲しい記憶を振り払おうと、パリに出てきて1年のゾーイ。インテリアデザイナーとしての仕事がなく、預金も底をつきかけ、田舎町に帰るしかないと諦めそうになったとき、チャンスが到来する。不動産王ジュール・デュランの求人に応募し、面接までこぎつけたのだ。ゾーイは彼の両親の家を改装する仕事に採用されて張りきる一方、彼の整った顔立ちや圧倒的なオーラに戸惑うのだった。そんなある日、ジュールからセーヌ川のディナークルーズに誘われる。ドレスやアクセサリーまで贈られ、ゾーイは思わず舞い上がるが、ジュールのなにげない言葉が、彼女の乙女心をえぐった。「恋人はいない。今もこれからも。デートは3回までと決めているんだ」。
ホリーはフロリダの片田舎から単身ニューヨークへやってきた。不動産会社で働く弟のつてで会社のアパートメントをしばらく借り、仕事も生活も失敗続きの人生の再スタートを切るつもりだった。ところが、誰もいないはずの部屋には、長身のたくましい先客がー弟の会社の副社長イーサンがいて、ホリーを追い払おうとした。外はやみそうもない大雨だし、ホテルに泊まるお金なんてないのに!これまでのままならない人生が思い出され、思わず涙する彼女に、ついにイーサンが折れて、一晩だけふたりで過ごすことになった。でも、身の上話をするうち、彼から婚約者のふりを頼まれるとは、ましてや胸がこんなに高鳴るとは、思ってもみなかった…。
孤児のマリーは里親家庭をたらい回しにされながら、奨学金で大学を卒業し、今は自らが支援を受けた慈善団体で働いている。ある日、マリーに思わぬ転機が訪れた。カンヌにある本部に呼ばれ、慈善イベントのマネージャーに抜擢されたのだ。一緒に仕事をする裕福な支援者ザンダーが現れた瞬間、優雅で自信に満ちたハンサムな彼を見て、マリーは息をのんだ。さる公国の王子で、亡き姉の幼い娘を後見する彼は慈悲深くもあった。好きにならずにいられない…でも、身分の違いを忘れてはだめよ。そんなマリーの気も知らず、ザンダーは彼女に豪華なドレスを着させ、“同僚”として次々と上流階級のパーティに連れ歩くのだった…。