著者 : キム・ソヨン
キム・ウォニョン(作家・ダンサー・弁護士)、キム・ソヨン(読書教室運営)、イギル・ボラ(作家・映画監督)、チェ・テギュ(獣医)という、背景も活動分野も異なる4人によるエッセイ集。 コーヒー、靴下、テレビ、本といった身近な存在の言葉をはじめ、ゆらゆら、ひそひそ、ひんやりなどの状態や様子を示す言葉について、それぞれが文章を綴る。 4人の文章に触れることで、新たな気づきや視野の広がりが感じられる1冊。 牧野美加さんのなめらかな日本語訳が心地よいリズムを刻む。
心の傷もわかりあえなさも、 すべてを詩にしたとき、母を愛せるようになったーー。 この世の痛みの声に耳を澄ます詩人が、 母、父、心の傷、そして回復までを綴ったエッセイ集。 奥歯を噛みしめて耐えること、奥歯を噛みしめて愛すること。 何もできなかったあのころ。それは、詩のうまれゆく時間であった。 生きることそれ自体が、詩になる。 それは特別なことではなく、あなたの人生もまた詩なのだ。 寒さに震える心をそっと包み込む、かぎりなくあたたかな30篇のエッセイ。 キム・ソヨン「日本の読者へ」と、三角みづ紀(詩人)による応答エッセイを付す。 日本の読者へ はじめに 1 母を終えた母 2 口があるということ 慶州市千軍洞の敵産家屋 振り返らせる 歩いてそこへ行く 少し違うこと 懐中電灯を照らしながら歩いた夜 場所愛 topophilia 間隙の卑しさの中で 祈りをしばしやめること 私を煩わせる「無」 パンと彼女 失敗がきらめく 「積ん読」と「積ん読の対義語」 無能の人 あらゆる者の視点 3 儚い喜び 4 「途方もなさ」について じたばたのつぎのステップ 音なき岩 皮膚を剥がす 奥歯を噛みしめる わたしが詩人なら 楯突く時間 得る 二〇三〇年一月一日 火曜日 晴れ 明日は何をしようか 木の箸と木彫りの人形 平和であれ 5 二箱の手紙 応答 忘れないために、手放すために 三角みづ紀 監訳者あとがき たとえ奥歯はすりへろうとも
見えない場所、聞こえない声、いまだない言葉 語りえない物語のために 詩が広く愛されている韓国において 文学性と社会性を兼ね備え、深く心に刻まれる詩を紡ぐ キム・ソヨンの単著詩集を初邦訳。 韓進自動車の労働者の闘争に寄り添って書かれた「主導者」、 映画「詩人の恋」で朗読された「だから」など、49編を収録。 第八回日本翻訳大賞受賞作『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』の監訳者 姜信子による翻訳でお届けします。 「詩は読み解くものではなく、生きるもの。 埋めるべきものがあるとすれば、 それは、詩を生き、旅を生きる自分自身の空白なのですから。 この詩集を手に取って旅人となったあなたも、それは同じ。 今さら気づいても、もう引き返せない。 (ああ、なんてこと、キム・ソヨン!)」 ーー姜信子(訳者あとがきより) ーーーーーー 「セレクション韓・詩」は、 韓国語で紡がれた同時代の詩のことばを贈るシリーズです ーーーーーー 第一部 遺書なき皮膚を軽蔑します 陰/ああ、バートルビー/主導者/数学者の朝/だから/おもちゃの世界/平澤/そういうこと/定食/愛と希望の街/オキナワ、チュニジア、フランシス・ジャム 第二部 痛みは若葉の色に 旅人/ひとり/反対語/激戦地/痛みは若葉の色に/ワンルーム/一味ども/夜明け 第三部 便りが必要 熱帯魚は冷たい/重なりあう椅子/望遠洞/外に生きる人/郵便受け/噓/ほこりの見える朝/誕生日/風船人間 /坑/別れる者のように/内面の内情/誰かが隣でしきりに問いかける/ふたり/秘密の花園/傾きについてーシン・ヘオクに 第四部 河と私 異邦人になる時間/河と私 第五部 遠い場所になりたい 未来が降りそそぐなら/失敗の場所/ふとんの不眠症/広場の見える部屋/幸いなること/メタファーの質量/終バスの時間/在ること、成ること/二十回の二十歳/ほんとにほんとに楽しかった/ガリバー/玄関 解説 凛々しく悲しくーーファン・ヒョンサン 訳者あとがき ああ、なんてこと、キム・ソヨン!