著者 : サキ
本邦初刊行! サキによる長篇小説! シニカルでブラックユーモアに溢れた世界観が特徴の 短篇作品の巧手サキ。 20世紀初頭のロンドン、豪奢な社交界を舞台に、 独特の筆致で描き出される親子の不器用な愛と絆。
ドイツ帝国に支配された架空のロンドンを舞台とした、 「短編の名手」サキによる、 本邦初訳ディストピア歴史IF群像劇! ドイツによる支配が始まってから数ヶ月。街には独英二ヶ国語の文字が並び、ドイツ風の名前の料理店やカフェが軒を連ね、バッキンガム宮殿にはドイツ国旗がはためき、ロンドンはすっかり様変わりした。 その頃社交界では、体制に迎合する者、上手く利用しようとする者、反対する者、関心を持たぬ者など、さまざまな思惑をもった人物たちが、それぞれ己のため、あるいは国のために活動していた。 有閑階級夫人のシシリー・ヨービルが華やかなパーティや催しごとを開く中、野心的な人々が敗戦下での地位を築くために政治劇を水面下で繰り広げる。一方、ドイツによる英国支配をより堅固なものにするべく、クワル卿なる怪人物が暗躍する。 そして、ある晴れた暖かい五月の午後のハイド・パーク。支配を象徴するかのように、高らかにファンファーレを響かせるパレードを従えたドイツ皇帝が、ついにその姿を現す── 第一章 鳴鳥と気圧計 第二章 帰国 第三章 メツゥキー・ツァール 第四章 立ち入るべからず(エス・イスト・フェルボーテン) 第五章 親類になる方法(ラール・デートル・クージン) 第六章 クワル卿 第七章 誘惑 第八章 初日公演 第九章 「記憶に残すべき」夜 第十章 よぎる考えと「礼拝(テ・デウム)」 第十一章 喫茶店 第十二章 旅の連れ 第十三章 トーリーウッド 第十四章 午後の大きな勝利 第十五章 巧みな商売人 第十六章 朝日 第十七章 今シーズンで一番のイベント 第十八章 言い訳が通じない死者たち 第十九章 小狐 訳者あとがき 深町悟
森の中でヴァン・チールは裸で岩の上に寝そべる若者に出会う。浅黒い肌に獣のような目をしたこの野生児は「子どもの肉にありついてから二ヵ月はたつ」と不気味なことを言うのだった…「ゲイブリエル・アーネスト」他、全36篇。初期短篇集『ロシアのレジナルド』、没後出版の『四角い卵』に、その後発掘された作品を収録した新訳サキ短篇集第四弾。サキの生涯と作品を概観したJ・W・ランバート「サキ選集序文」を付す。
やんちゃで愉快で、動物が大好きーー 短篇の名手サキの姉が、子供時代からその死まで、 弟との日々を愛を込めて語った評伝に、 これまで未訳だった短篇作品を加えたコレクション! サキ直筆イラストも収録! 第一部 評伝 サキ伝 Biography of Saki(H.H.Munro) エセル・M・マンロー ヘクター・ヒュー・マンローのこと A Memoir of H. H. Munro ロセイ・レイノルズ 第二部 サキ短篇選 マッピンテラスの生活 The Mappined Life 失われた魂の像 The Image of the Lost Soul 包みを持ったジャドキン Judkin of the Parcels 聖人とゴブリン The Saint and the Goblin クローヴィス、ビジネスのロマンなるものを語る Clovis On The Alleged Romance Of Business 古都プスコフ The Old Town Of Pskoff カール・ルードウィヒの窓 Karl - Ludwigs Window ラプロシュカの魂 The Soul Of Laploshka 青年トルコ党の悲劇 二つのシーン A Young Turkish Catastrophe In Two Scenes ほか
子供には武器のおもちゃや兵隊人形ではなく平和的な玩具を、という記事に感化された母親が早速それを実践にうつすが…「平和の玩具」。その城には一族の者が死ぬとき近隣の狼が集まって一晩中吠えたてるという伝説があった…「セルノグラツの狼」他、全33篇。ショートショートの異才サキの没後出版の短篇集を初の完訳。
十月の午後というのに窓を開けっぱなしにしているのはなぜか。少女の話では、三年前、このフランス窓から猟に出ていった叔母の夫と弟二人が荒地の沼に呑まれてしまう事件があった。三人がいつか帰ってくると信じている叔母は、以来、この窓を開けたままにしているというのだが……ショートショートの名作「開けっぱなしの窓」。列車内で騒ぎ立てる子供たちを大人しくさせるため、相客になった独身男が話して聞かせた“やんなるくらい良い子”のお話とは……反教訓的な皮肉の利いた「お話上手」など、全36篇を収録。 生彩ある会話と巧みなツイスト、軽妙な笑いの陰に毒を秘めたサキの名短篇集『けだものと超けだもの』(1914)を初の全訳。いきいきとした新訳で原作の味を伝える、好評『クローヴィス物語』に続くサキ短篇集第二弾。エドワード・ゴーリーの挿絵を収録。 女人狼 ローラ 大豚と私 荒ぶる愛馬 雌鶏 開けっぱなしの窓 沈没船の秘宝 蜘蛛の巣 休養にどうぞ 冷徹無比の手 出たとこ勝負 シャルツーメッテルクルーメ方式 七羽めの雌鶏 盲点 黄昏 迫真の演出 テリーザちゃん ヤルカンド方式 ビザンチン風オムレツ 復讐(ネメシス)記念日 夢みる人 マルメロの木 禁断の鳥 賭け クローヴィスの教育論 休日の仕事 雄牛の家 お話上手 鉄壁の煙幕 ヘラジカ 「はい、ペンを置いて」 守護聖人日 納戸部屋 毛皮 慈善志願者と満足した猫 お買い上げは自己責任で 訳者あとがき
皮肉屋で悪戯好き、舌先三寸で周囲を振りまわす青年クローヴィスの行くところ、つねに騒動あり。「トバモリー」「名画の背景」「スレドニ・ヴァシュタール」「運命の猟犬」他、全28篇を収録。辛辣な諷刺と残酷なユーモアに満ちた“短篇の名手”サキの代表的作品集を初の完訳。序文A・A・ミルン。エドワード・ゴーリーの挿絵16点を収録。
残酷さとユーモア、とぼけた語り口、簡潔な文体で、心の暗部を描き出すサキ。新訳4篇を含む86篇を発表順に編集して2冊で贈るサキの決定版。本巻には、人間の醜聞を次々と暴く、言葉をしゃべる描の話『トバモリー』をはじめ、『ハツカネズミ』『エズミ』など44篇収録。
心優しきニヒリストで冷笑的なヒューマニスト・サキ。ユーモアと幻想、奇抜な着想で人間の暗黒部分を描き出す短篇の名手・サキ。新訳4篇を含め彼の短篇86篇を発表順に2分冊で贈る決定版。本巻には、伯母のお伴でデパートのバーゲンセールに行き、店員になりすまし、お客からもらったお金をポケットに入れてしまう甥の話『夢みる人』をはじめ、『マルメロの木』『禁じられたハゲタカ』など42篇を収録。
ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。豊かな海外旅行の経験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような諷刺を隠した彼の作品は、ブラックユーモアと呼ぶにふさわしい後味を残して、読者の心に焼きつく。『開いた窓』や『おせっかい』など、日本のSFやホラー作品にも多大な影響をあたえた代表的短編21編。