小説むすび | 著者 : ジュリア・ジャスティス

著者 : ジュリア・ジャスティス

イタリアの花嫁イタリアの花嫁

暖炉の掃除を命じられても、 屋根裏に住んでいても、私はレディ。 天涯孤独のアレグラは優しい親戚のもとに身を寄せていたが、 親戚が亡くなるや、その新妻によるいじめが始まった。 半分イタリアの血を引くアレグラを疎ましく思う新妻は、 彼女を薄汚れた屋根裏の倉庫に追いやり、メイド扱いしようとした。 そんな不遇なアレグラだったが、ある夜会で運命の出逢いを果たすーー 女性を誘惑してもてあそぶと噂の悪名高き放蕩男爵ウィリアム。 若い娘はみな怖がってこの男爵に近づこうとしないというのに、 アレグラは彼の魅力に痺れている自分に戸惑った。 さらに、その夜会で親戚の新妻がアレグラを見世物にしようとしたとき、 ウィリアムが颯爽と前に進み出て、そつなく彼女を辱めから救い……。 亡き父が音楽家で、上流階級のうるさ型からは旅まわりの楽団の娘と見下されているアレグラは、じつはイタリアの子爵の孫娘でした。そんな彼女に目をつけた社交界随一の放蕩男爵ウィリアムは、はたしてどんな意図を持って彼女に近づいてきたのでしょうか?

男爵と売れ残りの花嫁男爵と売れ残りの花嫁

誰も私を花嫁にしたがらない……。 そんな売れ残りの娘を見つけたのはーー 牧師の娘イライザは高貴な生まれではなく、持参金もわずかばかり。 社交界デビュー2年目となる今年こそ、結婚を決めるか、 それがだめなら一生独身か、二つに一つーー最後のチャンスだ。 だがいまだに、地味で縁故もない彼女に関心を示す若者は現れない。 ある日、舞踏会で中老の子爵が転びそうになったところを助け、 子爵と仲よくなったイライザは、互いに好きな読書の話に花を咲かせる。 それを苦々しく見ていたのは、子爵の息子のストラサム男爵ジャイルズ。 あの若くて貧しい娘は、裕福な子爵の後妻の座を狙っているのでは? そこでジャイルズは監視するために自らイライザに近づくが、 一緒にダンスを踊り、連弾をし、会話を交わすうち、彼女に魅了され……。 牧師の家に生まれたヒロインのドレスは経済的事情から古くて地味なものばかり。それでも、語学堪能で音楽や絵画、乗馬なども得意な彼女は、ジャイルズの目にはどんな貴族令嬢よりも輝いて見えるのでした。目立たぬ花こそ美しいーーそんなヒロインの恋物語です。

ふさわしき妻はふさわしき妻は

妻にはぜひ慎ましい女性を選ぼうーー まさに彼女とは正反対の。 しおれた花束を手に、クラリサはメイドのお古を着て広場に立っていた。 舞踏会の夜、不良貴族に臆病者呼ばわりされて黙っていられず、 花売り娘になれるか否かという賭けに応じてしまったのだ。 レディが一人で夜の暗がりに立つなど危険すぎることも忘れて。 案の定、通りがかりの粗暴な大男に路地裏へ引きずり込まれ、 絶体絶命と思われたそのとき、長身の救世主が颯爽と現れた。 彼の正体は、訳あって花嫁探しをしている不機嫌な子爵、シンジン! 先ほどの舞踏会でクラリサに向かって、妻に求める条件を満たさないーー 慎みがなく、率直さも、節度もないと言い放った男性だ。 ああ! こんな惨めな姿を、誰よりも見られたくなかった相手なのに……。 華やかなリージェンシーの旗手、ジュリア・ジャスティスの名作をお届けいたします。顔を合わせるたび、クラリサはシンジンに背を向けられてきました。けれども暴漢から救われたのを機に、ほかの貴族とは異なる彼に強く惹かれ始めている自分に気づいて……。

富豪伯爵に解かれた封印富豪伯爵に解かれた封印

君はなぜ、隠していたんだ? これほどまでに美しいことを。 英国屈指の富豪で有力者でもあるボウリュー伯爵は、 弟が田舎で銃の暴発事故に遭って瀕死と聞き、急いで駆けつけた。 見ると、ベッドに力なく横たわる弟のそばに、 不格好な茶色のドレスに頭巾といういでたちの老婆がいた。 なんでも、この村に暮らしている薬草医だという。 今は夜で、目深にかぶった頭巾の陰になって顔がよく見えないが、 こんな老婆にだいじな弟の命をまかせられるものか! 苛立ちを募らせるボウリュー伯爵はしかし、朝の訪れとともに、 思いがけない光景を目にしたーー陽の光を浴びた“老婆”は、 なんと若く美しい知性に富んだ顔の淑女だったのだ! ヒロイン、ローラが身をやつして、ひっそりと暮らしているのは、以前の不幸せな人生から逃げ出してきたからでした。それを誰にも知られないようにしてきたのに、“謎解き名人”としても知られるヒーローは、何やら秘密を抱えている様子の彼女に興味深々で……。

伯爵の不都合な花嫁伯爵の不都合な花嫁

伯爵家を継ぐ貴公子にとって、 私は不都合な花嫁でしかないのに……。 テンパーは恋多き母のせいで、上流階級の口さがない人々から、 どうせ娘も同類だろうと、いわれなき噂を立てられていた。 男性に対してトラウマのある彼女は、母とは違うのに。 ある日、テンパーは父に強いられて社交界デビューが決まり、 兄の親友で伯爵家子息のギフが護衛を務めることになった。 手が触れただけで甘い衝撃の走る彼が、そばにいるなんて……。 戸惑うテンパーだったが、舞踏会が開かれた屋敷の寝室で、 期せずしてギフと二人きりでいるところを他人に目撃され、大騒動に。 テンパーの評判を守るため、ギフはやむなく彼女に求婚した。 夫婦の契りを結ばない、白い結婚ならとテンパーは答えるがーー 妻にするなら成熟した上品で穏やかな淑女でなければならないと考えていた貴公子ギフ。それが蓋を開けてみれば、じゃじゃ馬のテンパーを娶ることに。しかも、彼女は夫となるギフに、ベッドをともにしない代わりに、よそで自由に遊んでいいと言うのでした……。

意外な求婚者意外な求婚者

侯爵の打算と善意から始まった結婚に、 やがて真実の愛と疑念が交錯し……。 大家族の長女として育ったセアラは真面目なしっかり者で通っている。 そんな彼女は先祖代々の土地と幼い弟妹たちを守るため、 借金のかたに変態的な趣味を持つ悪名高き准男爵に嫁ごうとしていた。 一方、そうと知ったエングルメア侯爵ニコラスは一計を案じた。 家政を取り仕切る能力に長けたセアラをこの自分がめとれば、 安定した家庭を礎に自由に暮らせるし、跡継ぎも手に入るというものだ。 薄汚い准男爵との暗い未来から不憫な娘を救ってやろうではないか。 気の利いた思いつきに、ニコラスは自尊心をくすぐられた。 だが、不遜な侯爵の計画に誤算が生じるーーたかが便宜結婚のはずが、 無垢な花嫁の口づけに、思いがけず心をかき乱されて……。 セアラとの結婚は跡継ぎをもうけるための絶好の機会ーーニコラスにとって、花嫁をめとることにそれ以上の意味などないはずだったのに、しだいに彼女の“過去”がちらつき、嫉妬の炎を燃やすことに……。リージェンシーの旗手J・ジャスティスの名作リバイバル。

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