小説むすび | 著者 : ジュール・ヴェルヌ

著者 : ジュール・ヴェルヌ

ハテラス船長の航海と冒険ハテラス船長の航海と冒険

「どんな子供でもハテラス船長に付きしたがって、世界の果てまで、北極点まで、近づく者を焼きつくす火山の聳え立つ、あの「クイーンズ島」まで行ってしまうにちがいない」(ル・クレジオ)。 人類未踏の北極点を目指す狂熱の冒険行。屹立する氷山、酷寒の氷原、友愛と叛乱……、北極圏を生き延びる「ロビンソン」たちを待ち受けていたものとは。 ドゥルーズ的「無人島」がヴェルヌ世界に初めて出現し、〈驚異の旅〉の真の出発点となった「紛れもない傑作」(グラック)が、「出版者まえがき」(エッツェル)とともにその全貌を現す、待望の新訳・完訳。オリジナル挿絵約270葉、ジュール・ヴェルヌ略年譜収載。 「ヴェルヌが自作を一作に集約させようと思えば、この作品以外にはありえない」(石橋正孝)。ヴェルヌ理解を決定づけたビュトールがその「至高点」の概念を抽出したのも『ハテラス』だった(「至高点と黄金時代」『レペルトワールI』所収)。ピエール=ジュール・エッツェルによって挿絵版シリーズの第一回配本として選ばれ、〈驚異の旅〉を冠せられる第一作となった『ハテラス船長の航海と冒険』。ヴェルヌの小説世界の可能性を示す記念すべき大長篇。 出版者まえがき ハテラス船長の航海と冒険 第一部 第二部 訳註 解説 石橋正孝 訳者あとがき ジュール・ヴェルヌ略年譜 地図 細目次

カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密 第V巻カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密 第V巻

新訳完訳「ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション」第三回配本。 元祖ヴァーチャルアイドルと見えない花嫁……。本巻では、東欧を舞台にしたゴシック小説的幻想味あふれる後期の傑作二篇を収録。「カルパチアの城」はブラム・ストーカーの「ドラキュラ」に先立つこと五年、吸血鬼伝説の本場トランシルヴァニアを舞台に推敲を重ねた自信作。ホフマン、ポーやルルーの「オペラ座の怪人」などを好む方々には特におすすめの完訳版。レオン・ブネットの挿画40枚収録。 「ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密」は、H・G・ウェルズ「透明人間」の向こうを張ってヴェルヌが書いた透明人間もの。本作は息子のミシェル・ヴェルヌが書き換えた版(未訳)が長く読まれてきたが、今回がジュール・ヴェルヌのオリジナル版本邦初訳となる。唖然呆然の最終章のみ、ミシェル・ヴェルヌ版を併録した。 二作ともに、不在の女性への狂恋が物語を貫いており、美しきヴォーカロイドとも言うべきラ・スティラを追い求める二人の男(「カルパチアの城」)、完璧な令嬢ミラへの倒錯的愛に身を捧げるヴィルヘルム・シュトーリッツの、身の毛もよだつ透明人間ストーカーなど、さまざまな意味で現在に直結する「〈独身者機械〉小説」(新島進)であり、ヴェルヌの最も21世紀的な小説。面白さ抜群の二篇を練り上げられた訳文と詳細な註を付して贈る。 カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密  ミシェル・ヴェルヌ版第一九章 訳註 解説 石橋正孝 訳者あとがき 細目次

八十日間世界一周八十日間世界一周

1 フィリアス・フォッグとパスパルトゥー、一方が主人に、他方が召使になることを了承しあう 2 パスパルトゥー、ついに自分の理想を見出したと確信する 3 フィリアス・フォッグが大変な結果をしょいこむことになる会話が交わされる 4 フィリアス・フォッグ、彼の召使であるパスパルトゥーを仰天させる 5 新銘柄株がロンドン市場に登場する 6 刑事フィックス、きわめて当然の焦燥を示す 7 こと捜査に関しては、パスポートが用をなさないことが改めて証明される 8 パスパルトゥー、おそらくはいささか度をこして喋りすぎる 9 紅海とインド洋上の航行はフィリアス・フォッグの計画に好都合に運ぶ 10 パスパルトゥー、幸いにも片方の靴を無くしただけで事なきをえる 11 フィリアス・フォッグ、とてつもなく高価な乗り物を買う 12 フィリアス・フォッグとその同行者たちはインドの森林の中を突き進む。またその結末 13 パスパルトゥー、幸運は大胆な者たちに微笑むことをまたしても証明してみせる 14 フィリアス・フォッグ、ガンジス川の美しい渓谷に沿う道を、その眺めを見ようともしないままひたすら下っていく 15 紙幣を入れた袋は更に数千ポンド分軽くなる 16 フィックスは彼が耳にする話について、皆目知らないという顔をする 17 シンガポールから香港までの航海中におきた色々なこと 18 フィリアス・フォッグ、パスパルトゥー、フィックスは、めいめいそれぞれの仕事にかかる 19 パスパルトゥー、自分の主人に強すぎる関心を抱く。そしてその結末 20 フィックス、フィリアス・フォッグとじかに接触を持つ 21 タンカデール号の船長が二〇〇ポンドの手当をもらいそこねる可能性がでてくる 22 パスパルトゥー、たとえ地球の反対側にいてもポケットになにがしかの金を所持しておくことが身のためであると思い知る 23 パスパルトゥーの鼻がとてつもなく長く伸びる 24 太平洋横断がなしとげられる 25 サンフランシスコの概観。政治集会の一日 26 パシフィック鉄道会社の急行列車に乗車する 27 パスパルトゥー、時速二〇マイルで走りながらモルモンの歴史の講義を受ける 28 パスパルトゥー、理性の言語を理解させることが不可能となる 29 合衆国鉄道においてしか起こりえないような様々な出来事についての物語 30 フィリアス・フォッグ、ごく単純に己の義務を果たす 31 刑事フィックス、きわめて真剣にフィリアス・フォッグのことを気遣う 32 フィリアス・フォッグ、直々に悪運との闘いに乗り出す 33 フィリアス・フォッグ、彼の能力を遺憾なく発揮する 34 パスパルトゥーに、残酷な、しかしおそらく誰も耳にしたことのない洒落を発する機会が与えられる 35 パスパルトゥー、主人に同じ命令は二度繰り返させない 36 フィリアス・フォッグ、再び市場の価格をつりあげる 37 フィリアス・フォッグがこの世界一周の旅で儲けたのは、幸福だけであったことが証明される 解  説

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