小説むすび | 著者 : ジョージ・エリオット

著者 : ジョージ・エリオット

ミドルマーチ(上)ミドルマーチ(上)

十九世紀後半、イギリス地方都市を舞台に展開する人間模様、キリスト教と科学がせめぎあう時代相を凝視する女流作家の魂の軌跡!エリオットの文体が成熟期に達したと言われる作品、上巻。 ●結婚生活で夫と妻がお互いの要求を認め合い、折り合う妥協点をいかに見出してゆくか、それがいかに困難な挑戦なのか、読者は読んでゆくうちに、身につまされる。 「人間はみな道徳的に愚鈍に生まれついていて、この世界はこのうえなく貴重な自己という存在を養ってくれる乳房だと考える。ドロシアは、そのような愚かさから早く抜け出し始めていたが、それでも、どのようにしたら夫に献身的に仕えることができるか、夫の力と知恵とを頼りに、どれほど自分が賢く、強い人間になれるか、を想像することはできても、夫も自分と同じように自己という譲れない一線があって、そこから出る光と陰は常に自分のものとは違っているということを、単なる反省ではなく、感情ーー触れれば手応えのある物体のように、感覚にまで磨きあげられたアイデアーーをもって明らかに感じとるのは容易なことではなかった。」(本文21章より)

ヴィクトリア朝怪異譚ヴィクトリア朝怪異譚

イタリアで客死した叔父の亡骸を捜す青年、予知能力と読心能力を持つ男の生涯、先々代の当主の亡霊に死を予告された男、養女への遺言状を隠したまま落命した老貴婦人の苦悩。日本への紹介が少なく、読み応えのある中篇幽霊物語四作品を精選して集成!一八六〇年代には今日のミステリやスリラー小説の源流になったと目される作品が次々と出版され、また、怪奇小説、恐怖小説の分野で優れた作品が数多く発表されたのもこの時代であった。内容的に長い話にはしにくかった恐怖小説は中短篇が主体で、特にクリスマスの時期になると、各雑誌が競って幽霊物語を掲載し、当時の文壇の大御所であった作家も好んで幽霊譚を寄稿した。比較的長い物語の場合、優れた作品でありながら、選集に収録するには長すぎるし、かといって、それ一作を単行本として刊行するには短かすぎる、ということで、あまり日の目を見ずにきたという作品もかなりある。本書では、そうした長めの怪異譚の中から、読み応えのある力作で、かつ、日本の読者にはあまり馴染みがない作品を四篇選び、これまでにない趣のアンソロジーの編纂を試みた。--三馬志伸「解題」より ウィルキー・コリンズ「狂気のマンクトン」(1855)ジョージ・エリオット「剝がれたベール」(1859)メアリ・エリザベス・ブラッドン「クライトン・アビー」(1871)マーガレット・オリファント「老貴婦人」(1884)訳註訳者解題

ロモラロモラ

英国ヴィクトリア朝文学を代表し、英文学史に大きな足跡を残した ジョージ・エリオットことマリアン・エヴァンズ(1819 - 1880)の 長編作品『ロモラ』Romola を新訳で・・・。 花の都フィレンツェ、結婚というくびき。 学者の娘ロモラは、目の見えない父の研究を手伝う日々。そこに現れた、 若く、美しく、才覚のある青年ティート。やがて恋に落ち、結婚する二人。 けれど次第に明らかになるティートの秘められた過去と本性……。 1492 年4 月9 日のロレンツォ・デ・メディチの死の当日から、 1498 年のサヴォナローラの火刑とその死までという、 イタリア・フィレンツェの激動の史実に取材した渾身の一作。 メディチ家の面々やマキャヴェッリなど、実在の人物も多数登場! 緻密に取材した歴史物語に織り込まれているのは、親子、夫婦、 宗教といったさまざまな「くびき」と、そのなかで生きる一人の女性の 姿である。 小説家ヘンリー・ジェイムズは『ロモラ』を、エリオットの「最高作」と 断じた。また一九世紀の思想家トマス・カーライルや詩人ロバート・ ブラウニングを始めとする多くのイギリスの文人たちも、 『ロモラ』刊行当初、これに極めて高い評価を与えている。

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