著者 : セルジュ・ゴロン
愛する夫ジョフレがフランスへ旅立った後、アンジェリクの許に恐ろしい知らせが届く。あの魔女アンブロワッサンは生きていた。しかもケベックに姿を現した魔女は、モンリアルに住む娘オノリーヌの命を狙っているらしい。そして、奥地の砦にたどり着いたアンジェリクを襲う、極限の危難…。
飢えと寒さが迫る山中の砦。子どもたちととり残されたアンジェリクに、何者かが瀕死の男を投げつけた。無惨な躰でなお力を失わないその男こそ、最悪の敵オージュヴァル神父であった。神に見捨てられたような廃墟で、息づまる二人の対決。男と女の永遠の絆と愛の勝利を描く、感動の最終巻。
カナダを訪れたアンジェリクは、三十年ぶりに長兄ジョスランと再会することができたが、喜びも束の間、ケベック警察の執拗な追及の手が迫り、不安に脅かされる。しかもその背後には、三年前アカディアの森で殺されたはずの魔女モードリブール夫人が今も生きてるという恐ろしい疑惑が…。
清教徒の都市セーラムで、アンジェリクはふた子を出産し、高熱のため死の淵をさまよう。その命を救ったのは、魔女と呼ばれる二人のクエーカー教徒の女たちだったが、この奇蹟に沸く町に突然、黒衣のイエズス会士が姿を現し、アンジェリクへの憎悪もあらわに、恐ろしい事実を告げるのだった。
長い間夢に見た北の都ケベック。アンジェリクと夫ペイラック伯は、ついにこのフランス領の地に到着した。奪われた過去の地位と名誉のすべてを取り戻すための伯爵の危険な賭けでもあった。盛大な歓迎、思いがけない人々との再会。だが、姿を隠した敵は、ふたりの新しい生活をじわじわと脅す。
雪と氷にすっかり閉ざされたケベックの長い冬。宗教行事と華やかな催しの日々のなかで、社交界の中心人物となったアンジェリクとペイラック伯爵をめぐって、嫉妬や誘惑が渦巻くが、執拗な敵からの挑戦もつづいた。そして、ある日氷原へ遠出したアンジェリクの背後に狂気の暗殺者が忍び寄る。
ゲベックにようやく春が訪れると共にアンジェリクの身辺にも矢つぎ早に事件が起こる。謎の神父が放った密使との闘い、夫ジョフレへのひそかな疑い、市の周辺まで迫ったイロコイ族の大襲撃とその和平交渉。やがて、本国から最初の船が到着し、待望のルイ一四世の親書が届けられたのだが…。
冬も間近いセント・ローレンス河を溯って、ペイラック伯爵の率いる船団はケベックへの旅を続ける。かつて二人を追放した祖国、フランスの領土ケベック。アンジェリクの不吉な予感の通り、敵は霧深い峡谷に、恐ろしい死の罠を用意していた。夫を救うため、彼女は敢然と敵に立ち向かうが…。
船団が寄港したフランス領の入植地ターダサクで、アンジェリクの許へ一通の手紙が届けられた。「忘れることのできない、あなたのエメラルドの目…」熱い思慕の情をつづったその恋文の主は彼女と夫ペイラック伯爵の運命を握るルイ十四世の特使であり、過去の世界から現れた意外な人物だった。
難破船で漂着した美貌の慈善家、モードリブール公爵夫人とは何者か。グールズボローに、次々と起こる怪事件。英仏植民地の勢力争いと、先住民族の絶え間ない抗争の狭間で、理想郷づくりをめざすペイラック伯爵とアンジェリクをつけ狙う謎の敵が、また、ふたりの身辺に、危険な罠を仕掛ける。
敵が身近に迫っているー不安に駆り立てられたアンジェリクは、慈善家モードリブール夫人の勧めに従い、夫のあとを追って旅立つ。だが、徐々に明らかになる夫人の恐ろしい正体と行く先々に待ちかまえる敵の罠…。アカディアの呪われた浜辺で、ついにアンジェリクの壮絶な闘いが始まった。
懐しいグールズボローへ向かう旅の途中、アンジェリクは何者かの謀略によって夫のジョフレと引き離され、イギリス人清教徒の村で、インディアンの大襲撃に出合う。九死に一生を得たものの夫には会えず、今度は、海賊“黄金ひげ”の手中に落ちる。しかし、彼の正体を知ったアンジェリクは…。
海賊“黄金ひげ”こと昔の愛人コラン・パトゥレルとの再会で、アンジェリクの心は乱れる。謎の人物ジャック・マーウィンの船で、ようやくクールズボローにたどり着いた彼女を迎える夫ジョフレの態度は冷ややかだった。誤解と不信から、ふたりの間に危機が訪れる。その陰には邪悪な敵の企みが。
故国フランスを逃れて、アンジェリクは新教徒たちと共に、海賊レスカトールの船で新天地に向ったが、船の行き先をめぐって、海賊と新教徒の間に不穏な空気が生じる。苦悩する彼女を船室に呼んだレスカトールは、不意に黒い仮面を外した。恐怖の声を上げたアンジェリクが見たその人の顔は。
氷の海、嵐、新教徒の反乱…。多くの危機を乗りこえ、アンジェリクたちの船は、虹のかなたの約束の地にたどり着いた。船上で再会した最愛の夫、ペイラック伯爵ジョフレの指揮の下、未開の土地で新しい苦難に満ちた生活がはじまるが、そこにはまた、二度目の奇跡の出会いが待ちうけていた。
国王によって、故郷ポアトウの邸に謹慎を命じられたアンジェリクは、地元の新教徒を弾圧する軍隊の暴虐に耐えかね、ひそかに反乱の首謀者たちと手を結んだ。しかし、そのためにある夜、竜騎兵の一群に自邸を襲われる。凌辱され無残に愛児を殺された彼女の絶望の闘いが、この時からはじまる。
ポアトウの反乱の首謀者として追われるアンジェリクは、幼い娘オノリーヌを連れて放浪をつづけていたが、港町ラ・ロシェルの新教徒の商人に救われ、その家庭に身をひそめる。だが、日一日と身辺の危険はせまり、ついに国外へ脱出する決心をする。その時、入り江に一隻の正体不明の船が…。
ペイラック伯爵が生きている。国王の制止を振り切って、アンジェリクは愛する人の消息を求めて地中海へ旅立つ。大嵐、ガリー船の反乱、難破…。そして凶悪な海賊の手に堕ち、クレタ島の奴隷市場で全裸でせりにかけられたアンジェリクの前に、黒マスクの謎の大海賊レスカトールが現れる。
大海賊レスカトールの許から逃れたアンジェリクは、海上で再びバーバリ海賊に捕えられ、モロッコのサルタン、残忍なムライ・イスマイルの後宮へ送られる。あくまで寵姫にされることを拒んだ彼女は、奴隷の仲間と共に密かに脱走を謀るが、その行く手には、炎熱の死の砂漠が広がっていた…。