著者 : ダニー・コリンズ
生後まもなく盗まれた息子を捜したい。 その一心で、彼女は契約結婚に同意した。 雇い主の誕生日パーティに現れたゴージャスな紳士を見て、 家政婦のカーリは絶句した。スタヴロス! それは紛れもなく、先だって屋敷のプールの改修を手がけ、 甘いキスと抱擁で彼女をとりこにした修理工だった。 彼が世界的に有名な大富豪? じゃあいったいあれは……? 混乱するカーリに、スタヴロスはさらなる衝撃を与えた。 「ぼくと期限付きの結婚をして、ニューヨークに来てほしい」 愛のない結婚なんてまっぴらよ。でも、あの街には ひと目会いたい息子がいる──カーリは苦渋の決断をした。 悲しい秘密を抱えた家政婦カーリと、富も名声もすべてを手に入れたかに見える大富豪スタヴロス。便宜結婚から始まるせつないロマンスをお楽しみください。『シンデレラは二度傷つく』関連作!
異国の君主は傲慢に口づけた。 “妹の婚約者の愛人”の私に。 「僕の妹の婚約者には、二度と会わないと約束したまえ」 王族らしい高慢さをたたえ、カシムは嘲るような口調で言った。 君のような女に妹の晴れ着を作らせるわけにはいかない、と。 カシムの妹のドレスを縫うことになっているアンジェリクは、 内気ながらその美貌ゆえにありもしない男性遍歴を噂されていた。 私は彼の愛人じゃないーー必死の抗弁は聞き入れられず、 アンジェリクは気づくと力強い腕に抱きすくめられていた。 「もう話すことは何もない。君の特技を見せてもらおうか」 熱を帯びた褐色の瞳に絡めとられ、彼女は我知らず唇を開いた。 目もくらむほどの喜びに、互いの立場を忘れるふたり。秘めやかに熱い夜を重ねる一方、カシムの花嫁選びは着々と進んでいて……。思いがけず禁断の恋に落ちた無垢な乙女の、儚く切ない愛の軌跡。
私は駆け落ちした妹の身代わり。 ベールの奥の素顔は誰にも見せない。 まさか、船が動いている! ヴィヴェカは窓の外を見て慌てた。 ここは豪華なクルーザーの船内、持ち主はミコラス・ペトライデス。 今日、妹が政略結婚するはずだったギリシアの大富豪だ。 ヴィヴェカは不憫な妹のために、花嫁になりすまして祭壇に立ち、 妹が恋人と逃げおおせるまでの時間稼ぎをする予定だった。 ところがすぐにミコラスに見破られ、この船に連れてこられた。 密室で男性と二人きりになり、無垢なヴィヴェカの体がこわばる。 それを知ってか知らずか、ミコラスは傲慢な口調で宣言した。 「代わりに僕と結婚してもらう。寝室に移ろう」 『イタリア富豪の孤独な妻』『愛を宿した個人秘書』の関連2部作が大好評だったD・コリンズの作品。合併相手に娘がもう一人いると知り、政略結婚の矛先を切り替えた実業家ヒーロー。ギリシア神のごとき容姿と自信満々な態度は、ロマンス・ヒーローの王道です。
社長のセサル・モンテロが交通事故に遭ったというのに、ソーチャは入院中の彼と面会すら許されずにいた。セサルの個人秘書として働きだしてからずっと、魅力的な彼に対する想いを心の奥に隠してきた。だが3週間前、その想いがとうとう実を結んだのだ。ところが不運にもセサルは事故直前の記憶を失い、その隙に彼の親は、ある女性と息子との婚約話を進めていた。セサルの愛は一夜の幻だったの?絶望したソーチャは姿を消したーおなかに彼の子を宿して。
女性なら誰もが羨むハンサムな富豪の夫を持つアダラは、度重なる流産を経験し、さらに夫の不倫疑惑が持ちあがったことですっかり自信を失い、とうとう離婚を申し出た。もともと双方のビジネスのための結婚ではあったが、アダラはいつの間にか、夫を愛し始めていたのだった。だがギデオンのほうは名ばかりの妻を手放すつもりはないようで、アダラは愛も子も得られぬ結婚のつらさに絶望する。そんな折、妊娠が判明ーー。今度こそ、と希望が芽生えかけたとき、アダラが知りもしなかった夫の過去と正体が明らかになる。