著者 : ダン・シモンズ
“神智圏”の化身、上位存在たるプロスペローにより、ハーマンは古典的人類へ伝達すべき大量の知識を脳内に詰めこまれた。彼は愛しい妻アーダのもとへ帰るべく、果てしなき旅に出る。一方、イリアム平原における戦況は激変していた。怒れる神ゼウスが、ヘラをはじめギリシア勢を支援する神々に鉄槌を下したのだ。神々の庇護を失なったギリシア軍勢は、今にも壊滅しそうに思われたが!?巨匠のSF叙事詩、ここに堂々完結。
遥か未来の地球、古典的人類たちは女主人アーダが暮らす邸宅アーディス・ホールに集い、殺戮機械へと変貌した下僕ヴォイニックスの攻撃に備えていた。武器を用意し、柵を築き、なんとしてでも最後の砦を守らんとする人類たち。だが脅威は音もなく迫り来つつあった。一方、英雄アキレウスは死せるアマゾンの美しき女王、ペンテシレイアを蘇らせんとしてオリュンポス山麓を訪れるが…。巨匠の壮大なるSF戦乱絵巻第2巻。
ギリシア神話の神々によって復活させられ、トロイア戦争を観察してきた学師ホッケンベリーがとった行動をきっかけとして、戦いの局面は大きく変化した。刃を交えていたアカイアとトロイアの軍勢が手を組んだのだ。アキレウスやヘクトルをはじめとする英雄たちは、これまで自分たちを守護してきたゼウスら神々に叛旗をひるがえし、苛烈なる戦闘に突入した!ローカス賞受賞作『イリアム』の続篇にして完結篇、いよいよ開幕。
遥か数千年もの未来、地球化された火星のオリュンポス山の麓に住む学師ホッケンベリーは、ギリシア神話の神々やアキレウスら英雄たちが、ホメーロスの『イーリアス』さながらに戦うトロイア戦争の動静を観察していた。しかし、ある女神に召し出され、思いもよらない使命を受けたときから、一介の学師ホッケンベリーの運命は大きく狂い出す…。現代SF界の巨匠シモンズが圧倒的なスケールで贈る新叙事詩シリーズ開幕篇。
数千年後の未来の地球では、わずかに残った人類が、仕事も学問もせず、衣食住の保証された享楽的な生活を送っていた。そんな中、何世紀もの時を生きてきた“さまよえるユダヤ人”サヴィと出会ったハーマンは、定められた寿命の百歳を目前にして世界の成り立ちを解き明かすべく旅に出た…。一方、イリアム平原の戦局は、転換点を迎えていた。大神ゼウスの雷撃に対し、アキレウスら英雄たちは…。波瀾万丈のSF叙事詩。
絶世の美女ヘレネをめぐって始まったトロイア戦争を戦っていたギリシア神話の英雄たちは、圧倒的な力をふるう神々に対してついに叛旗をひるがえした…これまで、地球化された火星のオリュンポス山の神殿に住む神々は、トロイア側あるいはギリシア側につき、英雄たちとともに戦争をしていた。その戦いは、まさにホメーロスの書いた『イーリアス』そのままの展開だった。だが、神々にナノテクで復活させられ、戦争の経過を観察させられていた学師ホッケンベリーの行動が、トロイア戦争を英雄たちの神々への挑戦に変えてしまったのだ。木星の衛星系に住む半生物機械モラヴェックたちは、地球化された火星近傍での量子活動異常の真相を探るべく、調査隊を送りこんだ。やがて、調査隊の一員だったエウロパ属のマーンムートとイオのオルフの活躍で、大挙して火星に到着したモラヴェックの援軍が、英雄たちと手を組み、ともに神々との戦いに挑んでいく。圧倒的な力を持つ神々と戦争をはじめたギリシア神話の英雄たちとモラヴェックの運命は…ローカス賞を受賞した『イリアム』に続く、待望の完結篇。
はるか未来の地球で、数千年にわたり、仕事も学問もせず、衣食住のあらゆることを自動機械の下僕たちに任せ、パーティーに明け暮れていた人類の生き方は、ある日、突然襲ってきた大流星雨とともに、大きく変わった。世界の謎を探るべく旅に出たハーマンとディーマンの冒険で、地球をめぐっていた小惑星が落ち、世界中の送電が停止され、自動機械の下僕は動かなくなり、これまで忠実な召使いとして働いていたヴォイニックスたちが人間を殺しはじめたのである。女主人アーダの住むアーディス・ホールに集う人々は、そこに滞在していたオデュッセウスの指導のもと、大きく変貌した世界の状況に対処すべく、独自の活動をはじめていた。だが、そこにも恐るべき敵が近づいてきつつあった…“ハイペリオン”シリーズで人気のシモンズが、ギリシア神話をめぐる物語をはじめ、シェイクスピア、シェリー、ブレイク、ブラウニングなどの戯曲や詩を織りこみつつ描く、トロイア戦争をめぐる壮大なSF巨篇。
はるか数千年もの未来、地球化された火星のオリュンポス山のふもとに住む学者ホッケンベリーは、イリアムの平原でギリシア神話の神々や英雄たちがホメーロスの『イーリアス』さながらに戦うトロイア戦争を観察していた。神々にナノテクで復活させられたホッケンベリーは、この戦争の記録をとらされていたのだ。だが、彼は思いもよらぬ使命をある女神からさずかる。地球でわずかに生き残っている人類は、仕事も学問もせず、衣食住のあらゆることを自動機械の下僕たちに任せ、享楽的な生活を送っている。この世界の仕組みに疑問をもった男ハーマンやその友人アーダとディーマンは、世界の謎をつきとめるべく旅に出た。木星の衛星エウロパに住む半生物機械モラヴェックのマーンムートは、イオのオルフらとともに、火星探検隊の一員として、火星へと向かった。地球化された火星で起こっている異常な量子擾乱の原因を調査しようというのだが…。「ハイペリオン」四部作で人気のシモンズが、ギリシア神話とSFをみごとに融合させた二部作の第一弾。ローカス賞受賞作。
ミステリ、SF、ホラー、現代文学のジャンルを超えて、「すこし不思議な物語」の名作を集めたシリーズ“奇想コレクション”刊行開始!第1回配本は、『ハイペリオン』でその人気を不動にした、まさにジャンルを超えて最高の作品を生みだしつづける巨匠ダン・シモンズ!ローカス賞受賞の表題作をはじめ、死んだ母がぼくの家に帰ってきた…デビュー作「黄泉の川が逆流する」、かつての教え子ケリーを殺すため異世界を旅する元教師の孤独な追跡劇「ケリー・ダールを探して」、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞受賞の傑作「最後のクラス写真」、本邦初紹介の「ベトナムランド優待券」ほか、全7篇を収録。
大雪に見舞われたニューヨーク州の街バッファロー。元私立探偵のジョー・クルツは三人組の男に命を狙われたが、返り討ちにした。やがて、彼らの雇い主が以前手助けをした男であることがわかった。ファリーノ・ファミリーの後継者であるその男リトル・スキャグはいま刑務所で服役中だが、姉のアンジェリーナを介して指令を下したようだった。彼女を脅してそれを確かめたクルツは、そこで意外なことを聞かされる。彼女がゴンザガ・ファミリーのドン、エミリオ・ゴンザガを殺したいと思っていること。そして、ゴンザガがクルツの恋人を殺させた当人だという衝撃の事実も。ファリーノ・ファミリーがゴンザガに乗っ取られようとしていることも、後で判明した。この時クルツは、一人のバイオリニストから、娘を殺した犯人を捕らえてくれという依頼を受けていた。だが、強力な権力を持つその犯人はクルツに追っ手を差し向けてくる。それをかわしながら、クルツはアンジェリーナを利用してゴンザガへの復讐計画を整えていくが…。鋼鉄のハートを持つ男ジョー・クルツと、一筋縄ではいかない者たちの熾烈な闘い。鬼才が『鋼』に続いて放つハード・アクション・シリーズ第2作。
「おれを殺したりはしないよな?」「だめか?」「やめてくれ。永久にムショ暮らしだぞ!」「おれはまだそれほど歳じゃない。何年か無駄にしたっていいさ」殺人罪で11年の刑務所暮らしを終えた元私立探偵のクルツは、すぐにファリーノ・ファミリーのドンの邸宅を訪れる。高齢のドンが負傷して以来、弱体化してしまったファミリーのトラブルを解決してやろうというのだ。1カ月前、ファミリーの内情を熟知している会計士が失踪した。時を同じくして、ファミリーの生命線である密輸事業に妨害が頻発する。荷物を運ぶトラックが次々とハイジャックされるのだ。対立組織の差し金か、FBIの介入か、あるいはファミリー内部の裏切りか。背に腹はかえられないのか、ドンはクルツのオファーを受け入れる。だが、調査に着手したクルツの背後に、早くも殺し屋の影が…。正義か?悪か?鋼鉄のハートと腕っぷしで街の暗部を叩き切る、非情の男ジョー・クルツ。SF&ホラーの鬼才が挑む、ハード・アクションの会心作。
28世紀、宇宙に進出した人類を統べる連邦政府を震撼させる事態が発生した!時を超越する殺戮者シュライクを封じこめた謎の遺跡ー古来より辺境の惑星ハイペリオンに存在し、人々の畏怖と信仰を集める“時間の墓標”が開きはじめたというのだ。時を同じくして、宇宙の蛮族アウスターがハイペリオンへ大挙侵攻を開始。連邦は敵よりも早く“時間の墓標”の謎を解明すべく、七人の男女をハイペリオンへと送りだしたが…。ヒューゴー賞・ローカス賞・星雲賞受賞作。
迫りくるアウスターの脅威と、殺戮者シュライクの跳梁により惑星ハイペリオンは混乱をきわめていた。連邦政府より命令をうけ、この地に降りたった、神父、軍人ら経歴もさまざまな七人の男女は、一路“時間の墓標”をめざす。その旅の途上で明らかにされていく、数奇な宿命を背負う彼らの波瀾にみちた人生の物語とは…?あらゆるSFの魅力を結集し、卓越したストーリーテリングで描く壮大なる未来叙事詩、ここに開幕!ヒューゴー賞・ローカス賞・星雲賞受賞作。
32世紀、“連邦(ヘゲモニー)”の“崩壊(フォール)”から約300年後、人類星域はふたたびひとつにまとめられ、カトリック教会を主体とするパクスの支配下にあった。辺境の惑星ハイペリオンの若者ロール・エンディミオンは、死刑判決を受けたものの謎の老人に助けられ、驚くべき依頼をされる。もうすぐ“時間の墓標”から出てくる少女アイネイアーをパクスの手から救いだし、少女が宇宙の命運を決める“教える者”となるまでいっしょに旅をしてくれというのだ。さらには、史上最強の権力を誇るパクスを滅ぼし、教会を権力の座からおいやってくれという。できるかどうかわからないものの、頼みを引き受けたエンディミオンは、少女アイネイアーとアンドロイドのベティックとともに星から星へと宇宙をめぐり、ついに惑星・地球にたどりついた。そして、さらなる冒険へと旅立とうとしていた。いっぽう、新教皇ウルバヌス16世ひきいるパクスは、大天使型戦艦の機動艦隊を非キリスト教徒であるアウスター討伐に送りだす。さらに“テクノコア”の恐るべき手先たちがアイネイアー追跡を再開したのだが…ヒューゴー賞をはじめ、英国SF協会賞など数々の賞に輝く、壮大な未来叙事詩ハイペリオン・シリーズ、待望の完結篇。ローカス賞受賞。
32世紀、「テクノコア」の消滅とともに連邦が崩壊して三百年足らず、宇宙は星間政府と結託したカトリック教会、パクスの神権政治の元に統べられていた。惑星ハイペリオン-。パクス法廷の即決裁判により冤罪のまま刑死したはずの青年ロール・エンディミオンは、とある城砦の一室で再び覚醒した。やがて傍らに傅くアンドロイドの案内のまま、そこが廃都「エンディミオン」であることを知らされた彼は、待ち受ける一人の老人に引き合わされ、その正体を知って驚愕した。その老人こそ、教会によって禁書とされた『詩篇』の実作者にしてかつてのハイペリオン巡礼の一人、詩人マーティン・サイリーナスその人だったのだ!さらに老詩人はエンディミオンに驚くべき予言を告げる。「時間の墓標」が間もなく開き、一人の少女が現われる。彼女こそが全宇宙の命運を握っているのだ-。かくして、エンディミオンは「時間の墓標」を目指し旅立っていった。全宇宙の命運を握る一人の少女、来たるべき「教える者」を迫りくるパクスの魔手から救い出すために。ヒューゴー賞、ローカス賞をはじめ数多の賞に輝く『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』に続き、人気作家シモンズが放つ傑作SF叙事詩、堂々の第三部。
連邦が戦乱に揺れるなか、惑星ハイペリオンでは「時間の墓標」が開き全ての謎が解明される時が近づいていた-人気作家シモンズが雄渾の筆致で描く傑作SF叙事詩ハイペリオン二部作の完結篇。1991年度ローカス賞受賞作。
28世紀、人類は二百にのぼる惑星を転移網で結び連邦を形成していた。その辺境に位置する惑星ハイペリオンで、人びとの畏怖と信仰を集める遺跡〈時間の墓標〉と怪物シュライク。この謎を解明すべく、迫りくる宇宙の蛮族アウスターの脅威のもと、最後の巡礼七人が惑星を訪れた。その途上で語られる、それぞれが背負う数奇な宿命とは…。1990年度ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作。