著者 : ペニー・ジョーダン
ギリシアを旅行中、運悪くパスポートを盗まれてしまったクロエは、ホテルの計らいで用意されたヘリコプターでアテネへ向かった。安心したのもつかのま、暗闇のなか降ろされたのはアテネではなく、冷血な大富豪レオン・ステファニデスー彼女の夫の屋敷だった。別居中の妻を連れ戻すべく、すべて彼が仕組んだのだ!2年前、クロエはレオンとの子を宿し、幸せの絶頂にいた。ところが、そんな様子に嫉妬したレオンの異母妹が、身重のクロエを階段から突き落とし、お腹の子は不幸にも…。あのとき妻の訴えを信じず妹を守った夫が今、非情に告げた。「ぼくの子を産むんだ。わざと流産した子の代わりに」
突然の訪問者に、ルビーは言葉を失ったーー 6年前、17歳の彼女が両親を失った悲しみから、 一夜のぬくもりを求めて情熱を分かち合った男性、サンダー。 「ぼくの息子たちは我が一族の屋敷で育てる」 ゴージャスなギリシアの海運王サンダーの一方的な宣言に、 ルビーは激しく動揺した。彼はいつ知ったのだろう? 双子の息子たちの存在を。学もなく貧しいわたしから二人を奪うなど 巨万の富を持つ彼にはたやすいことだ。ああ、いったいどうすれば……? ルビーは悩んだすえ、彼がきっと拒むはずの条件を口にした。 「どうしても息子たちがほしいなら……わたしと結婚して」 大スター作家ペニー・ジョーダンのシークレットベビー物語をお楽しみください。彼女が描く熱い愛を胸に秘めたヒロイン像がお好きなあなたには、HQロマンスを代表する人気スター作家、ジェニー・ルーカスとアビー・グリーンの作品も、ぜひおすすめします!
スザンナは、自分の運が悪いのは、彼女に似合わない、 人目を引くこの栗色の髪のせいではないかと疑い始めていた。 両親を早くに亡くし、厳格な大伯母に育てられたせいで、 時代遅れの貞操観念を植えつけられたのに、軽く見られがちだ。 騙されて以来、恋に臆病になり、男性経験もまだなのに……。 ある日、スザンナの前に、鼻持ちならない上司が現れる。 冷たいグレイの瞳をしたやり手の上司ハザードは、新任式で 彼女を見るなり小ばかにし、あからさまに嘲笑してきたのだ。 遊び好きと決めつけられて、スザンナの頬に朱が散った。
小学校教師のレベッカは夏の2カ月間だけという約束で、海外赴任中の従兄ロリーの双子を世話することになったー8年前まで毎年夏を過ごした、あの懐かしいエイスガース邸で。当時、レベッカはロリーの兄フレーザーにひそかに恋していた。だがあるとき、新婚だったロリーに愛人のふりをさせられ、その結果フレーザーから軽蔑されて邸に行けなくなったのだ!今、フレーザーはアメリカに長期出張中で留守だという。彼に会わずにすむなら、としぶしぶ邸へ向かった彼女だったが、突然帰国したフレーザーが再び蔑みの視線を投げてきて…。
17歳で両親をなくしたあと、ルーシーは自活の道を探ろうと 秘書養成所に通い、語学力を磨いて、必死で生きてきた。 しかし従姉の死後に相続した、崩れかけのコテージに居座る老人から コテージの修理を要求され、途方にくれていた。 唯一の財産のフラットを売却する以外、お金は工面できそうもないのだ。 そんなとき、先日パーティで出会った富裕な実業家ナイアルとでくわす。 一目で彼に惹かれた私の心を見透かしたように、横暴にも唇を奪った男。 だが噂でルーシーの窮状を知る彼に、なんとコテージを買い取ると言われた。 しかも食事に誘われるとは……。 いったいなぜ? 彼には一緒に住んでいる美しい恋人がいるというのに。 魅惑の大富豪との初対面で、品定めするように無遠慮な視線を向けられ、身じろぎしたヒロイン。後日、彼と再会しますが……。野性味あふれる情熱的なヒーローとの恋を描く、大スター作家ペニー・ジョーダンの90年代の話題作をお楽しみください。
スペインの修道院で暮らすホープは、厳格な父の希望どおり外の世界をいっさい知らずに成長した。そして18歳になったある日、ホープのもとに父の代理だという見知らぬフランス人の伯爵が迎えに来る。言われるがまま、ブルゴーニュにある伯爵の豪奢な屋敷へ連れていかれたホープだが、そこで聞かされた話に戦慄したー父がホープを修道院に閉じこめていたのは政略結婚させるため、それまで娘の純潔を守ろうとしてのことだったという。言葉を失うホープに伯爵は告げた。僕は君の父親に復讐するため、今夜君を傷ものにするつもりだと。
29歳にもなって、男を知らないなんてどうかしてるーー 10年も一途に慕った上司にそう侮辱され、セイラは会社を辞めた。 傷心のまま故郷へ戻ったセイラだったが、やがて知り合った隣人、 屈強なスチュアートとの時間に癒やされるようになる。 だが、自分に劣等感を抱いているセイラは、素直になれず、 彼の逞しさに惹かれる気持ちを抑え込んでしまう。 未経験だと知られて、また軽蔑され、嫌われるのが怖いのだ。 それなのに、心の迷いを打ち明けられないまま、 思わず危うい情動に身をまかせそうになって……。
サマーは凍りついた。あれはチェイス・ロリマーではないか。二人の出会いは、5年前の夏の日までさかのぼる。恋人の浮気現場を目撃し、心が傷つけられたサマーに、チェイスは大人の魅力を漂わせ、近づいてきたのだ。若く未熟なサマーはわけもわからず、彼の掌中で弄ばれーひどい男性不信に陥った彼女は、そのせいで未だ純潔だった。望まぬ再会を果たしたサマーを見つめ、彼は冷笑して告げた。「僕と結婚するんだ。さもなければ例の写真を…」なぜいまごろになって?思い出したくもない古傷がまた疼く。
ビッキーは一人で小さな宿を経営しながら幼い双子を育てている。ある日、知人から、辣腕実業家ジェイを宿に滞在させてほしいと頼まれ、喜んで受け入れたものの、彼をひと目見るなり早くも後悔し始めた。強く惹かれて、落ち着かないのだ。私はいったいどうしてしまったの?初めて会った人なのに。動揺するビッキーをよそに、ジェイは子供たちとすぐにうちとけ、ついには彼女にプロポーズしてきた。戸惑いながらもジェイとの将来を描き始めたビッキーは、やがて彼が何者かを思い出す。若き日にたった一度犯した過ちージェイは、子供たちの父親…。
親族の苦境を聞きつけてマギーは10年ぶりに故郷に帰った。懐かしい我が家を前に、封印したはずの苦い記憶が甦ってくる。両親を早くに亡くして内にこもりがちだった少女時代、やさしく見守ってくれた義理のいとこのマーカス…。マギーは彼に夢中になり、愚かにも愛されていると信じた。だが、彼の突然の婚約発表によって淡い恋心は打ち砕かれ、彼女は傷心のあまり、取り返しのつかない嘘をついてしまった。「出ていけ!」そう叫んだマーカスの怒声は今も耳に残っている。いまだに疼く傷跡を胸に、マギーは勇気を出して家の扉を開けた。
リジーのもとに、ある日一通の手紙が届いた。 彼女が所有するアパートメントに問題が発生し、 現地まで来てほしい、さもないと裁判沙汰にするという。 差出人は大富豪イリオス・マノス。 リジーはなんとか旅費を工面し、彼の住むギリシアへ飛んだ。 金色の瞳と漆黒の髪を持つギリシア神話の英雄さながらの彼はしかし、 「詐欺師め!」とリジーをなじったのだ。 リジーは共同所有者にだまされ、莫大な借金を背負わされたと知る。 だがお金などまったくないと言う彼女に、イリオスは憤然と言った。 「では、その体で払ってもらおう。ぼくと結婚するんだ」 “ロマンスの女王”として不動の人気を誇り、2011年に惜しまれつつその短すぎる生涯を閉じた作家、P・ジョーダン。孤児として育ったヒロインは、真実の愛を見つけられるのでしょうか?
闇の果てを思わせる迷宮に、アンバーはいた。事故で脚を引きずるようになり、孤独と無力感に蝕まれていた。そんななか、知り合った会社社長ジョエルの申し出で、やはり脚の悪い、彼の幼い息子の面倒を見るために、半年間だけ、肉体関係のない契約結婚をすることになったのだ。アンバーは、ジョエルの類いまれなる美貌に目が眩んでしまう。だが、彼に惹かれれば惹かれるほど、自分の傷に引け目を感じる。そして心が痛むのだ。愛される資格がないとわかっているから。たとえキスをされても、それは同情にすぎないのだと。
代々続く家業の香水メーカーで調香師をしているサディは、生産量は少なくとも丁寧に作った香水に誇りを持っていた。だが祖母が亡くなり、筆頭株主となったいとこのラウールが、世界的な有名企業に身売りをしようと動き出す。何事も合理的な大企業のもとでは、大切な伝統がすたれてしまう…。サディは話し合いをするために、ラウールのオフィスへ向かった。ところが足を踏み入れたとたん、その場に凍りついた。目の前にいたのは、以前、香水の見本市で会った傲慢な男性ーサディのことを“売り物か”と蔑んだ実業家、レオニアディスだった!
ケイトは、ある結婚式で、今や社長となったジョスと再会した。 16歳だったケイトは21歳の青年ジョスと出会い、恋に落ちた。 光あふれる日々。切ないほどに甘い至福の思い出ーー それが甘美であればあるほど、あとに続く絶望は底が見えない。 ある人物から彼に妻子がいると聞かされ、愛は地に堕ちたのだ。 なにもかも忘れたはずだった。それなのに長い時を経て、 彼と再会してからというもの、ケイトは恋しくてたまらない。 彼に会いたくてたまらない。だから、必死に消そうとした。 この罪深い想いも。ふたりの間に娘がいることも。
イモジェンは18歳の時、ドラッコと婚約した。10歳年上で、亡き父の右腕だったドラッコは、子供の頃からの憧れの人。すばらしい男性、そしてやっと実った初恋。彼女は幸せを感じていた。だが結婚式の日、ドラッコとのただならぬ関係をほのめかす義母の言葉を否定しようともしない彼に失望して、イモジェンは教会から走って逃げた。4年後、一度は放棄した父の遺産が必要になり、弁護士に連絡をとってイモジェンは帰郷することに。だが、待ち合わせ場所に現れたのはードラッコだった。とまどうイモジェンにドラッコは言い放つ。「君と僕はまだ婚姻関係にある。妻として僕の子供を産んでもらう」
永遠に君を愛するー繰り返される口づけ。18歳の切ない誓い。義兄ジェイクと結ばれたジェイミーは輝きのなかにいた。だが、その日、義兄がほかの女性と抱きあう姿を見て、少女はすべてに絶望し、無言のまま家を去ったのだ。それから6年がたち、思いもよらぬ義兄との突然の再会が、あの日の苦痛よりもっと酷な傷をジェイミーに刻みつけた。既に婚約者がいる、大企業の社長となった義兄が唇を歪め、辛辣な言葉を浴びせたのだ。あれから何人の男を知った、と。あなたしか知らないわ…ジェイミーは寂しい心でつぶやいた。
デイリー・グローブ社で働くブライアニーは有能な秘書だが、 人には言えない過去があり、職場では冷たい女を装っている。 新しいボスが来た日、彼の名を聞いてブライアニーは愕然とする。 かつてブライアニーがすべてを捧げた相手、キーロンだったのだ。 3年前、キーロンは自分のキャリアのため、彼女の愛を利用した。 その結果、彼女は中傷にさらされて職をなくし、警察に尋問され、 故郷に戻ることさえかなわなくなってしまった。 だがキーロンは、再会に怯える彼女に謝罪や弁解をするどころか、 “男をその気にさせて邪険に振る女”と責め立てた!
ソレルは24歳だが、いまだ男性恐怖症で恋愛にも怯えている。少女のころ見てしまった場面に恐怖心を植えつけられたのだ。あるとき、遠縁に当たるヴァルが英国を訪れるという報せがあり、ソレルが滞在中の彼女の世話をすることになった。宿泊先はウェールズにある古いコテージ。彼女とは初対面だが、滞在を心地よいものにしてあげたい、とソレルは思っていた。ところが、現れたヴァルはなんと十も年上の男性だったばかりか、成功した実業家らしく、ハンサムでいかにも世慣れたふうだ。運悪く、その日から猛吹雪に襲われコテージは停電。ソレルはヴァルと二人きりで、暗闇に閉じ込められてしまい…。
心臓発作で入院した父の手術費用を工面するあてがなく、ヘザーはもう一人の家族、カイルに頼る決意をした。カイルーヘザーが7歳の時、両親は13歳の彼を里子に迎えた。自分でももてあますほど激しい感情の持ち主だったヘザーは何かにつけてカイルに反発し、両親の愛を独り占めしようとした。そして17歳の誕生日の夜、愚かにも両親を試そうと、アスピリン一瓶をからにしてしまった。死ぬつもりはなかったが。あの一件で家を出たあと実業家として成功したカイルとの6年ぶりの再会。彼のまなざしに射すくめられた瞬間、ヘザーは急に頬が熱くなり困惑した。彼がどれほど魅力的であるかを忘れていたのだ…。
罰と知りつつ、彼女は結婚を受け入れた。 ただ、彼に愛されたい一心で。 両親を亡くし、住む家を失ったサラにとって、 自分を受け入れてくれた祖母は、なによりも大切な存在だった。 だから、心臓が悪い祖母のためと言われると、 大富豪ルークとの結婚を断る理由が見つからなかった。 彼は、亡き妻の肉親である私の祖母を安心させたいだけ。 しかも継妹の嘘を信じ、私を財産めあての女と思っている。 つまりルークは私に、妻という罰を与えるつもりなのだ。 けれど前に彼からされた、熱く強引なキスの記憶がよみがえると、 無垢なサラの胸は、おびえつつも小さくときめくのだった……。 どういう運命のいたずらか、真実の愛にあこがれる純真なヒロインが初めて恋い焦がれたのは、彼女を誰よりも嫌うヒーローでした。夫となってからも、彼は妻をベッドでは求めながらも、しいたげるのをやめません。ロマンスの女王の実力が冴えわたる作品です!