著者 : ルイス・キャロル
もし『不思議の国のアリス』を日本の文豪が翻訳したら? そんな夢のような構想が現実となったのが、1927年刊行の『アリス物語』。 芥川龍之介と菊池寛による訳文は、アリスや不思議の国の登場人物たちがいきいきとユーモラスに描かれ、今なお色あせない魅力にあふれています。本書は、原書にあったいくつかの不足な点を補い、注釈や解説を付加して甦らせた『完全版 アリス物語』。アリスや芥川・菊池ファンの方はもちろん、『不思議の国のアリス』をはじめて読む方にもおすすめできる一冊です。 ◆はじめに ◆完全版 アリス物語 一章 兎の穴に落ちて 二章 涙の池 三章 コーカスレースと長い話 四章 兎が蜥蜴のビルを送り出す 五章 芋虫の忠告 六章 豚と胡椒 七章 気違いの茶話会 八章 女王の球打場 九章 まがい海亀の物語 十章 海老の四組舞踏 十一章 誰がお饅頭を盗んだか 十二章 アリスの証言 ◆注釈 ◆解説 本書の成り立ち ◆あとがき 文豪たちのアリスーー “お饅頭”はどこからやって来た?
天真爛漫な少女が遍歴する“謎”の王国、待望の「アリスの絵本」。全編に溢れ出る夢とファンタジーで、熱烈な読者を獲得する『不思議の国のアリス』。全世界のアーティスト、作家を挑発し続ける永遠の「ミューズ」アリスが遍歴する“謎”の王国とはー。21世紀のアリスを求め、新訳テクストと描き下ろし絵画でアリス世界を極める夢のコラボレーション。
アリス3部作をまとめて収録!妖精姉弟との交流を描く『シルヴィーとブルーノ』は完結篇も掲載。短篇2本も加えた、論理や常識を覆すキャロルの迷宮へようこそ。
雪の日の午後、アリスは暖炉の上の鏡を通りぬけて、現実とは逆さまの世界へ入り込んでしまいます。チェスの駒が歩き回り、花々がしゃべる世界で、奇妙なチェスゲームに参加したアリスは、ハンプティ・ダンプティやいばりくさった赤の女王、混乱している白の女王など、奇妙奇天烈なものたちに出会います。『不思議の国のアリス』が最初に刊行されてから150年。その続編となる本作にも、国際アンデルセン賞受賞画家イングペンが魅惑的な挿し絵を描きました。前作同様、突拍子もないユーモアや、きらめくような言葉遊びが散りばめられ、少し大人になったアリスに出会えます。カラー豪華愛蔵版。
イギリスで1865年に初版が刊行されてから150年。『アリス』の物語に登場する忘れがたいキャラクターや文章や詩の数々は、私たちの文化に浸透し、第一級の児童文学として、世界中の人々に今もなお愛されつづけています。国際アンデルセン賞受賞画家であるロバート・イングペンの表情豊かな挿し絵と、読みやすい新訳によるカラー豪華愛蔵版。
人気版画家・蟹江杏が大胆に描いたアリス・ワールドに詩人・桑原茂夫がリズミカルな文を重ね、気鋭のデザイナー・東學が自在にデザイン、アリスを思い切りはじけさせた斬新無比なアリスの絵本!アリス誕生150年を経た今、作者ルイス・キャロルへのリスペクトを深めながらつくり出されたあたらしいアリス・ワールド!
チョッキを着て時計を手にしたウサギが急いで走って行きます。よく考えれば、これはおかしなできごと。アリスの好奇心はいたく刺激され、ウサギの後を追い、ウサギに続いて穴に飛びこみます。深い深い穴に…。ここからアリスの果敢な冒険がはじまります。アリスの行く手には、姿を消すことのできるチェシャー猫や、おかしなことばかりしゃべりまくる帽子屋と三月ウサギ、やたら首をチョン切れと命じるハートの女王等々、おそろしげなキャラクターも出てきます。でもアリスはへこたれません。それどころか、アリスの目はいきいきと輝いてくるのです…。
【アリスは“不思議の国”だけじゃない! “鏡の国”で立派な女王になるアリスを見届けよう! 原文の言葉あそびの楽しさそのままを「新訳」で!!】 ●ここがポイント (1)さすが新訳!! 前作に引きつづき、今に息づく、美しい日本語でアリスが読めます。 難解で読みづらいなんてこと一切なし! そしてくずれた日本語でもありません。 アリスの上品かつかわいらしい台詞を楽しめます。 (2)アリスが女王になる!? チェスについての詳細な解説 物語の肝(きも)はなんといっても「アリスが女王になる」こと。 “不思議の国”はトランプの国でしたが、“鏡の国”はチェスの国。(将棋とちがってチェスはコマが鏡合わせに置かれます) つまりこの物語ではアリスはチェスの女王(クイーン)に「成る」のです。 物語はチェスの棋譜にそって展開しており、訳者あとがきでそれが詳細に解説されていて、それがめちゃくちゃ面白いです! (3)アリスの面白さはライム(韻) 本作は、とくに詩の韻を重視して訳出されています。ラストに掲載される美しい詩をもとにご説明しましょう。 [な]つ 七月の 空【青く】、 [つ]れだって船で遊べば、夢【多く】。 [の]んびり川に流れる追【憶】-- [ひ]っそりと身をよせあ《いて》、 [ノ]ンセンスのお話、夢中で聴《いて》。 [あ]きもせぬ三人の子が《相手》-- ※【 】《 》で韻がふまれています。[ ]はつなげて読むことができます。 ちなみにこの詩の訳文がすごいのは、脚韻がふまれているだけでなく、行頭の文字をつなげるとある一文がみえてきます。 近年ネットではやっている“タテ読み”を、百年以上も前のルイス・キャロルはすでにやっていたんですね。 「なつのひノあ」……。このあとどんな言葉が続くでしょう。本文でぜひお読み下さい。 (4)詳細な解説付き&詩の楽譜も! 訳者あとがきでは、ほかにも物語が生まれたいきさつや、作品に関する詳しい解説・裏話が読めます。 ・この本が出版されたころ、アリスのモデルである、実在のアリス・リドルが大恋愛していた相手とは? ・アリスが大人になるのを見まもる白の老騎士は、だれのカリカチュア? ・意味不明すぎるジャバーウォッキーの詩の「ぬなやか」は何と何の合成語?(ほかにもこの詩の用語に関する詳細な説明も掲載) アリスファンならニヤリとしてしまうこと、まちがいなし! おまけに、それぞれの詩の楽譜もついています。 「鏡の国のアリスです♪」を楽譜にあわせて歌いましょう! 1 鏡の家 2 しゃべる花々のお庭 3 鏡の国の虫 4 トゥィードルダムとトゥィードルディー 5 ウールと水 6 ハンプティ・ダンプティ 7 ライオンとユニコーン 8 「これはせっしゃの発明でござる」 9 女王アリス 10 ゆさぶって 11 目が覚めて 12 夢を見たのはどっち? 訳者あとがき
鏡のなかを通りぬけたアリスは、またまた奇妙な世界へ。おしゃべりな花たちの咲く庭をふりだしに、鏡の国を歩くアリスのまえに、つぎつぎとおかしな住人があらわれてー。「ふしぎの国のアリス」につづくキャロルの作品で、チェスゲームを織りこんで構成された、夢とユーモアにあふれたファンタジーの傑作。
「鏡の国」は「不思議の国」の7年後に書かれた物語である。「不思議の国」にくらべ、透明感は増し、言葉遊びの意味は深まり、物語全体が「チェス盤」の上で進行するという特異な構成となっている。より論理性が強調された「鏡の国」は、キャロルの数学者としての面目を示し、物語の完成度も高いといえる。言葉遊びと論理の展開に充分の配慮をした、新たな日本語訳の誕生である。