著者 : 三角和代
「この船は呪われている、乗客は破滅を迎えるだろう」バタヴィアからオランダへ向かう帆船ザーンダム号に乗船しようとしていた名探偵サミー・ピップスと助手のアレントらに、包帯で顔を覆った怪人がそう宣言した。そして直後、男は炎に包まれて死を遂げた。しかし名探偵は罪人として護送される途上にあり、この怪事件を前になすすべもなかった。オランダへと帰国するバタヴィア総督一家らを乗せ、ザーンダム号が出航せんとしたとき、新たな凶兆が起こる。風を受けてひるがえった帆に、悪魔“トム翁”の印が黒々と浮かび上がったのだ!やがて死んだはずの包帯男が船内に跳梁し、存在しないはずの船の灯りが夜の海に出現、厳重に保管されていた極秘の積荷“愚物”が忽然と消失する。わきおこる謎また謎。だが名探偵は牢にいる。元兵士の助手アレントは、頭脳明晰な総督夫人サラとともに捜査を開始するも、鍵のかかった密室で殺人が!驚愕のSFミステリ『イヴリン嬢は七回殺される』の鬼才の第二作。海洋冒険譚と怪奇小説を組み込んだ全方位型エンタテインメント本格ミステリ!ガーディアン、フィナンシャルタイムズ、サンデータイムズほか“ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤー”。英国推理作家協会“スチール・ダガー賞”最終候補作。英国歴史作家協会“ゴールド・クラウン賞”最終候補作。
ドラッグ・ディーラーのジャック・プライスの下の階に住む老女が殺された。自分の縄張りで、誰がなぜそんな真似を?調べはじめたプライスだが、それをこころよく思わない何者かによって、凄腕暗殺者集団“セヴン・デーモンズ”を差し向けられる。冷酷かつ用意周到に彼の命を狙ってくる暗殺者たちと、減らず口で常軌を逸した手を繰り出すプライスとの壮絶な殺し合いの結末は?型破りなノンストップ・サスペンス登場!
天気のように機嫌が変わる父、優しくも悲しい目をしていた母。両親を火事で亡くした9歳のアリスは、初めて会った祖母に引き取られる。連れていかれた先は、オーストラリア固有種の植物を育てる花農場だった…。自らの価値を見失った少女が、大自然の中をひたむきに生きる、衝撃のデビュー長編。The Australian Book Industry Awards一般文芸書部門受賞。30ヵ国で出版、ドラマ化も決定!オーストラリアの大地を強く生きる少女の物語。
森の中に建つ屋敷“ブラックヒース館”。そこにはハードカースル家に招かれた多くの客が滞在し、夜に行われる仮面舞踏会まで社交に興じていた。そんな館に、わたしはすべての記憶を失ってたどりついた。自分が誰なのか、なぜここにいるのかもわからなかった。だが、何者かによる脅しにショックを受け、意識を失ったわたしは、めざめると時間が同じ日の朝に巻き戻っており、自分の意識が別の人間に宿っていることに気づいた。とまどうわたしに、禍々しい仮面をかぶった人物がささやくー今夜、令嬢イヴリンが殺される。その謎を解かないかぎり、おまえはこの日を延々とくりかえすことになる。タイムループから逃れるには真犯人を見つけるしかないと…。悪評ふんぷんの銀行家、麻薬密売人、一族と縁の深い医師、卑劣な女たらしとその母親、怪しい動きをするメイド、そして十六年前に起きた殺人事件…不穏な空気の漂う屋敷を泳ぎまわり、客や使用人の人格を転々としながら、わたしは謎を追う。だが、人格転移をくりかえしながら真犯人を追う人物が、わたしのほかにもいるというー英国調の正統派ミステリの舞台に、タイムループと人格転移というSF要素を組み込んで、強烈な謎とサスペンスで読者を離さぬ超絶SFミステリ。イギリスの本読みたちを唸らせて、フィナンシャルタイムズ選ベスト・ミステリ、コスタ賞最優秀新人賞受賞。多数のミステリ賞、文学賞の最終候補となった衝撃のデビュー作!
大西洋上の豪華客船で重大な盗難事件と奇怪な殺人事件が発生する。なくなったはずのエメラルドがいつの間にか持ち主のもとにもどったり、被害者が消えたあとに“盲目の理髪師”が柄にあしらわれた、血まみれの剃刀が残っていたり。すれ違いと酔っ払いの大騒ぎに織り込まれる、不気味なサスペンスと度肝を抜くトリック。フェル博士が安楽椅子探偵を務める本格長編、新訳で登場。
ニューヨークで三人が射殺される事件が発生。弁護士のオリヴィアは、逮捕された容疑者が元婚約者のジャックであることを知って愕然とする。かつて婚約を一方的に破った負い目のあるオリヴィアはジャックの弁護を引き受ける。しかし彼はあまりに不利な立場だった。現場にいたばかりか、被害者の一人は、三年前に彼の妻が射殺された事件と深い関係があったのだ。果たして偶然か、復讐か?予測不能の展開で突き進む衝撃作。
エーランド島の古い屋敷に移り住んだヨアキムとその家族。しかし間もなく、一家を不幸が襲う。悲嘆に沈むヨアキムに、屋敷に起きる異変が追い打ちをかける。無人の部屋で聞こえる囁き、何者かの気配がする納屋…。そして死者が現世に戻ってくるというクリスマス、猛吹雪で孤立した屋敷を歓迎されざる客たちが訪れる。「ガラスの鍵」賞、英国推理作家協会賞、スウェーデン推理作家アカデミー賞の三冠に輝く傑作ミステリ。
母を亡くした少女と親友は危険を避けるためのルールを「禁止リスト」にした。すべては完璧だった、あの夜までは。少女4人の監禁拷問事件から10年、被害者セアラは犯人仮釈放の可能性を知る。未発見の親友の遺体という証拠があれば、奴を再逮捕できる。セアラは共に監禁された仲間と事件を辿る旅に出る!
刑事カーソンが休暇で赴いたケンタッキーの山中で連続殺人が。犯人はネット上の宝探しサイトで犯行を告知し、死体はどれも奇怪な装飾を施されていた。捜査に巻き込まれたカーソンの前に現れたのは、実の兄にして逃走中の連続殺人鬼ジェレミー。ディーヴァーばりのスリルとサプライズで人気のシリーズ第6弾。
マドリードで盗まれたゴヤの名画。イギリスで捜査を担当する臨時主任警視のマートランドは、学友の画商チャーリー・モルデカイを訪ね手がかりを得る。ナショナル・ギャラリー、ターナー作品の裏に隠された一枚の写真。石油王クランプフのビンテージ・カーを、外交封印のもとにアメリカに運ぶ仕事を引き受けたモルデカイだが、マートランドに弱みを握られ汚れ仕事を押しつけられー。
画商チャーリー・モルデカイは、マドリードのプラド美術館からゴヤの名画をかっぱらい、アメリカ・ニューメキシコ州の石油王に配達した。やばい仕事で命を狙われモルデカイは這々の体で故郷のイングランドに戻り鉱山の洞窟に身を潜めた。アメリカ大使館のブルーチャー大佐は、モルデカイを助ける代わりに、捜査対象と結婚し金の流れを突き止めてほしいという。夫となったモルデカイは、今度は妻から暗殺の依頼を受けー。
雨上がりのテニスコート、中央付近で仰向けに倒れた絞殺死体。足跡は被害者のものと、殺された男の婚約者ブレンダが死体まで往復したものだけ。だが彼女は断じて殺していないという。では殺人者は、走り幅跳びの世界記録並みに跳躍したのだろうか?“奇跡の”殺人に挑むのは、名探偵フェル博士。驚天動地のトリックが炸裂する巨匠の逸品!
不思議な別れと出会い。危険な“霧”の大河に初めて橋を架けようとする人々の苦闘と絆ー表題作を始め数々の賞に輝く11編を厳選。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞受賞作収録。
15世紀末、ルネッサンス華やかな中世ローマに、徒花のように権勢を誇った一族・ボルジア家。謀略と潤沢な資金で、その長ロドリーゴは枢機卿から教皇の座を狙うまで昇りつめるが、その最大の武器は“毒”だった。一族には“毒殺師”と呼ばれる仕事人がいて、次々と迫り来る強大な敵に秘薬を調合、闘い、抹殺する。本書は何者かに殺害された父の跡を継いだ女主人公の数奇な物語。全米で話題の大人気シリーズ!
エーランド島の石切場のそばのコテージに暮らしはじめたペール・メルネル。ある日彼のもとに、疎遠にしていた派手で傲慢な父ジェリーから、迎えに来るよう求める電話が入る。渋々父の別荘に赴くと、そこに待っていたのは謎の刺し傷を負った父だった。そして直後に別荘は全焼する。なぜこんな事件が起きたのか?娘の病気などの悩みを抱えながらも、ペールは父の暗い過去を探りはじめるー。エルフとトロールの伝説が息づく島で、人々の切ない記憶と過去が交錯する。北欧の注目作家が贈る深い余韻が残るミステリ。
きわめて知的で魅力的な青年ジェレミー。僕の兄にして連続殺人犯。彼が施設を脱走してニューヨークに潜伏、殺人を犯したという。連続する惨殺事件。ジェレミーがひそかに進行させる犯罪計画の真の目的とは?強烈なサスペンスに巧妙な騙しと細密な伏線を仕込んだ才人カーリイの最高傑作。