小説むすび | 著者 : 下村作次郎

著者 : 下村作次郎

タイヤル・バライ 本当の人タイヤル・バライ 本当の人

幽霊の対話は異なる時空を行き来しながら、この物語は進んでいく。死者たちの語らいに私たちは何を見るのかーー民族の核心にある文化を直視し植民統治下に命を落としていった霊魂を救済する、台湾原住民文学の秀作。 『タイヤル・バライ 本当の人』では、多くの歴史事件によって、この世界で起こった様々な変化を暗喩しています。作品は、オットフ(幽霊)の眼を通して、タイヤル族が現実世界で味わった怪異現象や荒唐無稽な出来事について語っています。植民統治下で起こったタイヤル族の世代間の認識の変化をたどり、タイヤル族がどのようにして自分たちの心の核心である文化を直視したかを振りかえることで、不公平な扱いの中で命を落としていった霊魂が安らぎを得られ、タイヤル族は真摯に自分に向き合えるのです。台湾原住民族を理解するための一冊として、日本の皆さまにこの『タイヤル・バライ 本当の人』を読んでいただきたいと思います。(トマス・ハヤン「日本の読者の皆さまへ」より) 日本の読者の皆さまへ トマス・ハヤン(李永松) 【台湾原住民文学 一 六族分布図】 【作品舞台地図】 凡例 主な登場人物 一部 猟人ワタン 二部 飛行士ワタン 【作品の理解のために】死者のまなざし 孫大川(パァラバン・ダナパン) 【解説】「百年の孤独」── タイヤル族大嵙崁溪の哀愁 下村作次郎

フォルモサの涙 獅頭社戦役フォルモサの涙 獅頭社戦役

出版社

東方書店

発売日

2023年8月7日 発売

ジャンル

1874年、日本軍が台湾に出兵した(牡丹社事件)。清朝政府は台湾防衛のため軍隊を派遣するが、彼らは日本軍ではなく、原住民と闘うことになったーー。「開山撫番」政策下で起こった最初の原住民と漢族の戦争「獅頭社戦役」を描く歴史小説。原題『獅頭花』(INK、2017年)。本書は『フォルモサに咲く花』(原題『傀儡花』)に続く「開山撫番」三部作(あるいは「花シリーズ三部作」)の第二部にあたる。 本書のテーマのひとつは、牡丹社事件による清朝政府の危機感から生まれた「開山撫番」に誘発されたこの最初の原漢(原住民と漢民族)戦争、獅頭社戦役が、近代台湾の歴史を大きく変えたことを描く点にあり、本書によってはじめて取り上げられた。その意義は極めて大きく、こうしてはじまった「開山撫番(剿番)」は、その後清末から、さらに日清戦争後新しく統治者となった日本の「理蕃政策」に引き継がれていったのである。(「【解説】沈葆テイの「開山撫番」と最初の原漢戦争ー獅頭社戦役ー」より) 日本の読者の皆さまへ、『フォルモサの涙 獅頭社戦役』作者のことばー「開山撫番」から「和解共生」へー 本書を読むために 楔子 第一部 日本軍 刀を牡丹に揮い、風港を望む 第二部 大亀文 世と争いなく、かえって擾に見(まみ)える 第三部 清国兵 雄師〔精兵〕、海を渡り、倭軍を拒む 第四部 莿桐脚 争議の是非、総じて評し難し 第五部 沈幼青〔沈葆テイ〕 開山撫番、変音を惜しむ 第六部 王玉山〔王開俊〕 民を護るといえど、かえって仁を傷(やぶ)る 第七部 アラパイ 英雄、姫と別れ、内文を護る 第八部 上瑯嶠 原漢、今日仇恩〔恩讐〕泯(つ)きる 第九部 獅頭花 三千里の外で、かえって君に逢う 第十部 胡鉄花 涙を鳳山の昭忠祠にそそぐ 注 附録 淮軍と大亀文からの呼びかけと探究ーー私が『獅頭花』を書いた心の歴程 神霊任務の一 「鳳山武洛塘山淮軍昭忠祠」の探訪と再現 神霊任務の二 枋寮「白軍営」のほかにも淮軍の墓地がある? 「台湾の淮軍」の歴史と遺跡を尋ねて 台湾淮軍史(一八七四ー一八七五) 【解説】 沈葆テイの「開山撫番」と最初の原漢戦争ー獅頭社戦役ー(下村作次郎)

都市残酷都市残酷

山で生きてきた。国家など不要だった。都市の残酷に呑みこまれても、猟人の魂は生き延びる。記憶はいつも創造と壊滅の間でつなわたり。だから物語は書かれなくてはならない。 ワリス・ノカンの文章が、全球化社会に対する抵抗の線を引く。-- 管啓次郎 台湾原住民文学の旗手が描く、都市化された台湾の悲しみ。原住民の誇らしい魂が、都市化の波に呑まれ悲鳴を上げる台湾の現実。真の台湾を知るには避けて通ることのできない作品集。 目次 序 日本の読者の皆さんに ワリス・ノカン 作品舞台地図/凡例 第一部──記憶柔和   弔い   最初の狩猟   長い年月のあとのある夕暮れ   タロコ風雲録   悲しい一日   独裁者の涙   野ゆりの秘密   女王の蔑視   失われたジグソーパズル   死神がいつも影のごとく寄りそう 第二部──都市残酷   奥の手   中秋の前   夜の行動   タクシー   小さなバス停の冬   この、もの悲しい雨   希洛の一日   銅像が引きおこした災い   私の小説「先生の休日」   ムハイス   コウモリと厚唇の愉快な時間 第三部──山野漂泊   虹を見たか   タイワンマス   人と離れてひとり暮らす叛逆者、ビハオ・グラス   父   初出一覧  訳者あとがき 下村作次郎

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