著者 : 丸井とまと
高校1年生の海実は奥二重がコンプレックス。クラスの男子に「目が変」とからかわれて、傷ついたあまり、自分の顔が醜く感じる「思春期の風邪」にかかってしまった。マスクで顔を隠して学校に通うが、次第に家から出るのもつらくなっていく。そんなとき、よくない噂の多いクラスメイトの久米くんに「俺の息抜きに付き合って」と声をかけられ、学校をサボることになってー。ひとつの出会いが私の世界を変えてくれる。
花澄は、何をしても平均点のありふれた高校生。演劇部の舞台にあがっている時は、自分が何者かになれたようで嬉しかったけど、その姿を見た同級生に「ウケる」とからかわれ…。ショックで、学校で声を出せない「場面緘黙症」になってしまう。教室にいられず、非常階段ですごす日々の中ー花澄を見つけ出したのは、無愛想で意志が強く、クラスの中心にいて一番遠い存在の蛍だった。「自分を笑う奴の声を聴く必要ねぇよ」彼の正直な言葉は、本音を見失っていた花澄の心を震わせて…。誰の目も気にせず、好きな自分でいるために、花澄はやりたいことを取り戻すー。本音を飲み込んで疲れてしまった夜に。明日、少し息がしやすくなるーお守りのような物語。
嫌われたくなくて、本心を口にできない性格の菜奈。高校生になって急にあか抜けた千世と、SNSで友だちが多い香乃は、中学からの友達だけど、最近はどこかぎすぎすしてうまくいかない。そんな中、菜奈は他人の“嘘”や“怒り”が見える「光感覚症」になってしまう。じつはみんな嘘ばかりだと気づいて苦しむ菜奈だけど、唯一、まったく“嘘”が見えない伊原くんの存在に救われる。でも彼と親しくなるにつれ、千世や香乃との関係もさらに悪化して…。私たち、もうあの頃みたいに笑えないのー?
気になっていた時枝くんと席が近くなって、学校へ行くのが楽しくなっていた紗弥。ある日、些細なきっかけで仲の良かったグループの関係が崩れてしまう。嫌われないように必死にふるまう紗弥だけど、SNSの裏アカに友だちの悪口を書きこんでいるという嘘の噂が広まって、みんなに疑われてしまう。さらにその噂を時枝くんにも知られ…。追い詰められた紗弥は「この世界から消えたい」と強く願った。-次の日、友だちも先生も、まるで紗弥と初めて会ったような態度。あの噂さえも消えていた。ふたたび仲良くなっても、一日たつと紗弥のことを忘れてしまう。紗弥を傷つけるものはなくなり、生きやすくなった。けれど…。「もう、忘れられるのはイヤ。私のこと、信じてほしい」そんな紗弥を、時枝くんだけは何度も思い出して、見つけてくれた。
高2の朝葉は、勉強も部活も要領よくこなす優等生。部員の仲を取りもつ毎日を過ごすうち、本音を飲み込むことに慣れ、自分の意見を見失っていた。そんなある日、朝葉は自分の顔が見えなくなる「青年期失顔症」になってしまう。しかも、それを同級生の聖に知られ…。クールで自分の考えをはっきり言う聖に、周りに合わせて生きている自分は軽蔑されるはず、と身構える朝葉。でも彼は、「疲れたら休んでもいいんじゃねぇの」と言って、朝葉を学校から連れ出してくれた。聖の隣で笑顔を取り戻した朝葉は、自分が本当にやりたいことや好きなことを見つけはじめるー。あの頃、そして今、誰もが感じている痛み。青春の息苦しさにそっと寄り添う、感動の恋愛小説。第5回野いちご大賞大賞受賞作!
些細なきっかけで、仲の良かったグループからいじめの対象になってしまった高校二年生の祥子。学校にも家にも居場所がない祥子にとっての毎日は、まるで溺れているようで、息苦しい。そんな祥子は、ある日「名前のない」喫茶店を見つける。中に入ってみるとそこには、あたたかな珈琲を淹れてくれるマスターと、個性的な常連客、そして祥子と同じくらいの男子高校生、皐月がいた。誰にも思いを言い出せず、息が詰まりそうだった祥子は、いつしか彼らに自分の犯したある「過ち」を告白。優しく迎えてくれたその喫茶店で、祥子はようやく苦しかった気持ちがほどけていくのを感じ…!?カクヨム×魔法のiらんどコンテスト受賞作。
星夏は少し高い声を中学のときにからかわれてから、人前で話すことが苦手。なのに、クラスの目立つグループにいるイケメンの慎と同じ放送委員になってしまう。声を出さない星夏を最初は不思議に思う慎だけど、彼女の素直でまっすぐな心にひかれていく。一方、星夏も自分の声を「好きだ」と言ってくれる慎に心を開いて、ふたりの距離は近づいていった。しかし、学校で慎の悪いうわさが流れてしまい…。初めての恋にとまどう星夏と、彼女を一途に想う慎の、ジレジレの純愛物語!