著者 : 井上里
17歳のキアラは、兄と二人暮らし。父は病死、母は獄中。ラッパーを夢見る兄のため、隣家の孤独な少年のため、彼女は職を探す。ある夜、思わぬことから、売春を始める。愛する者を心の支えとして働くキアラだったが、やがて街を揺るがす騒動に巻き込まれ……
虚空の闇に浮かぶ魔法使い養成学校“スコロマンス”。学園生活最大のサバイバル試練となる卒業式を生き抜いたガラドリエル(エル)らだったが、学校と怪物たちを葬り去った虚空には、エルの最愛の友人・オリオンが自らの意志で“目玉さらい”とともに残ってしまった。一方、エルが戻った現実世界では、次々と世界各地の魔法自治領が破壊されていた。果たして、エルはオリオンを、そして世界を救うことができるのか?
アメリカ南部の小さな町に、突然現れた“ピュウ”。見かけからは人種も年齢も性別もわからず、名前や過去についても一切語ろうとしない“ピュウ”の存在は、町に静かな波紋を広げる。執拗に“ピュウ”の正体を探ろうとする者、口もきかない“ピュウ”に長年の苦しみや秘密を打ち明ける者ー。沈黙を守る一方で、鋭い観察者である“ピュウ”の目には、親切で信心深い人々の欺瞞、怯え、残忍さが容赦なく映し出されていく。やがて町の恐ろしい一面が明らかになり…。気鋭の作家が謎めいた語り手を通じて描く、奇妙で恐ろしい現代の寓話。
1920年代、ニューヨーク。投資家ベンジャミン・ラスクは、冷徹無慈悲な読みでニューヨーク金融界の頂点に登り詰める。一方、妻のヘレンは社交界で名声をほしいままにするが、やがて精神に支障をきたす。一世を風靡した夫妻の、巨万の富の代償とは一体何だったのかー。こうして1937年に発表され、ベストセラーとなった小説『絆』。しかし、ここに描かれた大富豪夫妻には、別の記録も存在していた。『絆』への反駁として大富豪が刊行しようとした自伝『わが人生』。『わが人生』を代筆した秘書の回想録『追憶の記』。そして、大富豪の妻の死後発見された日記『未来』。夫妻を全く異なる視点から描く四篇を読み進めるうち、浮かび上がる真実とは…。ブッカー賞候補になり、カーカス賞を受賞し、2023年にはピュリッツァー賞を受賞。ニューヨーカー、タイム、エスクァイア他、多くの媒体のベストブックに輝き、オバマ元大統領も絶賛した、現代アメリカ文学の最先端が贈る長篇小説。
虚空の闇に浮かぶ魔法使い養成学校“スコロマンス”。入学した生徒たちは絶え間なく襲ってくる怪物たちから身を守り、最大のサバイバル試練の場となる4年後の卒業式を生き延びて、現実世界に戻らなくてはいけない。昨年、最凶の怪物“目玉さらい”を倒したガラドリエルも、いよいよ最終学年。孤高のはぐれ者だったエルにも、今や心強いチームの仲間がいる。初めて経験する友情に心を熱くしながら力を合わせて卒業式をサバイブしようと鍛錬の日々を重ねるうち、次第に仲間たちと前代未聞の計画を打ち立てていく…。
舞台は、虚空の闇に浮かぶ巨大な魔法使い養成学校、スコロマンス魔法学院。入学した生徒は4年後に卒業の門をくぐる日まで、現実世界に戻ることはできない。ここには、教師がいない。その代わり、魔物たちが跋扈し、ときおり襲いかかってくる。カフェテリアに集う生徒たちのあいだに、友情はない。あるのは、サバイバルのみ。生徒たちは、生き延びるために日々魔物たちと戦い、生徒同士も争いあう。主人公の少女ガラドリエルは、みずからに秘められた黒い魔法を恐れながらも、生き延びるために知恵をめぐらし、仲間との交流を通して、活路を見出していく。学園サバイバル・ファンタジー、シリーズ第1部。
8月のある午後、ロシア東部のカムチャツカ半島の街で、幼い姉妹が行方不明になった。警察の捜査は難航し、事故か誘拐かもわらぬまま時ばかりが過ぎる。失踪事件は、半島中の女性たちに影を落としてゆく。姉妹の母親、2人を最後に目撃した研究者、心配性の恋人に束縛される大学生、自身も失踪した娘をもつ先住民族の母親…ばらばらに生きてきた12人の女性の言葉がつながるとき、事件はふたたび動き出す。カムチャツカの美しい情景、そこに生きる女性たちの痛みと希望を克明に描き、世界から注目される米国作家による文芸作品。2019年全米図書賞最終候補作、23の言語で翻訳決定。
あの日は絶好のピクニック日和だった。女子寄宿学校アップルヤード学院の生徒たちは、馬車でハンギングロックの麓のピクニック場に向けて出発した。だが、楽しいはずのピクニックはいきなり暗転。ハンギングロックを近くで見ようと足を伸ばした四人の少女と、教師ひとりが消えてしまったのだ。何があったのかはわからぬまま。その事件を契機に、学院ではすべての歯車が狂いはじめる。カルト的人気を博した同名の映画原作、本邦初訳!
ジャングルで、オオカミに育てられた人間の少年モーグリ。クマや黒ヒョウ、大蛇らと交流し、ジャングルの掟を教えられる一方で、人間を敵視する大トラや、獰猛な赤犬の群れとのはげしい対決をくりひろげていく。人間社会の縮図のような動物社会の中で、少年がさまざまな冒険を経て成長していく姿を描く名作が新訳で蘇る。
サンクチュアリに戻る前、ボスコはケイルを、聖地“虎の山”に誘う。そこでボスコは自らの秘めたる信仰と計画を告白するー神は人間を作った。しかしそれは恐ろしい失敗作だった。もう一度やり直すためには、すべての人間を根絶やしにしなければならない。その使命を担わされたのが「人の形をした神の怒り」であるケイル、お前なのだー“神の意志”は実現するのか?大破局に向かって大きく展開する三部作最終巻!!
嘘と偽り、裏切りと対立、計略と知謀…暗黒の世界で繰り広げられる少年たちの冒険物語。主人公トマス・ケイルを翻弄する運命が明かされてゆく!相次ぐドンデン返しの末の、予想だにしなかった驚愕の展開!三部作第一巻『神の左手』を読んでおらずとも楽しめる構成!いくつもの謎が渦巻く中、物語は破天荒なエンディングに向かって一気に加速する!この壮大な世界の秘密は最後に明らかになるのか?そしてケイルの愛と憎しみの行方は…。