著者 : 井川香四郎
「ましら平蔵」を名乗る盗賊に蔵を荒らされた油問屋「淡路屋」の夫婦が心中をした。角野忠兵衛は事件の裏に、浅草の熊蔵親分に操られる、天平ら身寄りのない子供たちがいることに気づく。子供を救おうとする忠兵衛だが、町名主の丹兵衛とさらに大物の影も蠢き始め…(「鋳放し銭」・表題作)。詩織、新八郎、五郎蔵ら忠兵衛の仲間に最大の危機が訪れる、精選シリーズ完結編!
普請請負問屋「丹後屋」の娘を殺めた咎で捕まっていた、大工の磯吉が処刑された。磯吉は北町奉行所に無実を訴えていたのにもかかわらず、突然の執行であった。「事件の裏には何かある」。北町奉行のやり方が腑に落ちない忠兵衛の勘が騒ぎ、磯吉の娘おりつを訪ねるが…。(表題作)くらがり同心・角野忠兵衛と南町奉行・大岡越前が正義と人情で裁く、精選シリーズ第七弾!
両替商「肥後屋」の娘が拐かされた。監禁されたお小夜は、見張り役の又八の顔を見知っていた。かつて、どぶ川で溺れかけた子猫を、お小夜の求めに応じて又八が助けたのだ。金持ちの蔵屋敷と、日々の暮らしもままならない者たちの街を隔てるどぶ川。その川が引き離す大店の娘と貧しき若者の淡い恋を、角野忠兵衛は救うことができるか!?(表題作)精選シリーズ第六弾!
南町奉行・大岡越前は、汐留沖の島に四季の草花が咲く行楽地を作った。島に巣くう犯罪者を一掃し、江戸の庶民の遊楽地とするためだった。だがその島に、老中を襲撃して逃亡した浪人・宮坂弦九郎が潜伏しているという。大岡より弦九郎探索の命が、なぜか忠兵衛に下るが、その理由を大岡は語ろうとしない…。(表題作)人情同心・角野忠兵衛の活躍を描く精選シリーズ第五弾!
遊び人の鎌吉が辻斬りに殺された事件が、角野忠兵衛のもとに回ってきた。妹のお仙から、兄を逆恨みする女がいると訴えられ、忠兵衛は八王子宿を訪れる。だが、事件の鍵を握る千人同心の妻・和枝は、自分の子供が鎌吉のせいで川で溺れて死んだという。二つの事件を繋ぐ糸はどこに!?(表題作)人情の探索で“くらがり”から真相を見つけ出す、精選シリーズ第四弾!
「くらがりに落ちた」。解決できなかった事件を奉行所ではそう言う。それらの事件を書き留めておくのが、南町奉行所永尋書留役である角野忠兵衛の役目。奉行所の角に忘れ去られた事件を地道な探索でくらがりから引きずりだす忠兵衛を、仲間の同心はいつしか“くらがり同心”と呼ぶー。窓際同心の人情味溢れる活躍を描いた人気シリーズから、著者自ら厳選した「精選版」!
刀剣目利きの上条綸太郎は、ある日、虎徹の流れを汲む刀鍛冶とともに刀を作り続ける香苗と出会う。藩主の御側役だった香苗の夫は、主君の刀を失くし切腹したが、後に濡衣だと判明。香苗は自ら作った刀で夫の仇を討つという。だが、彼女の工房には骨董の贋作も多く、お宝と贋作をすり替えて盗む取替屋の疑いが浮上し…綸太郎は心の真贋まで見抜けるのか!?
博多の豪商島井宗室に物資を託され、村上海賊の跋扈する瀬戸内海を進む弥八。危機を救ってくれた毛利輝元に拾われ、評定飯を拵える大役を任された弥八に、山中にいながら鯛を使った昼餉を作れとの無理難題が降りかかる。飯で忠義を立て、下剋上の世を成り上がった男を描く文庫書下ろし戦国エンタメ第二弾。
白川丹波は、伊勢神宮から江戸の日本橋にある姫子島神社にやってきた神主。由緒はあるが寂れた神社を立て直そうと氏子たちを集めるが、揃いも揃って曲者ばかり。だがそんな神社にも、人々は悩みを抱えてやってくる。牢抜け、切腹、やくざな息子に迷子札。助けを求める人々の心を祓い清めるため、一風変わった若き禰宜(神主)は意外な方法で“禊ぎ”を行い地域の危機を救ってゆく。感動あふれる痛快人情時代小説、シリーズ開幕!
貧しい人を放っておけないとガラクタさえも預かる質屋を営む長屋の大家夫婦。店子を支え、長屋の暮しを守ってきたが、突如、悪徳高利貸しに立ち退きを迫られー「弱い者いじめはいい加減にしたほうがいいぞ!」強い信念と熱き心で立ち向う若き町年寄の三四郎が、影の情報集団・百眼と江戸の事件を未然に防ぐ。人気シリーズ第11弾。
取り潰し目前の藩から傾きかけた大店まで、よろず再建し“うだつを上げる”専門家「うだつ屋」こと朝倉智右衛門。彼が思いもよらぬ奇策と人情で不可能事を飄々と成し遂げる、大好評シリーズの第二弾。今作では帳簿読みや情報収集の専門家、剣の達人、謎の船宿女将など、くせ者揃いの智右衛門の部下たちも活躍。熱き思いで、家や店だけでなく“人の心”を立て直す!
深川不動裏手の長屋に住む信吉は、利発で落ち着いた物腰の少年。大人たちに「若」と呼ばれ可愛がられていたが、手習い所で信吉を教える佳乃には気懸りなことがあったー火事や地震から人々の命を守り、子供たちが幸せに育つ町を作るため、影の町人集団・百眼を差配し、奉行に進言する若き町年寄・三四郎シリーズ第10弾!書き下ろし時代小説。
銅吹所からたれ流される鉱毒に汚された町・宝亀町。原因不明の病に苦しむ町人は、金と引き換えに引っ越しを持ちかけられる。「こんな雀の涙みたいな金で、故郷を捨てろというのか!」-情熱と情報力と権力を携えた若き町年寄・三四郎が大規模な問題に立ち向かう人気シリーズ第八弾。幼馴染の佳乃との仲もいよいよ進展!?
川に大量の油が流れ出た!大打撃を受けた漁師たちは、日本橋にある町年寄・樽屋の屋敷に押しかけた。まずは被害を抑えようと率先して走り回る三四郎だったが、今度は油問屋の蔵に火が放たれー将軍にも謁見できる町人トップの権力と、影の集団・百眼の情報網を駆使して江戸の事件を未然に防ぐ三四郎シリーズ、男前な第六弾。書き下ろし時代小説。
幼馴染の佳乃に誘われ人気芝居を観に行った三四郎。ところが、舞台に突然現れた狐面の男たちに芝居小屋がのっとられる。観客を人質にとり、「大岡奉行をここに呼べ!」と無茶な要求をする賊の本当の狙いとはー。江戸町人は俺が守る!若き町年寄・三四郎と影の町人集団・百眼が、情報と人情で事件を解決するシリーズ第三弾。
初春の闇月夜、揃って命を狙われた逸馬、信三郎、八助。その理由を探る三人が行き当たったのは、南町奉行所の隠密廻り同心・岩倉が、無実の男を斬り捨てたという不祥事だった。自らの懐刀である岩倉を使い、逸馬潰しに躍起になる鳥居耀蔵。両者の対決はいよいよ佳境に!大人気シリーズ第10弾。
江戸幕府以来の特権町人「町年寄」樽屋の新当主は、二十三歳の熱血漢・三四郎。時の将軍・吉宗から「百眼をよろしく頼む」を謎の言葉をかけられたがー庶民の事情をすくい上げて事件の予兆を捉え智恵と人情で問題を解決する。時には権力に逆らいながらも江戸の町の安泰を図る三四郎の活躍を描く書き下ろし時代小説、第一弾。
直参旗本にして大目付の父の代理で、浅草にある饅頭屋の息子の祝言に列席した大河内右京。式の最中、芝で起きた殺しの嫌疑で、その息子がしょっぴかれた。右京が事件の真相を調べ始めると、最近、父・政盛が懸念していた薩摩藩の怪しげな動向に繋がった。結婚したばかりの妻・綾音を連れて、遠く薩摩へ乗り込んだ右京を待ちかまえていたのはー。
底知れぬ悪の気配を漂わせる、両替商堺屋五右衛門。幕府の財政関係者など四人が無残に殺された事件の詮議中、一歩も引かない堺屋に、逸馬は背筋の凍る緊張感を抱いていた。だが、女公事師真琴は、堺屋が親を亡くした子を援助している善人だと譲らない。「悪人」の本質に迫るシリーズ新境地。