著者 : 佐々田雅子
「母上は知事を石で襲いました」「冗談でしょ」サミュエルの母フェイは、彼が小さいころ家を出て行方知れずになった。そして数十年後、書けない作家兼大学教員になった彼のもとに知らせが入るー母が州知事を暴行して逮捕された。事件についての様々な憶測と報道がアメリカ全土をにぎわすなか、サミュエルは自分を捨てた母に復讐しようと、母の半生を調べはじめる。しかし、見えてきたのは、長年信じてきたものとはまったく違う事実だった。1960年代から現代まで、アメリカ中西部から、ニューヨーク、ノルウェーまで、さまざまな時代と場所から浮き上がってくるフェイの人生とは?そしてサミュエルとの断絶は修復されるのか。ジョン・アーヴィングが絶賛した、ユーモアと切なさに満ちた感動長篇。ロサンゼルス・タイムズ文学賞(新人部門)受賞!
真珠湾攻撃前夜のLA。日系人一家惨殺事件発生!これは究極の警察小説である。1941年12月。日本との戦争に震えるロサンジェルス。事件に挑むのは日系人鑑識官。『LAコンフィデンシャル』から25年。巨匠が警察小説に帰ってきた!
日系人に浴びせられるヘイト。鑑識官アシダは単身、真実を追う。ジャップ殺しの罪はジャップに着せろ。燃え上がる人種差別。戦争の恐怖と狂躁。そこから利をむさぼろうとするやつらがいる。その中で正義を追求する者たちがいるーこれぞエルロイ、これぞ警察小説!
貧しい村に生まれた少女は、三歳のときに都会の子供のいない裕福な夫妻に引き取られる。親代わりとなって少女を育ててきた兄は、つらい別離の後も妹のことを思いつづけるが…『君のためなら千回でも』の優れたストーリー・テラーがおくる傑作長篇。全世界で450万部突破。
奔放な母との関係に悩む聡明な若い女性。傷を負った都市で働く医師の人生を変えた少年期の出会い。様々な土地で人々が織り成すドラマは、貧しい兄妹が引き離されたあの日につながっていた。普遍的な愛を描き、70カ国以上で刊行が決定した世界的ベストセラー。
その春、戦争は自分らを殺そうとした。イラク、アルータファル。21歳の三年兵バートルは、18歳の初年兵マーフィーを無事に故郷に連れ帰ると約束していた。しかし、凄惨を極める戦闘を次々と経験していくうちに、二人は予期せぬ運命をたどることになる。イラクで戦うとはどういうことだったのか。元兵士が戦争に直面した若者たちの感情を、痛切に、瑞々しく描いたデビュー作。PEN/ヘミングウェイ賞、ガーディアン新人賞受賞。
ブルックリンに住む二人の少年ディランとミンガスは、同じストリートに住み、一緒に育った親友だ。しかし、ディランは白人、ミンガスは黒人。アメリカン・コミックや音楽への情熱で結びついていても、その友情には多くの試練が待ち受けていた。ある時、偶然にも空飛ぶ指輪を手に入れたディランは、ヒーロー「エアロマン」に変身して、ミンガスとともに街を守ろうと試みるが、それは二人の関係の転機となる-。ファンク、パンク、ヒップホップ、そしてグラフィティにドラッグ。全米批評家協会賞受賞作家が四年間の沈黙の末に発表した、70年代ニューヨークの息づかいが聞こえる傑作長篇。
ロンドンの地下鉄を業火が襲ったーテロリストが主要三線に同時にガソリンを撒き、火を放ったのだ。死者は三百名以上。直後に届けられたのはイスラム過激派HUMの犯行声明だった。イギリス政府は報復計画を練りはじめた。組織の宗教指導者ファウドの暗殺。それが決定された。実行におもむくのは秘密情報局首席特務官、タラ・チェイス。卓越した殺しの才能を持つ美貌の暗殺者。ファウドを殺すべく中東へ潜入した彼女は、しかし、この任務が大いなる危険を招くとは想像もしていなかった。国際政治の論理が冷酷な牙を剥き、味方さえ失ったチェイスが、銃とわずかな友を頼りに、血路を切り開くー。現代アクション・ハードボイルドの旗手が生んだ新たなるヒーロー登場。速く、美しく、非情なる暗殺者チェイスが、テロリズムとパワーゲームの支配する死地を疾走する!007の昂奮を現代のクールネスで甦らせる新シリーズ開幕。
カンザスの村で起きた一家4人惨殺事件。5年余を費やして綿密な取材を敢行し、絞首台まで犯人たちを追った本書は、40年を経た今なお、輝きを放ちつづける。捜査の手法、犯罪者の心理、死刑制度の是非、そして取材者のモラル。人間の魂の暗部を抉りつくし、後進の作家たちに無限の影響を及ぼした暗黒の教典、待望の新訳成る。
時代は紀元前3万5千年ころ。大地震で両親をなくし、孤児となったクロマニオン人の少女エイラは、ネアンデルタール人の一族に拾われる。種族の違う彼らから見れば、醜い異形の子であるエイラは、さまざまな差別やカルチャーショックにみまわれながらも、まじない師のクレブと薬師であるイーザの庇護のもとに育てられ、やがて一族の一員として認められる。エイラが成長するにつれてそのクロマニオンの特性は顕著になり、一族のなかの反感と憎悪は強まっていく。その急先鋒である族長の息子との間に、混血の子供ダルクも生まれるが、ついにイーザもクレブも死をむかえ、後ろ盾を失ってしまう。わが子の叫び声に後ろ髪を引かれながらも、自分と同じ種族を求めて、エイラはひとり旅立っていく。
デズデモーナとレフティーは姉弟でありながら、深く愛し合っていた。1922年、ギリシャとトルコの戦争で村が壊滅し、二人はいとこ夫婦を頼りにアメリカ、デトロイトへ夫と妻として渡る。やがて、二組の夫婦の子供、ミルトンとテッシーが惹かれ合うようになる。1960年、そこに生まれた待望の女の子がわたし、カリオペだ。車産業が隆盛を誇る街デトロイトで、祖父が始めた食堂を父が繁盛させ、わたしは大事に育てられた。女子高に通うようになったわたしは、自分の体つきに悩み、ある同級生への熱い想いに苦しんでいた。そんなある日、自分がふつうの女の子ではないことを知ったわたしは、激しい衝撃を受け、家族のもとを飛び出すが…。あるギリシャ系一家で紡いできた稀有な歴史を壮大に描く、現代の神話。女と男、二つの性を授かった一人の人間の数奇な運命を描くピュリッツァー賞受賞作。
ぼくは自殺しそうな気がする。守ってほしい…ランディーと名乗る若者はバークに訴えた。彼の周囲で知り合いの若者が次々と自殺し、異常な事態に怯えたランディーは、母親の知人であるバークを頼ってきたという。死んだ若者たちの親から話を聞くうち、彼らが同じ精神科医の診療を受けていた事実が判明する。その背後には、残忍かつ非情な秘密が!心に癒せぬ傷を抱えたアウトロー探偵バークの苦闘。シリーズ第二期開幕。
異様きわまる侵入盗ー切り裂かれた衣服、惨殺された番犬。被害者は警察と癒着した大物麻薬密売人。上層部の命で捜査にあたる悪徳警官クラインは、全てを操る巨大な陰謀に翻弄され、破滅してゆく。脈打つ暴力衝動、痙攣し暴走する妄執、絶望の淵で嗚咽する魂ーミステリ史に屹立する20世紀暗黒小説の金字塔。
女はバークの手を借りたがっていた。彼女の名はボンディー。職業はヌードダンサーだ。しかし、ダンサーとはいっても、彼女が踊るのは酒場のステージではない。場所は高級アパートメントの一室。そこには、ハイテク装置を駆使した専用ステージが配置されている。観客はただひとり、向かいのビルの窓から彼女のプレイを覗き見る、変態野郎だけだ。ボンディーの依頼は、その変態野郎に一泡吹かせてやることだった。男はボンディーのプレイをひとり愉しんでいるのではなく、友人と一緒に眺めながら、嘲笑っていたというのだ。やつに復讐してやりたいの-それがボンディーの願いだった。バークはファミリイとともにボンディーの背景を調べはじめる。やがて彼女の背後に、オレンジ色の目の女ボディーガードを従えた、謎の弁護士カイトの存在が浮かび上がる。ボンディーはカイトがバークに放った餌に過ぎなかったのだ。やがてカイトは、莫大な金を積み、バークにある「調査」を依頼するが…現代社会に巣喰う唾棄すべき悪をアウトロー探偵バークが断つ、シリーズ堂々の第九弾。