著者 : 佐伯泰英
日本橋小伝馬町の牢から出された一人の男。名は夏目影二郎という。罪を犯し遠島となる直前、牢から出された影二郎を待ち受けていたのは、腐敗した八州廻りの大掃除という役目だった。大薙刀を鍛え直した名刀「法城寺佐常」と南蛮外衣で関八州に巣くう者どもに立ち向かう。佐伯泰英の原点の一つともいえるシリーズ第一作が決定版で登場。巻末に佐伯奏英外伝を特別収録。
御側衆本郷康秀が将軍家斉の代参として日光に向かった。極秘の出立、余りにも少ない従者の数、かげまの同行等、不審な点が目に付き、総兵衛は百蔵と天松を伴って一行を追う。一方、この代参に関わる秘密を掴んだおこものちゅう吉も後を追った。御庭番、傭兵たちとの激闘を経て、本郷の恐るべき野望が明らかとなるのだが…。東照宮を舞台に十代目総兵衛の胸のすく活躍を描く第三巻。
今坂一族の卜師梅香林は、鳶沢一族に張り巡らされた闇祈祷を看破した六義園を拠点とした闇四神の結界は富沢町、さらに駿府鳶沢村をも包囲していた。幾重にも仕掛けられた柳沢吉保の百年の呪いに十代目総兵衛勝臣は敢然と立ち向かう。一方、闇祈祷の術者の一人李黒は、鳶沢一族と一心同体であるはずの影・本郷康秀の元に去ったという…。壮大な物語が動き始めた。渾身の第二巻。
琉球沖の大黒丸遭難で総兵衛以下、又三郎、駒吉など主だった人材を欠いた富沢町大黒屋を柳沢吉保の魔の手が襲う。その陰湿残忍な手口に身重の美雪はある決断を下す。一方、総兵衛は南洋の孤島で大黒丸の改造を果たし、針路を交趾(ベトナム)へ取った。かの地には寛永以前に多くの和人が渡航し、日本人町の記録もあるというのだが…。驚愕の新展開に胸が高鳴る不撓不屈の第十巻。
仙台の藩道場で門弟に敗れ、己の心弱さを思い知った神保桂次郎は、剣者としての再起を懸け、聖地・出羽三山で必死の山行を行なっていた。そして、傍らで見守る金杉惣三郎にも、ある心境の変化が…。同じ頃清之助は、八戸藩で拐かされた子供たちを救うため、恐山へと向かっていた。烈風吹き荒れる索漠とした北辺の地で、清之助を待ち受ける死と再生の試練とはー。
矢傷を負った座光寺藤之助を故郷の山河が優しく癒す。家臣たちに幕府存亡の危機を説く藤之助に、老中筆頭堀田正睦より新たな命が下った。豆州下田では亜米利加総領事ハリス相手に交渉が難渋していた。だが彼が暗殺されれば、江戸湾を外国艦隊が埋め尽くす。無敗の剣で国難に挑む第10弾。
享保四年暮れ以来、大店を狙った連続火付が江戸の町を騒がせていた。皆殺しの上、金品が強奪された焼け跡には、“火頭の歌右衛門”の名が残されている以外、手掛かりは全くない。折も折、江戸町火消再編成を指揮する南町奉行・大岡越前守をあざ笑うが如く頻発する火付に対し、大岡の懐刀・金杉惣三郎が立ち上がった!火頭の正体は、その真の狙いとは…。
長屋暮らしの金杉惣三郎の許に突如、豊後相良藩から使者が到着した。藩主斎木高玖の側室・清香に御法度である“きりしたんばてれん”の疑いがかかり、藩自体が窮地に陥っているという。旧主を救うべく立ち上がる惣三郎に、次々と襲いかかる兇刃の影。さらに、惣三郎極意の寒月霞斬りを超える“一期一殺剣”とは?「密命」初期の傑作、読みやすくなった新装版で登場。
東京競馬場でロールスロイスが炎上、車中から絵具で死に化粧をされた焼死体が…。被害者は六本木の西洋骨董店「カトレ・ガッツ」のオーナー・阿澄林成。府中・大国魂神社の祭礼の日に見つかったカタルニア国旗の謎?スペインと日本を舞台にした壮大な事件の真相は…。新境地を拓く新鋭の会心作。バルセロナ、パリ、日本を結ぶ謎と事件天才画家ピカソと幻の画家セバスチァン暴かれる歴史の闇。「青の時代」の隠されたドラマ。
スペイン内乱直前に赴任した木滑大使が現地で集めた膨大な数の美術品の一部が、大使の遺言により長崎県立美術館に寄贈、公開された。その翌日、公開実現に奔走した大学教授が、全身の血を抜かれるという残虐な方法で殺害された。しかも以前から、開係者には美術品を公開するなという執拗な脅迫が繰り返されていたのだった。若い美術記者の菊村と木滑の孫娘の燿子が、歴史をさかのぼるかのごとく、絵画に隠された謎を追う。書下し長編サスペンス。
黄金で造られたという名車、イスパノ・スイザ。舞姫ら、’20年代の上海を遊び尽した“選ばれたる冒険者”たちの象徴。この秘宝を巡って、東京、バルセロナ、パリ、香港、上海と、激しく渦巻く陰謀の数々…。書下し長篇国際冒険小説。
キューバによる宣戦布告なき対アメリカ戦争、白い十字軍(クルサーダ・ブランカ)作戦とは?失踪した夫を求める人妻を助けるうち、またも邪悪な陰謀に巻き込まれた隆治、柊子、ミゲル。奥アマゾンに浮かぶ巨大基地を舞台に、怒りと哀しみが交錯する…。最新書下し長篇!