著者 : 佐藤愛子
時は大正二年ー当時まだ珍しかった聚楽館の養成所女優となるも、周囲からは色眼鏡で見られ、鳴かず飛ばずの日々が続いていた横田シナ(後の女優・三笠万里子)。だが、作家・佐藤紅禄との運命的出会いによってシナの運命は大きく舵を切っていく。草創期の関西新劇界を舞台に、紅禄との恋愛や葛藤、修羅場の中を生き抜いたシナの激動の生涯を、実の娘である著者が愛情豊かに描いた感動作。
若き妻と夫の機微を描いた著者初期の意欲作3編。「ソクラテスの妻」は1963年度の芥川賞候補になった秀作。著者自身がモデルとされた作品で、浮世離れした夫の行状に手を焼く妻の苦労が描かれる。「二人の女」もまた芥川賞候補となり、親友をモデルにした「加納大尉夫人」は1964年度の直木賞候補となった。いずれもユーモアと深いペーソスに彩られた、色あせることのない珠玉の一冊である。
佐藤愛子といえば、やはり『血脈』! それは、妻子ある佐藤紅緑が、新進女優を狂おしく愛したことに始まった。 大正から昭和へ、因縁の炎が佐藤家を焼き尽くしていく。 圧倒的迫力と感動の大河長篇。 圧巻の三部作を、読みやすくした新装版で刊行。 【旧版からの変更点】 (1)人名・地名・難しい字に、ふりがなを増やしました。 (2)登場人物の系図を栞にして、上・中・下巻に挟み込みました。 (上)のあらすじ 物語は大正4年、当代随一の人気作家・佐藤紅緑が妻子を捨て、新進女優の横田シナを激しく愛したことに始まる。父親・紅緑への屈折した思いを胸に、散り散りになっていく八郎、節、弥、久の4人の息子たち。シナのつれなさに苦悩する紅緑が半ば別れを覚悟した矢先、シナの妊娠が判明。大正12年、愛子の誕生で、シナは紅緑と離れられぬ宿命をようやく受け入れる。
佐藤愛子といえば、やはり『血脈』! それは、妻子ある佐藤紅緑が、新進女優を狂おしく愛したことに始まった。 大正から昭和へ、因縁の炎が佐藤家を焼き尽くしていく。 圧倒的迫力と感動の大河長篇。 圧巻の三部作を、読みやすくした新装版で刊行。 【旧版からの変更点】 (1)人名・地名・難しい字に、ふりがなを増やしました。 (2)登場人物の系図を栞にして、上・中・下巻に挟み込みました。 (中)のあらすじ 昭和9年、四男・久が女と心中を図り、死んだ。サトウハチローとなった長男・八郎は、いまや売れっ子詩人で、あちこちに女を囲っていた。次男・節と三男・弥は相変わらず、親に金の無心を続けている。戦争の足音とともに紅緑に忍び寄る老いの影。敗戦を迎え、節を広島で、弥をフィリピンで失った。ハチローは「リンゴの唄」をはじめとして、次々とヒットを飛ばしていた。息子たちの放蕩から解き放たれた時、紅緑の生命は輝きを失っていく。
佐藤愛子といえば、やはり『血脈』! それは、妻子ある佐藤紅緑が、新進女優を狂おしく愛したことに始まった。 大正から昭和へ、因縁の炎が佐藤家を焼き尽くしていく。 圧倒的迫力と感動の大河長篇。 圧巻の三部作を、読みやすくした新装版で刊行。 【旧版からの変更点】 (1)人名・地名・難しい字に、ふりがなを増やしました。 (2)登場人物の系図を栞にして、上・中・下巻に挟み込みました。 (下)のあらすじ 紅緑が亡くなり、シナは過ぎ去った40年を思う。そして娘・愛子に「佐藤家には毒の血が流れとるから、気をつけなさい」と諭す。夫と別れた愛子に、小説を書くことを勧めたのは、シナだった。ヒロポン中毒の八郎の家で繰り返される佐藤家の因縁。愛子は再婚するも夫の会社が倒産し、多額の借金を背負う。シナが世を去り、八郎が急死。佐藤家を焼き尽くす因縁の炎の行方を見据えるのは、残された愛子であった。
ボンクラ亭主が拵えた山のような借金。妻はそれを肩代わりして、憤りに燃えながらも休む間もなく奮闘する。瑞々しくユーモアとペーソスに溢れる、直木賞受賞作。表題作のほか、「ひとりぽっちの女史」「ああ男!」「田所女史の悲恋」など全八篇を収録。あらゆる世代を魅了する著者の代表作、待望の新装版化。
「パパ、死んだよ、今」。娘・多恵からの電話に、作家・藤田杉は「ご苦労さん」と呟く。かつての夫・畑中辰彦との間に流れた歳月が終わった。共に文学を志し、十円の貸し借りから始まった付合い。借金まみれの人生を杉に背負わせた辰彦は結局、何者だったのか。九十歳を目前にした作家は、記憶を辿り、真実を求めて、ペンを執る。
辰彦は第一回文藝賞を受賞。新しい事業も起ち上げ、毎日上機嫌だった。しかし、杉にとって辰彦はいつしか「ヘンな人」になっていた。案の定、辰彦の会社は倒産、原稿料欲しさに書いた小説で、杉は直木賞を受賞、娘を抱えて必死に生きた。当時の文学仲間はもう誰もいない。枯淡の境地で、杉が得た答えとは。畢生の名作、誕生。
私の夫であったあなたは、いったい何者だったのですか?老作家・藤田杉のもとにある日届いた訃報ー。それは青春の日々を共にし、十五年のあいだは夫であった畑中辰彦のものだった。尊敬し信頼もしていた辰彦が後に杉を苦しめ、「ぼんくら」「明るい詐欺師」と呼ばれたのは、いったいなぜだったのか?遠い記憶の中に、杉は辰彦のほんとうの姿を探し始めた…。「戦いすんで日が暮れて」から四十五年、佐藤愛子が人生のすべてを懸けて描く鎮魂歌。