著者 : 冲方丁
慶長五年九月十五日、霧立ちこめる地に戦国時代の終焉を告げる運命を背負った男たちが集結した。天下分け目の大戦「関ヶ原の戦い」。徳川家康率いる「東軍」圧勝の理由、石田三成率いる「西軍」敗北の契機、そして両軍の運命を握る男。七人の作家が七人の武将の視点で描く競作長編「決戦!」シリーズ初陣。
廃業した病院にやってくる、十二人の子どもたち。建物に入り、金庫を開けると、中には1から12までの数字が並べられている。この場へ集う十二人は、一人ずつこの数字を手にする決まりだった。初対面同士の子どもたちの目的は、みんなで安楽死をすること。病院の一室で、すぐにそれは実行されるはずだった。しかし、十二人が集まった部屋のベッドにはすでに一人の少年が横たわっていた。彼は一体何者なのか、誰かが彼を殺したのではないか。このまま計画を実行してもいいのか。この集いの原則「全員一致」にのっとり、十二人の子どもたちは多数決を取ろうとする。俊英・冲方丁がデビュー20年目にしてはじめて書く、現代長編ミステリー!性格も価値観も環境も違う十二人がぶつけ合う、それぞれの死にたい理由。彼らが出す結論はー。
企業の内部告発者ケネス・C・Oの行方を追うなかで、ウフコックはパートナーのロックと弁護士サムを“クインテット”による惨殺された。保護証人を失ったイースターズ・オフィスは事件不成立により調査を中断するが、ウフコックはサムの遺志を継いで“クインテット”への潜入捜査を始める。ハンターの緻密な戦略のもと、アンダーグラウンドを制圧する“クインテット”の悪徳を、ウフコックはただ傍観するほかなかった。
冲方丁作品の二次創作による新人賞「冲方塾」。その小説部門に応募されたマルドゥック・シリーズを題材とした短篇の中から、優秀作品を精選ーボイルドの誤爆を目撃した男の物語、“疑似重力”の謎に挑む二人の刑事、クルツとオセロットの日常、『スクランブル』実写映画化の裏側などマルドゥック・シリーズの世界を自由に解釈し、想像力を広げた11篇に、冲方自身が書き下ろした二次創作短篇を併録した公式アンソロジー。
なぜ彼女は、『枕草子』を書いたのかー。28歳の清少納言は、帝の妃である17歳の中宮定子様に仕え始めた。華やかな宮中の雰囲気になじめずにいたが、定子様に導かれ、その才能を開花させていく。機転をもって知識を披露し、清少納言はやがて、宮中での存在感を強める。しかし幸福なときは長くは続かず、権力を掌握せんとする藤原道長と定子様の政争に巻き込まれて…。清少納言の心ふるわす生涯を描く、珠玉の歴史小説!
『マルドゥック・スクランブル』から2年ー自らの人生を取り戻したバロットは勉学の道に進み、ウフコックは新たなパートナーのロックらと事件解決の日々を送っていた。そんなイースターズ・オフィスに、馴染みの弁護士サムから企業の内部告発者ケネス・C・Oの保護依頼が持ち込まれた。調査に向かったウフコックとロックは都市の新勢力“クインテット”と遭遇する。それは悪徳と死者をめぐる最後の遍歴の始まりだった。
漂流中の宇宙船内。2人の男が見つけたのは、孤立したコロニーだった。このままの速度では、着陸時に衝突する危険があるが、これを逃すと何千年も掛かってしまう。2人はイチかバチかの賭けに出る(「草食の楽園」)。長年、日常の雑務をこなしていたが、ついに壊れてしまい、廃棄処分されることになったロボット。若い娘は、何とかそのロボットを残そうとするが…(「さよならの儀式」)。他、9編を収録。
天正十年六月二日(一五八二年六月二十一日)。戦国のいちばん長い夜ー本能寺の変。天下人となる目前の織田信長を、討った男、守った男。その生き様には、人間の変わることのない野心と業が滲み出る。名手七人による決戦!第3弾。
「なぜあの男を自らの手で殺めることになったのか」老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎でその経緯と己の生涯を綴り始める。父・頼房の過酷な“試練”と対峙し、優れた兄・頼重を差し置いて世継ぎに選ばれたことに悩む幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れる中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて文事の魅力に取り憑かれた光圀は、学を競う朋友を得て、詩の天下を目指すー。誰も見たことのない“水戸黄門”伝、開幕。
「我が大義、必ずや成就せん」老齢の光圀が書き綴る人生は、“あの男”を殺めた日へと近づく。義をともに歩める伴侶・奏姫と結ばれ、心穏やかな幸せを掴む光圀。盟友や心の拠り所との死別を経て、やがて水戸藩主となった若き“虎”は、大日本史編纂という空前絶後の大事業に乗り出す。光圀のもとには同志が集い、その栄誉は絶頂を迎えるがー。“人の生”を真っ向から描き切った、至高の大河エンタテインメント!
慶長二十年五月(一六一五年六月)。秀吉が築きし天下の名城・大坂城ー。いまここに、戦国最後の大合戦が始まろうとしていた。乱世に終止符を打つのか、敗北すなわち滅亡か…。いざ、戦国最終決戦へ!七人の作家が参陣、競作シリーズ第2弾。
慶長五年九月十五日(一六〇〇年十月二十一日)。天下分け目の大勝負ー関ヶ原の戦いが勃発。乱世を終わらせる運命を背負ったのは、どの男だったのか。新しい戦場を感じろー七人の作家が参陣した競作長篇。
あなたはそこにいますかー謎の問いかけとともに襲来した敵フェストゥムによって、竜宮島の偽りの平和は破られた。島の真実が明かされるとき、真壁一騎は人型巨大兵器ファフナーに乗るー。シリーズ構成、脚本を手がけた人気テレビアニメを、冲方丁自らがノベライズ。一騎、総士、真矢、翔子それぞれの無垢なる“青春”の終わりを描く。さらにスペシャル版「蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT」のシナリオを完全収録。
「この国の老いた暦を斬ってくれぬか」会津藩藩主にして将軍家綱の後見人、保科正之から春海に告げられた重き言葉。武家と公家、士と農、そして天と地を強靱な絆で結ぶこの改暦事業は、文治国家として日本が変革を遂げる象徴でもあった。改暦の「総大将」に任じられた春海だが、ここから想像を絶する苦闘の道が始まることになるー。碁打ちにして暦法家・渋川春海の20年に亘る奮闘・挫折・喜び、そして恋。