著者 : 加藤かおり
バイク事故で夫を亡くした作家は、20年後、思い出の家を手放す今、再び問いに向き合う。もしも、あのとき別の選択をしていたら事故は避けられたのか? 悲劇の日までの二十数年にわたる結婚生活の「あのとき」の数々を見つめ直す。ゴンクール賞受賞の感動作
百年前の戦争の苦しみと哀しみ、歴史に埋もれた声がよみがえる。セネガル歩兵のアルファは、瀕死の友をまえに決断を迫られていた。第一次世界大戦でフランスに動員された20歳のアルファと同郷の友マデンバ。対ドイツ軍の塹壕戦で、マデンバは死に瀕していた。腹を切り裂かれた苦しみは凄まじく、一思いに殺してほしいというマデンバの懇願に、アルファはー。この日を境にアルファは変わった。ドイツ兵を捕らえ、腹を引き裂き、苦しむ相手を殺してやり、手を切り落としてゆく。仲間からは英雄扱いされるものの、持ち帰る手が増えるたびに、恐れられていった。それでもアルファの復讐は止まらずに…。戦争という極限状況におかれ、人間性と非人間性、服従と自由に引き裂かれてゆく青年の心理を鮮烈に描き出す、新たな戦争文学の傑作。ブッカー国際賞、高校生が選ぶゴンクール賞受賞作。フランスで25万部突破。
1830年秋、七月革命の熱狂が冷めやらぬパリで、前途洋々たる代議士の息子が、盛大な夜会のさなか、二階の窓から身を投げた。死の直前、その青年は魅せられたように鏡に見入っていたという。父の遺志を継いで化学者から警官に転身したパリ警視庁の若き警部ヴァランタン・ヴェルヌは、突然の異動とともにこの事件の担当を命じられる。元徒刑囚にして元治安局長の探偵ヴィドックの助けを借り、新政権を揺さぶる奇怪な謎を解くため奔走するが…。科学の知見を武器にしたヴァランタンの活躍を描く傑作歴史ミステリ!
もし別の道を選んでいたら…良心の呵責に悩みながら、きな臭い製薬会社の顧問弁護士をつとめるアフリカ系アメリカ人のジョアンナ。穏やかな家庭人にして、無数の偽国籍をもつ殺し屋ブレイク。鳴かず飛ばずの15年を経て、突如、私生活まで注目される時の人になったフランスの作家ミゼル…。彼らが乗り合わせたのは、偶然か、誰かの選択か。エールフランス006便がニューヨークに向けて降下をはじめたとき、異常な乱気流に巻きこまれる。約3カ月後、ニューヨーク行きのエールフランス006便。そこには彼らがいた。誰一人欠けることなく、自らの行き先を知ることなく。圧倒的なストーリーテリングと、人生をめぐる深い洞察が国際的な称賛をうける長篇小説。ゴンクール賞受賞、フランスで110万部突破ベスト・スリラー2021(ニューヨーク・タイムズ、パブリッシャーズ・ウィークリー)。
フランス・ナントの村で暮らすアレックスは、小説家の夢破れた内気な女性。家族と営む民宿に、ゴンクール賞作家のシャルル・ベリエがやってくる。気さくな彼と一家は打ち解けるが、ある夜アレックスはベリエに襲われ、抵抗した勢いで殺してしまう。家族との幸せな生活を守るため、殺人を隠しとおさなくては…。彼女はパリに出て、ベリエのアシスタントに成りすまして出版業界に潜り込み、罪を被せられそうな人物を探す。彼に「正しく」死んでもらうために画策するアレックスの運命は?一気読み必至のノワール。
さまざまな民族が暮らすアフリカのちいさな国、ブルンジ。仲間たちとマンゴーをくすねたり、家族でドライブしたり、少年ガブリエルは幸せな日々を送っていた。しかし、大統領の暗殺をきっかけに内戦が勃発。親戚や知り合いが次々と消息を絶ち、平穏な生活は音を立てて崩れていく…フランスで活躍するラッパーが、自らの生い立ちをもとに綴った感動作。高校生が選ぶゴンクール賞受賞!
目覚めると、鎖をつけられ、地下室で監禁されていたー。ある事情から、人目を避けて南フランスの田舎の民宿に滞在していたテオは、周囲の山中を散策していたところ、廃屋めいた家に暮らす老兄弟によって囚われの身となってしまう。地下室の先住者リュックは、彼にこう告げる…「地獄にようこそ」。あらゆる農作業と重労働、家事に酷使され、食べ物もろくに与えられず、テオは心身ともに衰弱していく。ある日、老兄弟の隙をついて脱出を試みるが。フランス推理小説大賞、813賞の二冠に輝いた傑作サスペンス!