著者 : 加藤幸子
十三匹の犬十三匹の犬
札幌から北京そして東京へー。物語の語り手は、一家で飼われてきた歴代十三匹の犬たち。戦前の明るい空気の札幌、戦争中から敗戦後の混乱の中での北京、引揚げ後の米軍の占領に始まる戦後から平成までの東京を舞台に、誰からも愛される犬、臆病な犬、高貴な犬、澄んだ目の犬、縄抜け名人の犬、猫と仲良しの犬、生涯の伴侶犬など、様々な犬たちが描き出す、その犬の一生と家族の歴史。
芥川賞全集 第十三巻芥川賞全集 第十三巻
終戦前後、日本人少女と中国人親子の交流を清冽に描き上げた加藤幸子氏の「夢の壁」。現実の事件を引金に自由な劇的空間を遊泳する唐十郎氏の「佐川君からの手紙」。無気力な弟を追憶しつつ生の儚さを追究した笠原淳氏の「杢二の世界」。非行に染まる女子高生に近づく優良女生徒の友情を通して揺るぎない人間観を明示した高樹のぶ子氏の「光抱く友よ」。診療を一切拒否して癌にたおれる叔母への心の揺れを丹念に追った木崎さと子氏の「青桐」。第88回ー第93回受賞作。
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