著者 : 加賀山卓朗
英国の小さな海辺の町で書店を営むジュリアンは、町はずれのシルバービュー荘に住むエドワードと親しくなるが、ある日、エドワードから見知らぬ女に手紙を渡すよう頼まれる。一方、英国諜報部長は重大な機密漏洩の犯人を追ってシルバービュー荘を訪ねるが……
英国秘密情報部(MI6)の現役部員ナットは、中年をすぎて引退が囁かれはじめ、ロシア関連のお荷物部署に左遷される。だが、そこで待ち受けていたのは面目躍如たる大きな案件だった。進退をかけた勝負を挑むナットの情を絡めとるような思いがけない罠とは?
1963年11月、ニューオーリンズ。暗黒街で生きる男ギドリーは、ケネディ大統領暗殺の報に嫌な予感を覚える。数日前に依頼された仕事はこの暗殺絡みに違いない。ならば次に死ぬのは自分だ、と。仇敵を頼って西へ向かう道中、夫から逃れてきた訳ありの母娘と出会ったギドリーは家族連れを装いともに旅するようになる。だが組織が放った殺し屋はすぐそこに迫っていたーMWA賞受賞作家が放つ、傑作犯罪小説!ハメット賞受賞作。
実父を知らずに育てられたレイチェルが捜し当てたのは、残酷な真実だった。やがてジャーナリストとなり結婚するが、そのすべてを失う。ようやくめぐりあった真の愛。しかしそこにも陥穽が待っていた。巨匠が読者に仕掛ける驚愕の罠とは? 注目のサスペンス!
凡庸な少年時代から、モーリスは自分の願望を知ってはいた。ケンブリッジ大学の学舎で知的なクライヴと懇意になり、戯れに体が触れあううち、彼の愛は燃え上がる。クライヴもまた愛の言葉を口にするが…欲望のままに生きることが許されない時代に生きる青年の苦悩と選択を描く。
引退した元スパイ、ピーター・ギラムは、かつて所属していたイギリス情報部から緊急の呼び出しを受けた。冷戦期、作戦中に射殺された同僚の子供たちが、親の死亡原因はギラムとジョージ・スマイリーにあると訴え出たのだ。だが、スマイリーの行方は知れず……。
孤児オリヴァー・ツイストは薄粥のお代わりを求めたために救貧院を追い出され、ユダヤ人フェイギンを頭領とする少年たちの窃盗団に引きずり込まれた。裕福で心優しい紳士ブラウンローに保護され、その純粋な心を励まされたが、ふたたびフェイギンやその仲間のサイクスの元に戻されてしまう。どんな運命がオリヴァーを待ち受けるのか、そして彼の出生の秘密とはーー。ディケンズ初期の代表作。
刑期を終えたジョーは、ボスの指示で新天地フロリダへと向かう。現地の密造酒組織を掌握するためだ。かつての仲間と再会し、先任者を追い払ったジョーは、キューバの大物と手を組み、次第にその勢力を強め、ついに覇権を握る。だがその先には、さらに過酷な運命が待ち構えていた…激動の時代を腕一本で乗り切ろうとするギャングたちの生きざまを描く入魂の大作。ベン・アフレック製作・監督・主演で映画化の超話題作!
抗争のさなかに妻を失ってから十年。息子と共に生きようとする元ギャングのもとに届いたのは暗殺の予告だった。第二次大戦下のフロリダで繰り広げられる犯罪組織の熾烈な暗闘を圧倒的筆力で描く
満月の夜に連続して起きた一家惨殺事件。噛み痕を残していくことからついた名は〈歯の妖精〉--次の満月までに犯人を逮捕すべく、元FBIアカデミーのグレアムは捜査を開始する。彼は犯人像の手がかりを得ようと、以前連続殺人事件で逮捕した精神科医ハンニバル・レクター博士に助言を求める。収容先の異常犯罪者専用の医療施設を訪ねると……。待望の新訳版。
ウィリアム・ブレイクの描く“竜”に自らを重ねて残忍な犯行に及ぶ男、“歯の妖精”-憑かれた情熱と歪んだ欲望に突き動かされ、犯人は不敵な挑戦状をFBIに叩きつける。さらにそれを秘かに操ろうとたくらむハンニバル・レクター博士。FBI捜査官たちは翻弄され、グレアムの身にも危険が迫る。悪の牙はゆっくりと肉に喰らいつき始める…サイコ・サスペンスというジャンルの狂気の殿堂に燦然と輝く、名作中の名作。
バーテンダーのボブがその子犬を拾ったのはクリスマスの二日後のことだった。仕事からの帰り道、たまたま通りかかった歩道の横のゴミ容器から、弱々しい泣き声が聞こえたのだ。子犬を抱き上げ、近くのアパートからナディアが姿を見せた時、孤独な負け犬だったボブの人生は変わった。殻から抜け出し、人生に希望が見えたのだ。だが、組織が所有する彼の勤め先のバーに強盗が押し入ったことから彼にも火の粉が降りかかってきた…ボストンの裏町に生きる人々の姿を巨匠がムード充分に描き、映画化された傑作ドラマ。
ポール・アンダースンの偽名を与えられた外務省職員は、英領ジブラルタルのホテルの一室で苛立ちを露わにしていた。彼は閣外大臣クインの代理として、テロリスト捕獲のための“ワイルドライフ作戦”に顧問として参加していた。だが、秘密任務に関わった経験は皆無で、なぜ自分が呼ばれたのか見当もつかない。やがてポールは、作戦が成功裏に終了したとだけ告げられ、任を解かれる。一方、クインの秘書官トビー・ベルは、大臣の不審な行動を監視していた。ジブラルタルでの作戦には胡散臭い民間防衛企業の男の影がちらついていたからだ。しかし、トビーの調査には隠蔽を謀る官僚たちの厚い壁が立ちはだかり…。“ワイルドライフ作戦”とは何だったのか?スパイ小説の巨匠が描く、世界の新たな闇。
ドイツのハンブルクにやって来た痩せすぎの若者イッサ。体じゅうに傷跡があり、密入国していた彼を救おうと、弁護士のアナベルは銀行経営者ブルーに接触する。だが、イッサは過激派として国際指名手配されていたのだ。練達のスパイ、バッハマンの率いるチームが、イッサに迫る。そして、命懸けでイッサを救おうとするアナベルと、彼女に魅かれるブルーは、暗闘に巻きこまれていく…スパイ小説の巨匠が描く苛烈な諜報戦。