著者 : 十市社
バスの中で出会った女性からゲームを持ちかけられた亜樹。シンメトリーな文字に強いこだわりを示す女性は、その半生を語り始める。しかし、彼女の言動にどこか違和感を覚え…(「亜シンメトリー」)。めくるめく謎と驚きに満ちた全四篇。
作家・朝井リョウ氏推薦 頁を捲るたび濃度を上げる 不穏、不安、不吉さ・・・・・・ だからこそ、一気読み不可避。 先生にね、手紙でも書こうかなって思ってーー中学3年になる春、山坂百音は、かつて通っていた小学校の元教員・田児あやめにそう伝えた。百音は3年半前に起きたできごとについて、5年3組の担任教師だった柿埼に向けて思い出を綴ってゆく。すべては、彼の謎めいた提案から始まったのだ。「どうでしょう。今年1年、このクラスのみんなでゲームをしませんか?」『ニンテイ』と称されたこの奇妙なゲームが、子どもたちの未来を大きく左右する事を、このときは誰も予想していなかった。
ライター・瀧井朝世氏、驚嘆。 とにかく緻密。ひたすら用意周到。(解説より) 誰のために、何をするべきか。 最後のゲームを目前に、少女は決意した。 5年3組の担任教師・柿埼の提案した〈ゲーム〉はクラスの子どもたちの心を捉え、学校生活にかかせないレクリエーションとして順調に機能しているように見えた。引っ込み思案だった百音も、親友となった香住とともに、夏休みの自然教室や秋の運動会を通して徐々に自分の世界を広げる。この穏やかな日々が続くと、みな思っていたーー「彼ら」を除いては。『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』で衝撃のデビューを果たした新鋭がミステリと小説の技巧を磨き上げて贈る、入魂の傑作長編。
僕が小さなしくじりから、クラスの「幽霊」になったのは、7ヶ月前のことだ。--ある事件から、同級生の目に映らない存在として扱われ、話しかけられることもなくなった高校1年生の一居士架は、ある時同級生の高町から、一緒に文化祭の展示研究をしようと持ちかけられる。彼女の存在に救いを覚える架だが、高校の周辺で起きる動物虐待死の事件が2人の日々に影をさす。静謐な筆致で慟哭と驚愕を描き上げた、青春ミステリの傑作。
その日まで、ぼくは教室の“幽霊”だった。誰にも話しかけられない孤独な高校生活を変えてくれたのは、前の席に座る同級生。謎めいた彼女の行動、校内で続く動物死体遺棄。穏やかで不安定な日々に隠された真実とはー