著者 : 半村良
闇の中の系図闇の中の系図
工員浅辺宏一は病的なまでに嘘をつかずにいられない青年であり、自分の嘘を全うするためには会社を辞めることさえ辞さなかった。ところがそんな彼は、古代社会から脈々と続いた“嘘部”という集団の末裔だった。その才能を買われ、秘密結社「黒虹会」のプロジェクト・チームに編入された彼は嘘の才能を大きく開花させる…心理サスペンスの傑作。
講談碑夜十郎(上)講談碑夜十郎(上)
お十夜の晩に千住の在、西新井の石碑の前で全裸のまま眠っていた美男子は、名づけて碑夜十郎で剣の達人。記憶を失ったまま女白浪のお絹に拾われた美男剣士夜十郎が、河内山宗俊らご存知天保六花撰のメンバーとともに、江戸の町を走りまわり、悪人どもと庶民の敵をこらしめる講談タッチの痛快長編時代小説。
ぐい呑みぐい呑み
薄れゆく下町人情、女と男の粋。蘇る昭和の面影に郷愁が馳せる。平成の夜明けを前に、昭和を哀しくも毅然と生きる料亭の女将と、見守り続ける男の姿を描いた本書初収録の表題作『ぐい呑み』ほか、人情の機微が興趣深い珠玉の自選短篇集。
岬一郎の抵抗(3)岬一郎の抵抗(3)
国家権力の介入によって、岬一郎を応援していた町内の人々の心が離れはじめた。確固とした信念のもと、日本政府の呼び出しに応じない岬一郎。最後の理解者で元雑誌編集者の野口志郎とともに、彼は孤独に追いつめられていく…。「日本SF大賞」受賞の著者渾身の力作大長編。
雨やどり雨やどり
舞台は新宿裏通りのバー街。「ルヰ」のバーテンダー仙田を主人公に、彼の前を通り過ぎて行く、いろいろな男と女の哀歓漂う人間模様を描き出す連作。直木賞受賞の表題作をはじめ、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」など八篇を収録。