著者 : 南条竹則
結婚を控え、手相占いに翻弄される「アーサー・サヴィル卿の犯罪」。生真面目で頑張り屋の幽霊が棲みつくお屋敷をアメリカ公使一家が買って一騒動「カンタヴィルの幽霊」…。長詩「スフィンクス」ほか短篇4作に、出獄したワイルドを迎えた親友の女性作家エイダの「回想」を含む佳作を収録。
完全な顕微鏡を完成させた素人学者が、覗いてみた水滴の中に完璧な美をもつ女性を見出す「ダイヤモンドのレンズ」。ロボット物の古典として評価の高い「不思議屋」。独創的な才能を発揮しポーの後継者と呼ばれるオブライエンの幻想、神秘、奇想に富む8作を収録した傑作短篇集。
昏い不気味な中庭のベンチに女が哀れな姿ですわっている。亡霊の魔力に魅入られた男はその顔を見ずにはいられなくなる…恐ろしくも忘れがたいバレージの傑作「見た男」、キラ=クーチ「蜂の小箱」、マッケン「地より出でたる」、ボウエン「罌粟の香り」、トムスン「闇の桂冠」など、恐怖の深い味わいが読者を魅了する英国怪奇小説傑作コレクション。
酒と食をこよなく愛し、中国各地に美味佳肴を探訪する英文学者・でふ氏こと南蝶氏は、敬愛する恩師の喜寿を祝って大宴会を企画。八年前に催した「満漢全席」に続き、南宋宮廷の名高い祝宴「寿宴」を再現しようという未だかつてない試みだ。押し寄せる不況の波を振り切って、でふ氏一行は食都・杭州へ飛んだー。「満漢全席」では飽き足らない!南宋皇帝の伝説の大宴がよみがえる知られざる美味の世界へご招待。
蓬莱島に暮らす美しき仙人・玉英は、仙界でも指折りの神通力を持つものの無類の酒好きで呑みっぷりは天下一品。東に銘酒ありと聞けば、行って一盞を傾け、西に美醪ありと聞けば、数斛を乾す毎日-。ところが、人間の男に恋をしたから、さあ、大変!永生の国で暮らす仙人たちの愛しき日々を愉快に描いた、博識読者に贈る今世紀最笑の仙人小説。
台湾一の名料理人の父親・朱氏と恋に揺れる三姉妹-。敬虔なクリスチャンで奥手な長女・家珍、キャリアウーマンで美しい次女・家倩、お茶目な大学生の三女・家寧-が繰り広げる、美味しくも心温まる恋物語。カンヌ映画祭で大絶賛を浴び、世界を魅了したアン・リー監督の作品を中華料理の達人が小説化。
変調社主催の文学賞賞金500万円をあてに、究極の中華料理ツアーを企画する南蝶氏だが-豪華絢爛、抱腹絶倒の世界が織り成す「東瀛の客」、麺なしでは生きられないメンクイの丘君が、美女にゆかりの麺の霊に取り憑かれる「麺妖」、豚足の食べっぷりを白髯の老人に見込まれたなんでふ氏が遭遇する奇妙な世界「猪脚精」、他に「華夏第一楼」「老酒の瓶」「餃子地獄」「画中餅」など、いずれも現実と幻想の世界があやしく交錯する、食通と呑んべえ必読の中華料理小説。
発明家エディソンのアンドロイドは絶世の美女を超えられるか。19世紀フランスの鬼才リラダンの小説〈未来のイヴ〉にSF、マルチメディア、VRなどの新しい光をあてて悲劇の核心に迫る奇想天外な批評風小説。
人造人間…それは人類が自らを創造した“神”の最後の聖域を侵す試み。19世紀初頭、21歳のメアリー・シェリーによって著わされた一体のモンスターは、人類の究極の夢でもあり、人類が犯す最大の罪の一つを具現化したものであった。ファウストの如く悪魔に魂を売った人間が生み出した新たな生命とは?そして、許されざる命として生を受けたものの悲しみとは?ホラー、SF、コメディなどの要素を交錯させて、ベテラン作家や期待の新鋭が筆を競い合った、モンスター傑作アンソロジーの決定版。