著者 : 古沢嘉通
東アジアに伝わる七夕伝説、 不老不死の薬を求める徐福伝説、 済州島に伝わる巨人伝説ーー 伝説や神話からインスピレーションを得て 日中韓三ヵ国の作家が紡ぐ、十の幻想譚。 七夕の夜、ユアンは留学で中国を離れる親友ヂィンに会いに出かけた。別れを惜しむ二人のもとに、どこからともなくカササギの大群が現れーー東アジア全域にわたり伝えられている七夕伝説をはじめとし、中国の春節に絡んだ年獣伝説、不老不死の薬を求める徐福伝説、済州島に伝わる巨人伝説など、さまざまな伝説や神話からインスピレーションを得て書かれた十の物語。日中韓3カ国の著者による韓国発のオリジナル・アンソロジー。 ■目次 「七月七日」ケン・リュウ 「年の物語」レジーナ・カンユー・ワン 「九十九の野獣が死んだら」ホン・ジウン 「巨人少女」ナム・ユハ 「徐福が去った宇宙で」ナム・セオ 「海を流れる川の先」藤井太洋 「……やっちまった!」 クァク・ジェシク 「不毛の故郷」イ・ヨンイン 「ソーシャル巫堂指数」ユン・ヨギョン 「紅真国大別相伝」イ・ギョンヒ
つらい別れを経て心身ともに疲弊したわたしは、職員募集中だったボディ=ワークス社の門を叩く。防腐処理を施した死体にポーズを取らせ、肉体に永続性を与えるその仕事で才能を見いだされたわたしは創業者の息子ジョンと恋に落ちる。ジョンは老齢と死を克服したいと考えており…。-石川慶監督(『蜜蜂と遠雷』)、芳根京子主演で映画化された深い感動を呼ぶ表題作ほか、母と息子の絆を描く感動作「紙の動物園」、地球を脱出した世代宇宙船の日本人乗組の選択を描く「もののあはれ」など、知性と叙情の作家ケン・リュウによる傑作を選びぬいたベスト・オブ・ベスト。
わたしは秋に生まれた。いま、宇宙は真冬だー死に絶え、そしてまた生まれ変わる宇宙の変遷を四季の変化に見立てて描いた表題作、3人の女性が力を合わせて悪に立ち向かう、『三国志』を大胆に換骨奪胎したシスターフッド×メタモルフォーゼ冒険譚「灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒の豹」、過去を覗き見ることを可能にした発見がもたらしたものとは…ヒューゴー賞&ネビュラ賞候補作「歴史を終わらせた男ードキュメンタリー」など、10作品を収録。『三体』翻訳者/中国SF紹介者としても知られる、現代アメリカSFのトップランナー、リュウの魅力が味わえる日本オリジナル短篇集第4弾。
国家のエネルギー政策に携わる男は、ある晩、奇妙な電話を受ける。彼のことを詳しく知る電話の男は、人類と地球の絶望的な未来について語り、彼にそれを防ぐ処方箋を提示するが…。『三体』著者である劉慈欣の真骨頂たる表題作など、現代の北京でSNS産業のエリートのひとりとして生きる主人公の狂乱を描いた、『荒潮』著者の陳楸帆による「開光」、春節の帰省シーズンに突如消えた列車とその乗客の謎を追う、「折りたたみ北京」著者の〓景芳による「正月列車」など、14作家による現代最先端の中国SF16篇を収録。短篇小説の名手、ケン・リュウ編による綺羅星のごときアンソロジー第2弾。
日本で発売後即10万部を突破した『三体』著者劉慈欣による「円」など7作家13作品をリュウが精選したアンソロジー、緊急文庫化!
ある日、元ロス市警副本部長で、現在はセキュリティ会社トライデント・セキュリティの重役になっているクライトンに呼び出され、トライデント社の顧客の大企業のオーナーである富豪、ホイットニー・ヴァンス(八十五歳)が、ボッシュを名指しで依頼したいことがあると言っている、と告げられる。依頼内容は、クライトンも知らず、ボッシュにのみヴァンス本人から伝えるとのこと。 ボッシュは、ロス市警時代の旧知の知人が本部長を務めるロス北郊の小さな自治体サンフェルナンド市(人口二万人強)の市警察に誘われ、無給の嘱託刑事として勤務するようになっていた(一方で私立探偵免許をあらたに取り直していた)。 ある日、元ロス市警副本部長で、現在はセキュリティ会社トライデント・セキュリティの重役になっているクライトンに呼び出され、トライデント社の顧客の大企業のオーナーである富豪、ホイットニー・ヴァンス(八十五歳)が、ボッシュを名指しで依頼したいことがあると言っている、と告げられる。依頼内容は、クライトンも知らず、ボッシュにのみヴァンス本人から伝えるとのこと。 ヴァンスに会いにいくと、高齢と疾病のため、老い先短いことを悟った老人から、大学生の頃知り合い、妊娠させながらも、親に仲を裂かれたメキシコ人の恋人を、あるいはもしその子どもがいれば、探してほしいと頼まれる。ヴァンスは未婚で、ほかに子孫はおらず、彼が亡くなれば莫大な財産の行方が気になるところで、もし血縁者がいれば、会社の将来を左右する事態になるかもしれず、そのため、会社側の利益(ひいては自分たちの利益)を優先させる行動に出る重役たちがいることが予想されるため、調査はくれぐれも極秘でおこなってほしい、と念を押される。また、この調査に関する報告は、かならずヴァンス自身にのみおこない、ヴァンス以外の人間から調査への問い合わせは一切しない旨、告げられる。
老い先短いことを悟った富豪には学生の頃知り合い妊娠させながらも、親に仲を裂かれたメキシコ人の恋人がいた。その子どもが生きていれば捜してほしいと頼まれたボッシュは調査を引き受ける。一方、同僚刑事と連続婦女暴行事件捜査を進めるなか、同一犯によると思しき暴行未遂事件が起こり、事態が急展開する。
揚州虐殺のなかを生きた遊女を描いた表題作、満州で巨大熊を捕獲しようとした探検隊が出会った悪夢「烏蘇里羆(ウスリーひぐま)」など全7篇を収録
不治の病を宣告された母ー母はわたしを見守り、残された時間をともに過ごすためにある選択をする。それはとてつもなく残酷で、愛に満ちた決断だった…。母と娘のかけがえのない絆を描いた美しくも切ない表題作、肉体を捨てて意識をアップロードした家族を見送った人々を描く「残されし者」など、『紙の動物園』で読書界の話題を集めた作家が贈る、第二短篇集である単行本版『母の記憶に』から9篇を収録した傑作集。
わたしは過去の自分を捨て、生まれ変わった…。地球に到来した異星の訪問者トウニン人と共生することになった人類は、大いなる代償と引きかえに、悪しき記憶を切除して新しい自分に「生まれ変わる」道を選ぶことが可能になった。トウニン人のパートナーをもつ特別捜査官の男がトウニン人殺害テロの謎を追う表題作、アジアの田舎の靴工場で女工として働く少女の数奇な運命を描く「ランニング・シューズ」、謎の僧に見出され殺し屋としての人生を生きることになった唐の将軍の娘の物語「隠娘」など、短篇小説の名手ケン・リュウが描く、20篇を収録した日本オリジナル短篇集第三弾。
ボッシュはロス市警退職を余儀なくされ、異母弟のリンカーン弁護士ミッキー・ハラーを代理人に立てロス市警への異議申し立ての訴訟をおこなっている。二〇一五年二月に、女性公務員が自宅で強姦の上、撲殺された。被害者の体に残された精液のDNAが合致し逮捕されたのは、ハラーの古くからの顧客だった。
二〇一五年二月に自宅で強姦の上、撲殺された市政担当官補レキシー・パークス(三十八歳)。被害者の体に残された精液(膣内と体表から回収)のDNAが合致したため、事件翌月、容疑者として逮捕されたのは、ハラーの古くからの顧客であり、元はギャングの一員だったが、更生して画家として生計を立てているダカン・フォスター(四十一歳)。 ハラーは、フォスターの無実を確信しており、ボッシュに事件調査の協力を求める。 二〇一五年二月に自宅で強姦の上、撲殺された市政担当官補レキシー・パークス(三十八歳)。被害者の体に残された精液(膣内と体表から回収)のDNAが合致したため、事件翌月、容疑者として逮捕されたのは、ハラーの古くからの顧客であり、元はギャングの一員だったが、更生して画家として生計を立てているダカン・フォスター(四十一歳)。 ハラーは、フォスターの無実を確信しており、ボッシュに事件調査の協力を求める。
定年延長制度最後の年をロス市警未解決事件班で迎えたボッシュはメキシコ系新米女性刑事ルシア・ソトとコンビを組むことに。ふたりが担当するのは、10年前広場で演奏中に銃撃され、体に残った銃弾による後遺症で亡くなったオルランド・メルセドの事件。体内から取り出した銃弾を手掛かりに捜査が始まった。
生前、車綺子のメルセドを帯同し、治安改善を訴え市長選に勝利。州知事を目指すザイアスは彼の死を利用しようと事件解決をボッシュに強く迫る。一方相棒ソトが7歳で経験した未解決の火災についても捜査を進めると、2つの事件が関連し、衝撃の展開となる。シリーズ25周年記念特別エッセイを巻末収録。
『紙の動物園』のケン・リュウ、『All You Need Is Kill』の桜坂洋、『火星の人』のアンディ・ウィアーら、現代SFを牽引する豪華執筆陣が集結。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞受賞作家たちが、ビデオゲームと小説の新たな可能性に挑む。本邦初訳10編を含む全12編を厳選した、傑作オリジナルSFアンソロジー。
北京、異形の都市。この街は貧富の差により三層のスペースに分割され、24時間ごとに世界が回転・交替し、建物は空間に折りたたまれていく。緻密にして巨大なルービックキューブ型都市の社会と文化に翻弄される男の冒険を描いた〓(かく)景芳によるヒューゴー賞受賞の表題作、秦の始皇帝指揮下3百万の軍隊を用いた驚異の人間計算機の顛末が語られる劉慈欣「円」(ヒューゴー賞受賞作『三体』抜粋)、遺伝子改造鼠を倒すべく歩を進める隊列の闇を描いた陳楸帆「鼠年」など、7人の作家の13作品を、短篇の名手ケン・リュウが精選し英訳。いま最注目の中国SF、その最前線を奔る作家たちが放つアンソロジー。
近未来英国、フリーカメラマンのティボー・タラントは、トルコのアナトリアで反政府主義者の襲撃により最愛の妻メラニーを失ってしまう。住まいであるロンドンに帰るため、海外救援局に護送されるタラントだったが、道中悪夢のごとき不確実な事象が頻発する。彼の現実は次第に歪みはじめ、さまざまな時代を生きる違う男の人生に侵食されていく。第一次世界大戦中、秘密任務を負うことになった手品師、女性パイロットに恋するイギリス空軍の整備兵、夢幻諸島で名をあげんとする奇術師…。語り/騙りの名手プリーストがこれまでの自作のモチーフを美しいパッチワークのごとくつなぎあわせ、めくるめく世界を生み出した集大成的作品。
売春婦殺害容疑で逮捕されたポン引き、ラコースから弁護依頼を受けるが、被害者は何度も窮地を救ったことのある、かつての依頼人グロリアだった。彼女が名前を変え、ロスに戻り、娼婦に復帰し、殺されていたとは驚きだった。事件を独自に調査したハラーは勝利を確信し、ラコースの弁護を引き受けることにした。
グロリアは高級ホテルに泊まっている客に呼ばれ、客室に行ったところ応答がなく、空振りに終わって自宅に帰り殺害された。ホテルロビーの監視カメラ映像から尾行していた男の存在がわかる。その正体を突き止めたハラーは、罪責の神々である陪審員の前で、男を訊問し、黒幕が誰かを暴いていくのだったが…。