著者 : 古沢嘉通
グロリアは高級ホテルに泊まっている客に呼ばれ、客室に行ったところ応答がなく、空振りに終わって自宅に帰り殺害された。ホテルロビーの監視カメラ映像から尾行していた男の存在がわかる。その正体を突き止めたハラーは、罪責の神々である陪審員の前で、男を訊問し、黒幕が誰かを暴いていくのだったが…。
ロス暴動大混乱の最中に発生し、まともに捜査ができず心に残っていたジャーナリスト殺害事件から20年。すべての事件には解決につながる「ブラックボックス」があるという信念のもと、ロス市警未解決事件班ボッシュは再捜査を開始。市警上層部の政治的圧力による監視をくぐり抜け、単独で事件を追いかける。
ジャーナリスト殺人はボッシュにとって最初の未解決事件でもあった。薬莢を最新鑑識技術で調べると、凶器の銃が他の殺人にも使用されていたことが判明。捜査の末に発見した銃から削り取られたシリアルナンバーを復元すると、湾岸戦争当時の軍との関わりが明らかとなる。事件は急転、不穏な展開を見せ始めた。
不治の病を宣告された母が愛する娘のために選び取った行動をつづる表題作、明治時代の満州にやってきた熊狩り探検隊一行の思いがけない運命を描いた「烏蘇里羆(ウスリーひぐま)」など、あたたかな幻想と鋭い知性の交錯を透徹した眼差しで描いた16篇を収録した、待望の第二短篇集。 〈収録作品〉烏蘇里羆/草を結びて環を銜えん/重荷は常に汝とともに/母の記憶に/存在/シミュラクラ/レギュラー/ループのなかで/状態変化/パーフェクト・マッチ/カサンドラ/残されし者/上級読者のための比較認知科学絵本/訴訟師と猿の王/万味調和/
狼の足島で繰り広げられる戦いで、マタは背水の陣を敷いて帝国軍に挑む。いっぽうクニは、驚きの奇策を講じて帝国の首都パンに接近をはかるのだがーー。ケン・リュウが贈る幻想武侠絵巻、第二巻
少年がはじめて皇帝を目にしたその日から、運命は動き出したーー権謀術数が渦巻く国家と政治に翻弄される人々を優しくも壮大な視線で描き出す、『紙の動物園』の著者が放つ一大武侠絵巻、開幕篇
ローン未払いを理由に家を差し押さえられたシングルマザーが殺人の容疑者に。被害者は銀行の上席副頭取。社会的事件に挑む人気弁護士 第一部 魔法の言葉(1〜10) 第二部 無実の仮説(11〜17) 第三部 ボレロ(18〜26)
犯行を否定し続ける容疑者。不動産差し押さえに絡む莫大な金をめぐり人間の欲が蠢く。息詰まる法廷劇。コナリーらしさが炸裂する傑作 第三部 ボレロ(27〜38) 第四部 五番目の証人(39〜52) 第五部 無実の仮説(53〜54) 訳者あとがき マイクル・コナリー著作リスト
1999年英国、著名な歴史ノンフィクション作家スチュワート・グラットンのもとに、J・L・ソウヤーなる人物の回顧録原稿が持ちこまれる。第二次大戦中に活躍した英国空軍爆撃機の操縦士でありながら、同時に良心的兵役拒否者だったJ・L・ソウヤーとはいったいどんな人物なのか…。稀代の物語の魔術師が、持てる技巧のすべてを駆使し書き上げた、“最も完成された小説”。アーサー・C・クラーク賞、英国SF協会賞受賞作。
1936年、オックスフォード大学ボート部所属のジャック・ソウヤーとジョー・ソウヤーは、ベルリン・オリンピックに舵なしペア英国代表として出場、見事銅メダルを獲得した。だが帰国後、一卵性双生児の二人の運命は決して交わることなく、一方は空軍爆撃機操縦士として、もう一方は国際赤十字職員として第二次大戦下の混沌たる世界をさまよっていった…。歴史に翻弄される二人の男の人生を虚実入り乱れた語りで描く大作。
24年前の少女殺害事件に対して出された有罪判決破棄および差し戻し。DNA鑑定で被害者のワンピースについていた精液が服役囚とは別人のものだとわかったのだ。刑事弁護士ミッキー・ハラーは、ロサンジェルス郡地区検事長の要請で特別検察官として勝算皆無の再審を引き受ける。息詰まる法廷劇が始まった!
時間勾配によって生じる歪みが原因で、精緻な地図の作成が不可能なこの世界は、軍事的交戦状態にある諸国で構成されている「北大陸」と、その主戦場となっている「南大陸」、およびその間のミッドウェー海に点在する島々「夢幻諸島」から成っている。最凶最悪の昆虫スライムの発見譚、パントマイマー殺人事件、謎の天才画家の物語…。死と狂気に彩られた「夢幻諸島」の島々には、それぞれに美しくも儚い物語があった。語り/騙りの達人プリーストが年来のテーマとしてきた「夢幻諸島」ものの集大成的連作集。英国SF協会賞/ジョン・W・キャンベル記念賞受賞作。
深夜、ロスの展望台で発見された男の射殺体。後頭部に二発。怨恨か処刑かー。殺人事件特捜班での初仕事に意気込むボッシュだが、テロリストが関与している可能性が浮上。FBIの捜査介入に阻まれながらも、ボッシュはひたすら犯人を追う。十二時間の緊迫の捜査を描く、スピード感溢れる傑作サスペンス。
ロサンジェルスのエコー・パーク地区で、女性二人のバラバラ死体を車に乗せていた男が逮捕された。容疑者は司法取引を申し出て、死刑免除を条件に過去九件の殺人も自供するという。男の口から語られるおぞましき犯罪。その中に未解決事件班のボッシュが長年追い続ける、若い女性の失踪事件も含まれていた。
ボッシュが探り続ける未解決事件は、ホシとにらむ男とは別人が自供した。初動捜査のミスも浮上し、苦悶するボッシュ。さらにパートナーのライダー刑事に悲劇が襲う。事件が急展開を見せるなか、自宅待機を命じられた彼はFBI捜査官レイチェルとともに動き出すが…。警察小説の頂点に君臨する傑作シリーズ。
高級車の後部座席を事務所代わりにロサンジェルスを駆け巡り、細かく報酬を稼ぐ刑事弁護士ミッキー・ハラー。収入は苦しく誇れる地位もない。そんな彼に暴行容疑で逮捕された資産家の息子から弁護依頼が舞い込んだ。久々の儲け話に意気込むハラーだが…警察小説の名手が挑む迫真のリーガル・サスペンス。
多額の報酬が約束された事件を調べるハラーは、かつて弁護を手がけたある裁伴へと辿りつく。もしかしたら自分は無実の人間を重罰に追いやってしまったのではないか。思い悩む彼の周囲に、さらに恐るべき魔手が迫る。絶体絶命の状況下で法廷に挑む彼に勝算はあるか?コナリーワールドの新境地を拓く意欲作。
2020年、中国、チベット、カザフスタンに国境を接する山岳国家カルジスタンのキズルダー村では、先祖伝来の棚田を耕し、昔から変わらぬ生活を続ける人々が暮らしていた。中国系女性チュン・メイは、そんな村の女性のために、町にでかけてドレスや化粧品を調達し収入を得る“ファッション・エキスパート”だった。ある日、キズルダー村で、新システム“エア”のテスト運用が行なわれることになった。“エア”は脳内にネット環境を構築し、個々人の脳から直接アクセスを可能にする新しいネットワーク・システムで、一年後の全世界一斉導入が予定されていた。だが、テストの最中に思わぬ悲劇が起きる。メイの隣人タンおばあさんが、システムの誤動作が原因で事故死してしまったのだ。テスト中、メイは“エア”内でタンおばあさんと交感、彼女の全人生を体験する。それ以降、おばあさんの意識はメイの脳内に住みついてしまうが、まるでその代償であるかのように、メイは偶然“エア”にアクセス可能なアドレスを取得する。それをきっかけにメイの人生は急転回を見せはじめる。“エア”がメイに、そして人類にもたらすものとは…。SF界を代表する物語作家が、異質なテクノロジーと出会い、アジアの小村から世界を変えることになるひとりの女性の人生を、ストレートに描いた巨篇。英国SF協会賞/アーサー・C・クラーク賞/ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞受賞。
1999年英国、著名な歴史ノンフィクション作家スチュワート・グラットンのもとに、第二次世界大戦中に活躍した空軍大尉J・L・ソウヤーの回顧録のコピーが持ちこまれる。グラットンは、次作の題材として、第二次大戦中の英国首相ウィンストン・チャーチルの回顧録のなかで記されている疑義-英空軍爆撃機操縦士でありながら、同時に良心的兵役拒否者であるソウヤーなる人物(いったい、そんなことが可能なのか?)-に興味をもっており、雑誌に情報提供を求める広告を出していた。ソウヤーの回顧録を提供した女性アンジェラ・チッパートン(旧姓ソウヤー)は、自分の父親は第二次大戦中、爆撃機操縦士を務めていたと言う。果たして、彼女の父親はほんとうにグラットンの探しているソウヤーなのだろうか?作家の棲む現実から幕を開けた物語は、ジャックとジョーという同じイニシャル(J)をもった二人の男を語り手に、分岐したそれぞれの歴史の迷宮をひたすら彷徨していく…。稀代の物語の魔術師プリーストが、SF、ミステリにおける技巧を縦横無尽に駆使して書き上げた“もっとも完成された小説”。英国SF協会賞/アーサー・C・クラーク賞受賞作。