著者 : 古沢嘉通
北イングランドに赴いたジャーナリストのアンドルーは、彼を呼び寄せた女性ケイトから思いがけない話を聞かされる。おたがいの祖先は、それぞれに“瞬間移動”を得意演目としていた、二十世紀初頭の天才奇術師。そして、生涯ライバル関係にあった二人の確執は子孫のアンドルーにまで影響を与えているというのだが…!?二人の奇術師がのこした手記によって、衝撃の事実が明らかとなる!世界幻想文学大賞受賞の幻想巨篇。
「リリーはどこだ?」ナノテク学者ピアスの自宅に、男たちから熱狂的な電話が次々かかってきた。ピアスはその女に会ったことさえなく、明らかに間違い電話だった。しかし、リリーが評判の娼婦だと知るにおよび、ピアスは彼女についてインターネット上で調べ始めた。肩に届く黒髪、ブラウンの瞳、深い褐色の肌。粗い目のネットでできた黒いネグリジェで胸を包み、褐色の股間のラインととがらせた唇が男を誘う。淫らな美神がそこにはいた。リリーに惹かれたピアスは、ホームページの管理会社を訪ね、彼女が失踪している事実を知る。その直後、リリーを捜す彼の元に脅迫が…。人工的に創られた欲望空間の悪夢を描くサスペンス小説。現代アメリカ・ハードボイルド小説界を代表する著者の新境地。
ハリウッドの丘陵地帯の奥深くで、人骨らしき遺物が発見される。一匹の犬がそれを咥えてきた時、隠されていた事件が明らかになった。警察の鑑定の結果、その骨は十二歳くらいの少年のもので、死亡時期は二十年近く前、死因は鈍器による頭部への殴打であることがわかった。ハリウッド署の刑事ハリー・ボッシュは、殺人事件として捜査にあたるが、手がかりは乏しく、捜査は遅々として進まない。だが、まもなく現場付近に住む逮捕歴のある小児性愛者の男が捜査線上に浮かび上がる。ボッシュは取り調べにあたるが、男の前歴が外部に漏れ、容疑者としてテレビ報道されてしまう。男は無実を訴え、不当な取り調べを糾弾する遺書を残し、自殺してしまった。有力容疑者の死亡という最悪の事態に、警察内部にはボッシュを早期に解雇せよとの不穏な空気が流れ始め、彼は窮地に立たされた。そんな時、ある女性から骨について新しい情報が入るが…。哀しき運命に翻弄された骨のため、ボッシュは刑事生命を賭けて事件の真相に迫る。汚れた“天使の街”で独り正義を貫く、刑事ハリー・ボッシュの生きざまを描いた、シリーズ最新作。
女性考古学者ヒルディがスコットランドで発掘した遺跡には、ヴァイキングの大型船が完璧な形で保存されていた。だが、保存されていたのは船や財宝だけではなかった。なんとヴァイキングの英雄たちも完璧に保存されていたのだ!彼らは、邪悪な魔法使いの王の魔手から世界を守るため、一千年にわたる長き眠りからいま目覚めたのだという…古代の英雄たちが巻き起こす奇想天外の大騒動を描く傑作ユーモア・ファンタジイ。
重力定数が10億倍の宇宙に迷いこんだ宇宙船乗組員の末裔たちは、呼吸可能な大気に満たされた〈星雲〉で生き延びていた。彼らは宇宙船の残骸である円盤状の筏〈ラフト〉を中心にして社会を形成し過酷な環境に耐えてきたのだが、〈星雲〉の寿命が残り少なくなったいま、人々の命運も尽きようとしている…。この危機を打開すべく、勇気と好奇心にあふれる少年リースの冒険が始まった。ハードSFの気鋭が放つ、長篇第1作。
〈会社戦争〉は〈艦隊〉側の敗北で終結した。ステーションで絶望の日々を送る、元〈艦隊〉の軍人ベット。彼女は宇宙に出たいー心で、正体不明の辺境航行船ーリムランナーーに整備工と身分を偽って乗りこむ。ところがその船は、よりによって〈艦隊〉の生き残りを狩るスパイ船だったのだ。くせ者ぞろいの乗組員にかこまれて、一触即発の苛酷な宇宙生活が始まった。ヒューゴー賞受賞作家が放つ現代のスペース・オペラ。
核活動を停止させる〈核の毛布〉の発明は、人類に苛酷なエネルギー危機をもたらした。全世界が疲弊し、人々が科学よりも糧を求めた結果、科学者たちは社会から追放された。だがそんな時代にも、星空に耳を傾けることを忘れない一人の天文学者がいた。そしてある日、彼ができあいの個人天文台で受信した天空からの信号は、人類をふたたび宇宙へ船出させる切符となったのである。
人類は極秘裡に、全地球的組織〈パンゲア・コンソーシアム〉を結成していた。彼らは、刻々と太陽系に接近してくる〈送信者〉を出迎えるため、地球軌道上でまったく新しい駆動システムのコンタクト用宇宙船の建造にとりかかる。大宇宙を、ふたたび人間の手に取り戻すのだ。やがて、人類の誇りを賭けた一大プロジェクトは、人類初の恒星間宇宙船を発進させた。迫真の近未来SF。
男は一枚の記念写真を挑めていた。学生時代、友人グループのメンバー全員で撮ったものだ。ふと男は妙なことに気づいた。なかの一人の姿が薄れかけ、背後の壁が透けて見えるのだ。しかも、それは自分ではないか。と、そのとき、目の前にあるテレビの画面から蛇に似た無数のなにかが這い出し、男をずたずたに引き裂いてしまった。やがて、残ったメンバーたちも次々と化けものに襲われー。恐怖シーンの連続、化けもの満載のローズ第2弾。
マークは震えていた。冬の寒さのためじゃない。早朝の駅、目の前の改札口は乗客でごった返している。その改札がなぜか怖くて、通り抜けられないのだ。14か月前のあの事故のせいか。このキングズ・クロス線の列車から転落して、死にかけたのだ。ただ、いったいそのとき何があったのか、ぜんぜん憶えていない。そんなマークをよそに、乗客たちは改札に向かう。列車が自分たちをどこに連れていこうとしているのか、知りもせずに。
発狂、殺人、自殺ーキングズ・クロス線の乗客たちに異変が相次いでいる。いっぽうマークは、奇怪な超太古の儀式の夢に夜ごと苛まれていた。これもあの事件のせいか。ならば、失われた記憶をとりもどさなくては。そう決心したとき、謎のゴースト・トレイン・マンが彼の前に立ちはだかった。殺戮の列車が疾走し、世界の命運を賭けた死闘がいま火蓋を切って落とされる。超弩級新人作家の爆走ノンストップ・ホラー、ついに日本上陸。
レジス・ハスターとルー・オルトンー世継ぎであるがゆえの苦悩と摸索の日々を送る2人。一方、コミンと地球帝国との軋轢は、遠くアルダランの地にその影を落とし始めていた。父ケナードの命により、カエル・ドンに赴くルー。が、そこで彼を待ち受けていたのは、世界の未来を賭した計画であった…。躍動感あふれる、ブラッドリーの最高傑作。